今週のヘッドライン: 2024年04月 3週号
岡山市北区の株式会社岡山フルーツ農園(高原弘雅代表、41歳)は、商品用途に合わせたブドウの栽培体系を構築。手間をかけるギフト用に対して、日常消費用、加工原料用は、大粒化の摘粒工程などを省いて大幅な省力化を実現し、規模拡大に対応する。高低差のある田畑の法面(のりめん)を取り払って隣地とつなげ、緩傾斜の大区画園地を造成するほか、低コストで作業性に優れる独自の雨よけハウスを自社で施工する。耕作放棄地が増加する中山間地域でブドウによる効率的な農地活用に力を注ぐ。
総務省は5日、2023年度の地域おこし協力隊の隊員が前年度比753人増の7200人となったと発表した。4年連続で増加し、過去最多を更新。受け入れ自治体も48団体増の1164団体で最多となった。また、22年度末までに任期を終了した隊員の64.9%が活動地域に定住し、農業や観光業など地域を担う人材として活躍する。一方、地域が求める人材と、隊員がやりたいこととのミスマッチなどを理由に任期途中で離任する例もあり、自治体によるサポート強化など課題もある。政府は26年度までに隊員数を1万人に増やす方針だ。高齢化や人口減少が進む中、人材の受け入れ拡大と定住促進へ隊員に寄り添った支援の充実が求められる。
大豆は天候不順の影響を受けやすい作物だ。特に水田で栽培する都府県では播種適期が梅雨と重なり、湿害による発芽不良を起こしやすい。万一の収量減に備え、収入保険や大豆共済への加入は欠かせない。大豆共済の仕組みについて、稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。
農業共済新聞は、本号で創刊3500号を迎えた。1948(昭和23)年4月の創刊から76年目での到達となる。この間「農家に学び農家に返す」の一貫した編集方針の下、生産現場に立脚し、読みやすく分かりやすい紙面づくりに努めてきた。農業者4人から本紙への期待を寄稿いただいた。
「自分と会って話すことで一人でも多くの人に野菜を好きになってもらいたい」と話す、千葉県香取市にある農園リゾートを運営する株式会社ザファームの所属タレント「ヤサイちゃん」として活動する安藤飛翔(つばさ)さん(27)。同リゾートの収穫体験や自身の交流サイト(SNS)などで農業や野菜の魅力を発信する。PR活動に努めながら、農業界を象徴する存在になるべく日々励んでいる。
施設70アールで大玉トマトを栽培する栃木県栃木市の柏﨑弘行さん(65)は、軒高2メートルのハウスでつるおろし栽培を応用できる誘引方法「連続摘芯」を実践する。摘芯後の脇芽を利用して着果させる。11月中旬~翌7月上旬に収穫し、10アール当たり収量約27トンを確保。3~4花房(段)おきに2度摘芯して節間を縮め、斜め誘引をせずに生育のスペースが確保できる。柏﨑さんは「摘芯後の脇芽につく果実は玉伸びも良い。まっすぐ誘引できるのでトマトの生理に合う」とする。
【鳥取支局】鳥取市の「観光農園ふぁんふぁんふぁーむ」では、県オリジナルイチゴ品種「とっておき」4800株を9アールで栽培する。設備の整ったガラスハウスで良品生産に励み、青果出荷とイチゴスイーツの製造・販売、イチゴ狩りを展開。
〈写真:「とっておき」を手にする農園の責任者の田村豊(たむらゆたか)さん(61)〉
【山形支局】「リンゴの超高密植栽培は高収量で作業の省力化が見込め、うちの経営にはメリットが大きい」と話すのは、南陽市砂塚の「佐藤市右衛門農園(さとういちえもんのうえん)」代表・佐藤大祐(だいすけ)さん(37)。2023年12月にリンゴ園地14アールを改植し、超高密植栽培に取り組んでいる。
10アール当たり約260本を樹間1メートル以内で密植。樹高3.5メートルほどで、日当たりの良い生け垣状に仕立てる。最盛期には10アール当たり約6トンと慣行栽培の3倍の収量が見込める。
〈写真:「超高密植栽培技術を確立させ軌道に乗せていきたい」と佐藤さん。主幹に対して2分の1の太さの枝を剪定する。側枝を下垂誘引して樹勢をコントロール〉
【埼玉支局】川口市木曽呂の石井美咲さん(30)は、消費者に直接アプローチするため、写真共有アプリ「インスタグラム」を活用したマーケティングに取り組む。父・栄作さん(60)と共に、露地1ヘクタールとハウス2アールでハマボウフウや葉ショウガなど野菜30品目を栽培し、地域住民にターゲットを絞って出荷や販売を行うほか、農業体験を実施する。
〈写真:ハマボウフウを収穫する石井さん。「川口市の伝統的な野菜。今後も主力品目として栽培していきたい」〉
【福島支局】モモ200アール、水稲70アールを栽培する桑折町の相原晴美さん(50)は、2011年に三重県から福島市飯坂町へ移住した果樹農家の大内美千代さん(47)と共に、県北地方の女性農業者に声をかけ「ふくしま農業富女子会(ふじょしかい)」を24年3月に設立した。交流を深めながら情報交換や勉強会を行い、会員の技術向上を目指す。
〈写真:設立総会時の会員。前列右から4人目が相原さん(写真提供=相原さん)〉
【岡山支局】岡山市東区の株式会社谷口商会(谷口守〈たにぐちまもる〉代表、70歳)は、自社産アスパラガスの茎を乾燥加工した「アスパラ茶」の販売を2023年から行っている。出荷規格よりも余分に伸びた茎を切り取って利用している。
〈写真:「まろやかな味わいで飲みやすい」と谷口代表〉
▼議員のなり手不足が進み、昨年5月以降の4年間で全国の3分の1を超える316町村の町村議会議員選挙が無投票になる可能性があるという。全国町村議会議長会の有識者検討会がまとめた報告書では、昨年4月までの4年間に254町村の選挙が無投票で行われ、「定数+1」の選挙を含めると約6割の553町村に及んだとした。
▼要因には、議会の役割や議員のやりがいが住民に浸透しておらず、高齢男性ばかりとのイメージや低報酬、女性や若者が立候補しにくい保守的な風土などが挙がる。住民の距離が近い小規模町村では、家族や親族が反対し、立候補を断念する例もあるとした。
▼小学生の頃、立候補した知人を父親が応援し、自宅の一室が事務所代わりに使われた。多くの人が出入りし、当時はお酒も付きもので、騒がしかった記憶しかない。
▼なり手不足を放置すれば、議会の存在意義が揺らぎ、政策立案、行政監視の機能低下や地方自治の弱体化を招く。高齢・過疎化や産業振興、生活環境整備など課題は多い。女性や若者の背中を押す仕組み整備を急ぐ必要がある。