▼「雨ニモマケズ/風ニモマケズ/雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ/丈夫ナカラダヲモチ/慾(よく)ハナク/決シテ瞋(おこ)ラズ/イツモシヅカニワラッテヰ(い)ル」――。その詩はいつの時代も、天災や困難に立ち向かう多くの人々に寄り添い、励ましてくれる。
▼今夏も"災害級"の猛暑に見舞われ、渇水で苦しむ状況から一転、九州や北陸などを襲った記録的な大雨をはじめ全国各地で経験したことのない豪雨被害が相次いでいる。さらに気象庁は残暑も厳しいと見通しており、今後は台風の本格的な襲来期を迎える。
▼時に自然は牙をむく。ただ、この詩は「ヒド(デ)リノトキハナミダヲナガシ/サムサノナツハオロオロアルキ/ミンナニデクノボートヨバレ/ホメラレモセズ/クニモサレズ/サウイフモノニ/ワタシハナリタイ」と結ぶ。自然を前に人間の弱さや無力さも受け止める。だから、背中をそっと押してもらえる。
▼農学校の教諭に就くなど農民とともに生きた宮沢賢治は、著書『農民芸術概論綱要』で「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と記し「自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する」と続ける。8月27日は、賢治生誕の日。混迷の時代、彼が残した言葉をかみしめる。