

▼「鶏が先か、卵が先か」とは、因果関係を明確に説明できない時などによく用いられる言葉だ。例えば、政治や制度が変わったから社会が変わったのか、社会が変わったから政治や制度が変わったのか、といった具合。
▼農業・農村の世界でもそう感じることは少なくない。人手不足だから効率化・合理化を急ぐべきだと考えるのか、効率化・合理化の追求で過疎化が一層進むと捉えるか、など。自信があるから挑戦するのか、挑戦するから自信が生まれるのか。希望があるから人が集まってくるのか、人を集めるから希望や展望が開けてくるのか、も当てはまる。
▼2025年農林業センサスによると、基幹的農業従事者数は10年で4割減少し約102万人となる一方、法人経営体が増え、20ヘクタール以上の経営体の面積シェアは5割を超えた。単に数字だけ見れば「農家の減少が法人化や規模拡大を推進した」となるが、このまま規模拡大・離農増加が進んだ先にどんな未来が待ち受けるのか。
▼何かと白黒つけたがる時代だが、答えは一つではない。むしろ複雑に絡み合う因果関係をどう好循環につなげていくかが、より大切になっている。「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」は米国の哲学者、ウィリアム・ジェームズの言葉。笑顔から始まる午(うま)年へ。よいお年をお迎えください。