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今週のヘッドライン: 2025年03月 1週号

単収向上で国産大豆確保 極多収品種「そらシリーズ」普及推進(1面)【2025年3月1週号】

 国産大豆の生産拡大に向け、農林水産省は「そらシリーズ」と呼ばれる極多収4品種の普及を推進している。現地試験では、標準品種に対し120%以上の多収で、豆腐への加工適性も備える。同省によると、実証も含め約20県で栽培が始まった。奨励品種の決定に向けた試験も実施されている。大豆は、国内需要のほとんどを輸入に依存しており、作付け拡大と収量の向上は食料安全保障の点でも大きな課題だ。一方で、粒大や形は従来の国内品種と異なるなど、産地での品種切り替えでは、農産物検査の対応や実需の理解促進が求められている。

(1面)

農作業事故死亡者数 10万人当たり上昇続く(2面・総合)【2025年3月1週号】

 農林水産省は2月26日、2023年の農作業事故死亡者数は前年比2人減の236人と発表。ただし、農業従事者数が減少する中、農業事者10万人当たり死亡者数は0.5人上昇し11.6人と過去最高を更新した。上昇要因について、同省は規模拡大の進展に伴い死亡事故リスクの高い農業機械を扱う面積の急増や熱中症の増加などを挙げる。また、厚生労働省の調査に基づき23年の死傷事故を分析したところ、農作業の経験期間が3年以下が過半を占めることも分かったという。今年も本格的な農繁期が始まる。研修への参加など正しい知識に基づく安全対策の実践を基本に、官民連携で命を守る対策を徹底・強化したい。

(2面・総合)

生活圏で緊急銃猟可能に 鳥獣保護管理法改正案が閣議決定(2面・総合)【2025年3月1週号】

 政府は2月21日、人の日常生活圏にクマやイノシシが出没した場合、地域住民などの安全確保を前提に銃猟を可能とする鳥獣保護管理法改正案を閣議決定し国会に提出した。危険鳥獣の危害防止が緊急に必要で、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に捕獲などが困難、加えて避難などで地域住民に弾丸が到達する恐れがない場合に、捕獲者に委託して実施(緊急銃猟)できるとした。
 現行法は、住居集合地域などでの銃猟や建物・乗り物・飼養動物に向かってする銃猟、夜間の銃猟を禁止している。

(2面・総合)

収入保険加入10万経営体突破 高まる備えの重要性(3面・収入保険)【2025年3月1週号】

 収入保険の加入経営体数が、2025年2月21日までに10万2709経営体(25年契約分含む)となり、当初目標の10万経営体を達成したことが分かった。収入保険は自然災害や価格低下だけでなく、農業者のけがや病気などあらゆるリスクに対応して収入減少を補てんする。これまで風水害をはじめ、コロナ禍や高温などの影響による収入減少にも対応して加入者の経営を支えており、加入の重要性が広く浸透してきた。

(3面・収入保険)

豆腐で作るドライカレー(5面・すまいる)【2025年3月1週号】

 元気で健康な体づくりには欠かせないタンパク質。特に豆腐は良質なタンパク質を多く含み、さまざまな調理法で多彩なおいしさが楽しめる。「野菜と豆腐の料理家」として活動する江戸野陽子さんに、豆腐の新しい食べ方として、豆腐から作る大豆ミートと、その料理を紹介してもらう。

(5面・すまいる)

温州ミカン 3年生大苗で収益化2年早く(9面・営農技術・資材)【2025年3月1週号】

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 温州ミカン420アールを栽培する長崎県大村市野田の野田真吾さん(39)は、生産性の低い園地の改植や自ら開墾し、新規での植栽を積極的に実施。3年生大苗を活用して未収益期間の短縮に努め、JAの部会平均の約2.5倍の高収量を上げている。大苗は水田で密植して効率的に育苗。植え替えた翌々年の5年生から収穫し、慣行と比べると2年ほど早く収益化が期待できる。

(9面・営農技術・資材)

〈写真:「今は10年生が中心。まだまだ収量は伸びる」と野田真吾さん〉

「白神ねぎ」初の20億円突破/好天続き品質高く【秋田県・3月1週号】

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 【秋田支局】JAあきた白神(本店・能代市)が商標登録する「白神ねぎ」の販売額が、本年度初めて20億円を超えた。気象災害が少なく太物の出荷が順調で、高単価になったことが要因。同市では冬季も生産に取り組む農家がいるため、年度末までさらなる販売額の上積みが続く。

〈写真:ネギの出荷準備を進める能代市河戸川でネギ18ヘクタールを栽培する有限会社大和(だいわ)農園の従業員ら〉

町とモモにほれ込み再来日/世界一を目標に【福島県・3月1週号】

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 【福島支局】「世界一のモモを作ります」と日本語で目標を話す桑折町のアンソニー・ギランさん(39)は、同町のモモにほれ込み、後継者不足の一助になりたいとモモ農家になることを決意した。福島市飯坂町の県農業総合センター果樹研究所で栽培について1年間学び、今月修了式を迎える。

〈写真:研修でリンゴの品質を確認するギランさん。「桑折町は『王林』発祥の地だからモモと一緒に2、3本育てたい」〉

畦畔除去し一筆拡大【埼玉県・3月1週号】

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 【埼玉支局】加須市礼羽の角田大輔さん(38)は「彩のかがやき」を中心に水稲6品種を14ヘクタールで栽培する。「今後、栽培面積を拡大していきたいと考えています。販路拡大や作業の効率化を進め、経営安定を図りたいです。労力面では大変ですが、収入向上のチャンスと捉えています」と話す。

〈写真:出荷直前の米を前に角田さん。「今後は農福連携にも積極的に取り組みたい」〉

サツマイモ7品種で焼き芋/低温でじんわりと【新潟県・3月1週号】

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 【新潟支局】聖籠町二本松の高松敏昭(としあき)さん(52)は11月から毎週木曜日、新発田市役所1階の「札の辻広場」で「芋屋万七(いもやまんしち)」として、畑40アールで栽培したサツマイモ7品種を使った焼き芋を販売している。

〈写真:「春作業が始まるため、3月いっぱいで販売は終了」と高松さん〉

防風林「新たな価値を生む裾野の広さ【2025年3月1週号】」

 ▼漫画雑誌の編集を経験後、小説家としてデビューし、芥川賞を受賞するなど活躍する方の自伝的小説を読んだ。その中で、漫画や小説の編集者について、「かつては売れる売れないを気にしない編集者が大勢いた。むしろ売れる本があるから売れない本を出版でき、それを自分の仕事と任じている人さえいた」といった記述があり、印象に残った。
 ▼現代は何事も効率や成果が重視される時代だ。出版業界も小説や漫画雑誌の売り上げ減が続いており、売れない本の出版など無駄と切り捨てられるだろう。ただ、裾野の広さや多種多様な存在は大切で、売れない作家や売れない分野の本も不要ではない。
 ▼子どもの頃、父親が園地の隅でリンゴの新品種を試作していた。果実は小ぶりで、中まで赤みが入り、シャキシャキした食感が好きだった。作り続けてほしいとお願いもしたが、数年後には伐採されてしまった。
 ▼最近になって、中まで赤いリンゴが市販化されたと知った。多様な性質の品種があったからこそ、生まれた新品種であろう。

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