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今週のヘッドライン: 2024年06月 1週号

基本理念に食料安保 改正基本法が成立(1面)【2024年6月1週号】

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 改正食料・農業・農村基本法が5月29日、参院本会議で可決、成立した。基本法制定から四半世紀を経て、気候変動や紛争による食料生産・供給のリスクが高まるなど世界的な情勢変化や国内農業・農村の課題などへの対応を図り、基本理念に新たに「食料安全保障の確保」を加えたほか、「環境と調和のとれた食料システムの確立」「多面的機能の発揮」「農業の持続的な発展」「農村の振興」を掲げた。政府・与党は今後、改正基本法に沿った施策などを具体化する新たな食料・農業・農村基本計画の検討を進めるとともに、来年度の予算編成で裏付けとなる財源確保を目指す方針だ。

(1面)

〈写真:改正基本法は、与党などの賛成多数により可決、成立した(5月29日、参院本会議) 〉

主食用「増加」11県に 24年産米の作付け意向(2面・総合)【2024年6月1週号】

 農林水産省は5月30日、2024年産の水田における都道府県別作付け意向(4月末時点)を示した。23年産米の実績と比較し、主食用米は「増加傾向」が1月末時点の調査に比べ6県増の11県となった。

(2面・総合)

23年度農業白書が閣議決定 基本法検証・見直しを特集(2面・総合)【2024年6月1週号】

 政府は5月31日、2023年度「食料・農業・農村白書」を閣議決定した。「食料・農業・農村基本法の検証・見直し」を特集し、現行法制定後の情勢変化や今後20年を見据えた課題、法改正で目指す政策の方向性などを記述した。

(2面・総合)

収入保険 無利子の「つなぎ融資」で資金繰りを支援(3面・収入保険)【2024年6月1週号】

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 収入保険に加入する利点の一つが無利子のつなぎ融資だ。自然災害などの減収事故により保険金等の支払いが見込まれる場合、加入者が申請すれば、一定額の資金の貸し付けを受けられる。ナシ85アールなどを栽培する福島県須賀川市和田の円谷正広さん(64)は、昨年4月の凍霜害でナシの収量が9割減となり、11月につなぎ融資を受けた。「資材費の支払いに充てた。手続きはスムーズで本当に助かった」と話す。

(3面・収入保険)

〈写真:ナシを摘果する円谷さん〉

水害、自宅浸水からの再建(5面・すまいる)【2024年6月1週号】

 生活を脅かす水害が毎年、各地で発生している。自宅が浸水した場合、早期の生活再建には、被災状況の記録、公的制度の利用やボランティアへの助けを借りることも大切だ。災害支援や防災に関わるNPOやボランティアの支援組織「震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)」は、被災地での支援経験を基に生活再建の手引き『水害にあったときに』を公開・配布している。事業担当責任者の松山文紀さん(災害対応NPO法人「MFP」代表)に、ポイントを教えてもらう。

(5面・すまいる)

TMR調製に氷水 牛の暑熱対策(7面・営農技術・資材)【2024年6月1週号】

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 千葉県四街道市鹿放ケ丘で、搾乳牛280頭規模の酪農経営をする若月牧場では、完全混合飼料(TMR)の加水時に一部を氷水にして、牛の食いつきを維持するなどの暑熱対策で乳量・乳質の安定や繁殖成績向上につなげている。若月一成代表(65)は「昨年も35度を超える日があり、異常な暑さ。暑熱対策は経営上かなり重要だ」と話す。搾乳牛舎は、屋根に輻射熱を防ぐ太陽光発電パネル、牛舎内に大型ファンを設置するなど環境を整えている。

(7面・営農技術・資材)

〈写真:事務所の窓を開け、大型ファンを示す若月代表。上から牛舎が見渡せる〉

自家産米食べてほしい/米農家の挑戦【新潟県・6月1週号】

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 【新潟支局】胎内市塩津地区の佐藤十代一さん(59)は、2022年12月に「農家のキッチンカー Cumin Cumin」をオープン。スパイスカレーを販売し、現在は妻の則子さん(52)が2台目のキッチンカーでアジアンフードを販売する。家族で協力し合いながら、交流サイト(SNS)を活用して週末を中心にイベントに出店している。
 佐藤さんは水稲3ヘクタールを栽培。農家を継ぐつもりで農業高校に進学し、卒業後は兼業農家として一般企業に就職した。しかし、60歳を前にして元気なうちに好きなことがしたいと思うようになった。たまたま同市の若手イチゴ農家と話をした時に、若くても頑張っている人がいることに感銘を受け、退職を決意した。
 その後、何をしようかと考えていた際「自分が栽培したお米を食べてもらうのが一番ではないか」と思い、真っ先に浮かんだのがカレーだった。農業の合間での営業になるので、店舗を構えるより、どこへでも移動できるキッチンカーで販売することに決めた。

〈写真:笑顔で接客する佐藤さん〉

アスパラガス「採りっきり栽培」病害回避と省力化【山形県・6月1週号】

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 【山形支局】鶴岡市羽黒町の「佐藤農園」では、代表の佐藤俊一さん(66)と妻の智美さん(42)、次男、長女の夫と共に、標高約400メートルの山間地で、もち米約15ヘクタールのほか、小麦5ヘクタール、アスパラガスとニンジン各1ヘクタール、「月山筍」60アールを手がける。栽培するアスパラガスの品種は「大宝早生」で、昨年から「採りっきり栽培」を実践している。
 アスパラガスは通常、苗を定植してから本格的な収穫まで3年を要し、その後10~15年にわたり収穫できる。単価は高いが、収益化に時間がかかる。さらに、栽培管理によって収量が変動し、病気にかかりやすくもなる。
 採りっきり栽培は毎年新しい株を植える方法。1年で株を更新するため、病害虫の影響を受けにくい。さらに、佐藤さん方の圃場が平野部より気温が低いことから、病害虫の影響が少なく、防除回数を最小限にとどめている。

〈写真:「豊かな自然の中で育った作物を味わってほしい」と佐藤さん夫妻〉

レンコン通年出荷/ハウス栽培と組み合わせて【石川県・6月1週号】

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 【石川支局】伝統野菜「加賀れんこん」を栽培する金沢市の農事組合法人デマンドの藤田需代表(47)は、県内では数少ないハウス栽培を2018年に導入。露地栽培7.5ヘクタールとハウス栽培50アールを組み合わせた通年出荷体制を確立し、売り上げを伸ばしている。
 「年間通してレンコンが欲しいというお客さんの声がきっかけ」と話す藤田さん。ハウス栽培は露地と比べ1カ月ほど生育が早いため、露地の端境期である6月から7月に収穫・出荷が可能だ。市場では通常より高値で取引されるほか、ハウス内は自然災害の影響が少なく比較的安定した収量が見込める利点がある。
 「県外のノウハウを参考に、現場に合った栽培方法を模索した」と振り返る。生育ステージに合わせてハウス内の温湿度と換気に特に気を配る。植え付け後は生育促進のためハウス内の温度を上げ、葉が育つと葉焼けを起こさないよう適温に保つ。換気は根切れしないよう風量や風向きに注視し微調整するという。

〈写真:「端境期の出荷を取引先にアピールできる」と藤田さん〉

特産「関金わさび」無病苗の培養・販売【鳥取県・6月1週号】

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 【鳥取支局】倉吉市関金町で株式会社西河商店を営む西河葉子さん(47)は、地域活性化を目指して、ワサビ苗、葉ワサビなどの生産・販売と、ワサビ加工品の開発・販売を行っている。
 西河さんは地域おこし協力隊として関西から移住した後、関金町に住む人たちの人柄の良さや、水のおいしさに魅力を感じ、定住・起業を決めた。
 西河さんは関金わさびをPRする中で「生産者が思うより消費者はワサビに価値を感じていることを知った。消費者の思いを生産者へ届けて、両者をつなぐ架け橋になりたい」と話す。

〈写真:「香りの抽出技術を活用して、関金わさびだけを使った商品を開発しました」と西河さん〉

防風林「地域活動と学区の関係【2024年6月1週号】」

 ▼少子化の進展に伴い、小中学校の統廃合が進む。小中学校の学区は、集落や地域住民の生活圏とも重なる。小学校のグラウンドで開かれた地区対抗の運動会も故郷の懐かしい思い出だ。小学校が移転し、いまは運動会もなくなった。時代の変化とはいえ寂しさを感じる。
 ▼総務省が公表した地域運営組織(RMO)の調査結果を見て、改めて学区の意味を考えた。RMOは、地域で暮らす人が中心に組織し、地域を守る活動を担う。全国に7710のRMOがあり、祭や運動会の運営、交流事業、福祉活動などを行う。その7割超が小中学校の学区を活動範囲と回答している。
 ▼文部科学省は、廃校施設を地域の財産として活用する「みんなの廃校」プロジェクトを展開する。2002年度から20年度の廃校数8580のうち施設が残るのは7398。その8割近くが社会教育施設や体験交流施設などに利用されている。
 ▼いまも毎年450校前後の廃校施設が生じており、活用は地域の重要課題だ。農林水産省は、農業の課題可決に農村型RMOの取り組みを推進する。施設活用と農業振興を結びつけた活動も一考に値すると思う。

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