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今週のヘッドライン: 2024年09月 4週号

中山間で先端機器を実証 農地・生活の維持へ(1面)【2024年9月4週号】

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 福岡県古賀市の中山間に位置する小野地区では、農業者や大学などが「スマートアグリビレッジおの推進協議会」を結成し、先端技術を活用した農地維持や生活支援に向けた実証を進めている。リモコン草刈機の共同利用など、スマート農業技術を地域活性化に位置づけているのが特徴だ。地元農業者の満足度に重点を置いた結果分析などを基に、住民主体で生活や農業などの課題を解決できる仕組みづくりを目指す。

(1面)

〈写真:渡さんが操作するリモコン草刈機。バックしながら除草もできる〉

農村RMO推進へ 伴走支援の課題など議論(2面・総合)【2024年9月4週号】

 農林水産省は17日、農村RMO推進研究会を開催。「伴走支援の効果的な仕組み方」をテーマに、地域に根付いた農村型地域運営組織(農村RMO)の立ち上げや活動を支援する体制づくりの課題などを意見交換した。地域協議会や行政、支援団体など関係機関の役割の明確化と連携強化の重要性が提起され、地域に入り込む伴走支援者など人材の育成・確保や、活動状況に応じた継続的な支援を求める発言が挙がった。過疎化・高齢化が急速に進む地域で、コミュニティーの維持・活性化に農村RMOが果たす役割は大きい。地域の実情に応じて期待される機能を発揮できる環境整備へ支援の充実・強化が求められる。

(2面・総合)

NOSAI三重 災害時の情報提供など5市町と協定締結(3面・NOSAI)【2024年9月4週号】

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 NOSAI三重(三重県農業共済組合)は18日、熊野市、多気町、鈴鹿市、津市、桑名市の5市町と「災害時の協力に関する協定」を農業共済団体で初めて締結した。5市町の区域内で災害が発生し、5市町から要請を受けた場合、同組合が被害状況確認や被害情報の提供などで協力し、市町が行う被害認定調査などを支援する。住家や園芸施設について、同組合の職員は現地評価の経験があり、組合加入者の損害評価結果や被害写真などを提供することで被災者の生活再建に向けた迅速な対応が期待できる。

(3面・NOSAI)

〈写真:災害時の協力に関する協定 締結式〉

"農家の食卓"を発信 インスタグラムでファン獲得(4面・流通)【2024年9月4週号】

 栽培する農作物や農園の魅力を消費者に直接発信できるSNS(交流サイト)は、農業経営でもメリットが大きい。農林水産省が開催する農業女子プロジェクト「NEXTラボ2024」のセミナーで、写真共有アプリ「インスタグラム」を活用して多くのファンを獲得する鴨志田農園(東京都三鷹市)の鴨志田佑衣さんが講演した。効果的な発信の仕組みや工夫など概要を紹介する。

(4面・流通)

畜産ティーン育成プロジェクト 畜産をもっと元気に(5面・すまいる)【2024年9月4週号】

 「畜産ティーン育成プロジェクト」の成果報告会(主催国際農業者交流協会)が先ごろ、東京都大田区で開かれた。オーストラリアクイーンズランド州での現地研修を終えて帰国した高校生20人(19校)が参加。4グループに分かれ、現地の視察や交流での気づきや学びをもとに議論を深め、自分たちの目指す畜産業を提案した。

(5面・すまいる)

近畿農政局がシンポジウム開催(7面・営農技術・資材)【2024年9月4週号】

 近畿農政局は6日、耕畜連携で肥料・飼料の安定供給を目指す近畿耕畜連携イニシアチブの推進に向け「水田飼料作シンポジウム」をオンラインで開いた。稲発酵粗飼料(WCS)をテーマに耕畜連携2事例と極短穂型の専用品種「たちすずか」の畜種別給与効果などが紹介された。

(7面・営農技術・資材)

地域支えるコントラクター/耕畜連携 一層の拡大へ【香川県・9月4週号】

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 【香川支局】耕畜連携の取り組みが広がるまんのう町で、水稲などを作付けする「株式会社花岡農産」代表取締役・花岡宏行さん(38)は「飼料作物の生産拡大で、地域の耕作放棄地を減らしたい」と話す。2023年からはコントラクター(作業受託組織)として収穫作業を担い、24年は同町のWCS(発酵粗飼料)用稲作付面積の半分にあたる30ヘクタールを請け負う計画だ。
 「10年前まで父が牛を飼っていたので飼料作物に関心があり、地域貢献にもなるので取り組むことにしました」と花岡さん。23年に飼料用トウモロコシの作付けと、コントラクター事業を開始した。
 今作からは101馬力の汎用〈はんよう〉型微裁断飼料収穫機を導入し、作業の効率化を図る。刈り倒しと裁断が1台で行え、作業員2人で1日2ヘクタールの刈り取り作業ができる。

〈写真:県内では珍しい汎用型微裁断飼料収穫機を所有する花岡さん〉

力合わせて薬草栽培【石川県・9月4週号】

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 【石川支局】薬草栽培を軸にさまざまな活動を展開する白山市神子清水町〈みこしみずまち〉の神子清水薬草組合。代表の山岸淳さん(71)は「学生との交流や新しいことへの挑戦は楽しい」と話し、メンバー13人は生き生きとした日々を送っている。
 同組合が管理する薬草園は、8年前に耕作放棄地を整備したもので、良品質の国産生薬生産を研究する金沢大学医薬保健研究域薬学系・佐々木陽平教授の指導を受け、トウキやシャクヤクなどを栽培している。
 主に栽培するトウキは、根の部分に冷え性改善などの効能があるといわれ、漢方薬の原料となる。5月に播種・育苗し、翌年5月に定植する。収穫は11月で、その後乾燥させて、翌年の4月にようやく出荷となる。
 連作障害を防ぐため、40アールずつのブロックローテーションを行う。獣害対策として電気柵を設置しているが、有害獣の侵入に苦慮しているという。
 通常廃棄される葉や茎を使った入浴剤や、葉を加工したパウダーを振りかけるソフトクリームなどを商品化し販売する。
 山岸さんは「採算性に課題はあるが、農地を守り、活気あるコミュニティーを維持したい」と話す。

〈写真:薬草のトウキの手入れをする山岸さん〉

収入保険 私の選択/予期せぬ収入減少の備えに【京都府・9月4週号】

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 【京都支局】「長く農業を続けていくためにも収入保険に加入していると安心」と話す南丹市の「株式会社京八〈きょうや〉」代表取締役・香川賢人さん(34)は、「九条ねぎ」を1ヘクタールで栽培し、地元の給食センターや全国の飲食店に出荷している。
 「2015年に就農した当初は買い手を見つけることが難しく、畑にネギが残り大量に廃棄したこともあった」と香川さん。飲食店などに営業を続け、現在の出荷先は全国約70戸にまで拡大。「今は100戸を目指している」と笑顔で話す。また、規格外で出荷できないネギを加工することで、廃棄量の削減にも取り組んでいる。
 収入保険はNOSAI職員から制度について説明を受け、加入を決めた。「思いもよらない収入減は突然やってくるので加入していて安心。また、最大補償にすると収入の約8割を補償してくれるところが一番の魅力に感じた」
 21年は雨が少なく、干ばつによる水不足でネギの成長が阻害され、出荷量が減少。「収入が大きく減ったので補償を受けることができ助かった。これからも農業を続けていくために、収入減少には備えておくべき」と話す。
 今後について香川さんは「育てたネギを自分たちでお客さまに提供できる場をつくり、私たちを通して南丹市を全国に発信していきたい」と展望を話す。

〈写真:「廃棄を出さないように確実に出荷できる量を栽培している」と香川さん〉

イチゴにスマート技術/高反収を実現【長崎県・9月4週号】

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 【長崎支局】南島原市の本多衛治さん(43歳、「ベリーファームホンダ」代表)は、外国人材8人を含む従業員9人と共に、イチゴ「ゆめのか」をハウス計89アールで栽培している。本多さんは、スマート農業を積極的に取り入れ、10アール当たり8776キロ、秀品率99.1%と高反収・高品質なイチゴ栽培を実現し、昨年度の「ながさき農林業大賞」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。
 10年ほど前から自動換気や炭酸ガス発生装置などを取り入れ、他県へ視察に行くなど、効率的な栽培方法や技術を率先して取り入れてきた本多さん。現在導入している「統合環境制御システムEvoマスター」は、換気装置や炭酸ガス発生装置、暖房などの附帯設備を、イチゴの生育に適した環境になるよう自動で調整するIoT(モノのインターネット)技術だ。
 また、ハウス内の温度、土壌の状態、二酸化炭素濃度などを測定し、スマートフォンでデータを管理する。
 「以前使っていた装置では、スマートフォンでハウス内の環境を見ることができても、現地でその都度操作しないといけなかった」と話す。現在、Evoマスターが適した環境に自動で調整。何かあれば自宅や出先でもスマートフォンを使って、ハウスの様子を確認できるため、安心して管理できるという。「このシステムのおかげで、装置の無駄な動作がなくなりました。さらに病気の発生が減り、経費削減につながった」と本多さん。
 「統合環境制御システムなどを使うことで、ある程度の環境を整えることはできるが、最終的に人の手で行う葉かきや摘蕾〈てきらい〉などの作業が、良いものを作る上では一番大切」と話す。本多さんは両親が高齢になってきたことを機に、外国人材を積極的に受け入れ始め、人材確保にもつなげている。

〈写真:「地域農業のために少しでも恩返しができれば」と本多さん〉

防風林「クマ類による人身被害を出さないために【2024年9月4週号】」

 ▼クマ類の出没と人身被害が最も多い時期を迎えるため、環境省は、関係省庁連絡会議を開き本年度の状況を報告した。今年4~7月の出没件数(速報値)は1万704件で、過去最多の人身被害があった昨年同時期の8536件を上回った。例年は10月をピークに9~12月の被害が増えるので十分な警戒が必要だ。
 ▼秋にクマ類の出没や人身被害が増えるのは、キノコ狩りなど山に入る機会が増えるせいかと思った。しかし、資料によると9~12月の人身被害の3~6割は人家周辺で発生している。餌を探しに人の生活圏まで出てくるクマ類も相当多いということだ。
 ▼人身被害の回避へ同省は、クマ類を知ることと適切な対策を呼びかける。地域の出没情報に留意し、遭遇しやすい早朝や夜間の外出は避ける。外出時は音の出るクマ鈴などを身に付けて存在を知らせる、などだ。
 ▼ただ、人の生活圏へのクマ類の侵入を防ぐには、すみ分けを図る環境整備が欠かせない。餌となる作物を放置せず、生活圏と接する山林や耕作放棄地の草刈りなど、地域を挙げた対策の積み重ねが肝要だ。

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