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今週のヘッドライン: 2025年03月 2週号

柿団地にLPWA導入 中山間の通信網を構築(1面)【2025年3月2週号】

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 柿363ヘクタールなど全国有数の生産団地が広がる奈良県の五條吉野土地改良区管内では、大学などと連携し、中山間地域のスマート農業に生かせるデータ通信網を独自に構築している。柿園の遠隔灌水(かんすい)実証では、作業時間の短縮に成果が見られた。各種センサーのデータに基づく収穫適期予測などにも取り組む。無線通信には、近年注目されている新たな規格「LPWA(省電力長距離通信)」を採用。子機同士が中継しあって携帯電話などの電波が届きにくい中山間地域を広域でカバーできる。通信費など運用コストは従来に比べ10分の1以下に低減できると想定されている。

(1面)

〈写真:制御盤や通信装置の前で堀内代表(右)。土地改良区の職員と効果や展望を話す〉

大雪の農業被害を確認 融雪期に向け被害防止呼びかけ(1面)【2025年3月2週号】

 年明け以降の記録的大雪による農業関係被害の様相が見え始めている。青森県では5日時点の判明分で、リンゴの枝折れが11市町村、パイプハウス全壊が12市町村で123棟などの被害を確認。福島県では2月27日時点で、会津地方と県中地方の16市町村でパイプハウスの倒壊など875棟の被害が報告されている。

(1面)

備蓄米21万トン早期売り渡しへ(2面・総合)【2025年3月2週号】

 江藤拓農相は4日の閣議後会見で、買い戻し条件付きで売り渡す政府備蓄米の第2回入札を本年度内にも行う方針を表明した。予定数量21万トンのうち15万トンを対象とする第1回入札の結果を踏まえて実施時期を判断する方針だったが、大手集荷業者の集荷数量の減少幅拡大などを受け、残る6万トンの早期売り渡しを決断した。政府備蓄米の売り渡し決定後も小売価格の上昇が続き、実需からは品薄感の継続を訴える声が強まっており、流通が改善されなければ、売り渡し量を積み増す方針だ。米の需給と価格の動向は2025年産米の作付けにも大きな影響を及ぼす。早期安定化へ政府の対応が問われる。

(2面・総合)

持ち運び・設置が楽々 すぐ作れる家庭菜園用の防虫ネット(5面・すまいる)【2025年3月2週号】

 春に向け、家庭菜園の種や苗を準備する時期になってきた。野菜などの栽培では苗の段階での虫害は悩みの種の一つだ。アウトドアライフライターの和田義弥さんに、持ち運びできて簡単に設置できる防虫ネットの作り方を教えてもらう。

(5面・すまいる)

獣医師が成果を発表 家畜診療等技術全国研究集会(7面・特集)【2025年3月2週号】

 畜産の現場で診療に携わる獣医師が研究成果を発表する「令和6年度(第51回)家畜診療等技術全国研究集会」(主催・全国農業共済協会)が2月20~21日、日経ホール(東京都千代田区)で開かれた。全国から選出された19題を審査し、農林水産大臣賞はNOSAI千葉南部家畜診療所の山口英一郎獣医師らによる「乳中脂肪酸組成を活用した乳成分グラフによる農場のモニタリング」が受賞した。また、農林水産省経営局長賞9点(うち吉田賞1点、奨励賞2点)、全国農業共済協会長賞9点が選ばれた。農林水産大臣賞と吉田賞・奨励賞の報告概要を紹介。また、畜産業への貢献が期待されている生産獣医療について、酪農学園大学の中田健教授とNOSAI宮崎生産獣医療センターの上松瑞穂センター長による講演要旨を紹介する。

(7面・特集)

二条大麦で多収 しっかり排水、麦踏みは4回(9面・営農技術・資材)【2025年3月2週号】

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 水稲、麦、大豆の2年4作のブロックローテーションを行う福岡県築上町西八田の農事組合法人今津の里は、二条大麦「くすもち二条」「はるか二条」を26ヘクタールで栽培。沿岸部で排水不良の圃場が多い中、額縁明渠〈めいきょ〉を幅30センチ、深さ30センチで施工するほか、弾丸暗渠を敷設する。分げつを促進させる4回の麦踏みに加え、中耕・土入れを3回行うなど基本的な管理を励行し、安定多収を実現している。

(9面・営農技術・資材)

〈写真:くすもち二条の圃場で田中さん(左)と今津の里のオペレーター〉

イチゴ「あまりん」導入 収益30%増加【埼玉県・3月2週号】

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 【埼玉支局】深谷市岡の「吉田さんち」(吉田孝代表、49歳)では、2023年にイチゴ「あまりん」の栽培を開始。積極的な直接販売で、導入前に比べ収益が約30%増加している。安定した良食味で、リピーター確保と口コミでの顧客増加を図る。

〈写真:生育を確認する栽培管理担当の吉田将城さん(40)。「イチゴ栽培への参入は労力面でとても大変だった。技術を磨き、効率化していきたい」〉

黒田セリ 絶やすまい【島根県・3月2週号】

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 【島根支局】松江市黒田町の加藤善平さん(50)は2021年に東京からⅠターンし、産業体験や農林大学校での勉強を経て23年に就農。ハウス2棟(5.2アール)でのミニトマト・キュウリを主体に伝統野菜で有名な「黒田セリ」の栽培にも挑戦している。

〈写真:黒田セリを収穫する加藤さん〉

菌床シイタケハウスをスマート化/発生量の調整が容易に【岐阜県・3月2週号】

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 【岐阜支局】「昨年、新設備のハウスに建て替え、日々の作業がスマート化した」と話すのは、恵那市大井町の小板美和さん(62)。菌床シイタケをハウス4棟8アールで通年栽培し、冬場には県内で3軒しか栽培されていない巨大品種「天恵菇」も取り扱う。

〈写真:「新しい施設で作業が格段に楽になった」と話す小板さん〉

干し柿で栄養補給食品開発【山形県・3月2週号】

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 【山形支局】鶴岡市黄金地区の佐久間麻都香(まどか)さん(39)は、同市在住のデイビット・リップスさん(34)と共に干し柿を使ったエナジーバー(栄養補給食品)「SHONAI SPECIAL」を製造、2019年に販売を開始。24年12月にはタンパク質を強化した「プロテインバー」を開発し、国内外で販売している。

〈写真:「生産量を増やして、多くの方に味わってもらいたい」と話す佐久間さん〉

防風林「過疎地域の災害 復旧・復興への意欲に配慮を【2025年3月2週号】」

 ▼岩手県大船渡市の山火事は、6日朝の時点で焼失面積は市域の約9%、2900ヘクタールに及ぶという。5日の降雨で延焼は収ままったようにも見える。しかし、この冬は乾燥が続いて火災が起きやすい条件にあり、油断は禁物だ。当面は警戒を続ける必要があるだろう。
 ▼今回の山火事の被災地は東日本大震災の津波被災地と重なる。再建した家が焼失し、発災から14年を経て二重被災となった方がいるとの報道もあった。気持ちをしっかり整えて復旧・復興に歩を進めてほしい。
 ▼懸念もある。被災地域が人口減少と高齢化が進む過疎地域という点だ。地震と豪雨の二重被災となった能登半島地域も同様だが、農林漁業をはじめとするなりわいと生活の再建には時間や労力がかかる。高齢の方ほど迷いやためらいを持つのではないか。
 ▼能登半島地震から数カ月後、財務省の審議会が「維持管理コストを念頭に」「集約的なまちづくりやインフラ整備」を求める提言をまとめ、物議を醸した。住民の意向が大前提でなければ意欲や行動の喚起は困難。予算に知恵を絞るのはその後の話なのだ。

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