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《再起へ 震災・原発事故から1年》豊熟の地に(1面)【2012年3月1週号】

120307_01.jpg 東日本大震災では、東北・関東の太平洋沿岸部を津波が襲って2万人近い死者・行方不明者を出し、基幹産業の農林漁業に壊滅的な打撃を与えた。さらに福島第1原発事故が発生し、多くの周辺住民が避難を余儀なくされたばかりか、放射性物質の大量飛散に伴う農地や作物の汚染は国産農畜産物の安全性と消費者の信頼を揺るがしている。政府は、東北を新たな食料供給基地とする目標を掲げ、津波による被災農地の復旧と地域営農の将来像構築、付加価値を高める6次産業化などを進めるとする。核となるのは、農林漁業を主体とした仕事と暮らしの再起だ。東日本大震災と福島原発事故の発生からまもなく1年。現状や復興に向けた課題を検証する。


 政府は、2015年度までを集中復興期間と位置づけ、施策や予算を集中して大震災発生から10年をめどに復興を果たす方針だ。復興政策を統括する復興庁は2月に発足。11年度第3次補正予算で11兆7千億円の復興関係予算も措置し、復旧・復興を推進する枠組みを整えた。ただ、被災地域から事業内容が実態に合わないなど指摘もあり、実効性を確保する適切な対応が問われている。
 農業分野では、津波で被災した農地の復旧や農業者の経営再建支援などが大きな課題だ。さらに原発事故に伴い放射性物質で汚染された農地の除染、安全を確保する生産・流通の対応強化も重要となっている。
 津波で被災した農地面積は、太平洋沿岸部の6県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉)で2万3600ヘクタールに及び、その85%を水田が占める。農林水産省は、原発事故の警戒区域などを除く2万530ヘクタールを14年度までに復旧し、営農再開を目指すとする。
 昨年末までに除塩などが完了、または着工した農地は目標の2割に当たる3950ヘクタールとなった。12年度中には8500ヘクタールまで営農を再開する面積を広げる計画だ。岩手、宮城の2県では、田畑や農業用地に侵入したがれきの除去を8割程度終了し、復旧工事を本格化する。
 震災による農業経営体の被害は、福島を除く8県(青森、岩手、宮城、茨城、栃木、千葉、新潟、長野)で1万9700にのぼった。昨年7月までに、7割以上は営農再開に動き出した。しかし、甚大な津波被害を受けた宮城と岩手の沿岸部は、代替農地の手当ても困難な状況で対応が遅れている。
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〈写真:津波で大量のがれきと海水が侵入した水田(昨年5月、宮城県岩沼市)〉

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