ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2024年03月 1週号

安全研修に重点 農業機械事故防止と熱中症対策を強化(1面)【2024年3月1週号】

 農林水産省は2月22日、2024年度の農作業安全対策の推進方針を決めた。26年までに農作業事故死亡者数を22年の238人から半減させる目標を新たに設定。農業者向けの農作業安全研修の推進を柱に対策を集中展開する。特に農閑期の12月~2月末を「農作業安全研修実施強化期間」と位置付け、農作業安全指導者による研修・講習の積極的な開催と参加を促進する。温暖化の影響で増加する熱中症の予防対策の強化へ「熱中症対策研修実施強化期間」(5月~7月末)を設ける。農作業事故死亡者数は減少傾向にあるものの、農業従事者10万人当たりの死亡者数は増加傾向にある。官民連携で命を守る対策の徹底・強化は待ったなしだ。

(1面)

物流2024年問題 産地負担の回避を(2面・総合)【2024年3月1週号】

 4月から適用されるトラックドライバーの時間外労働の規制強化に伴って、物流停滞が懸念される「2024年問題」では、特に農産品などで輸送能力の低下が危惧されている。政府の中長期計画では、荷待ち・荷役時間の削減など数値目標を明記し、物流の生産性向上やデジタル化など輸送能力の維持に向けた政策パッケージを推進する。国産農産物の需要減退や産地の負担増大につながらないよう、生産から流通、販売まで一貫した取り組みが求められる。

(2面・総合)

農相 早期の成立に尽力 改正基本法など3法案が閣議決定(2面・総合)【2024年3月1週号】

 政府は2月27日、食料・農業・農村基本法改正案と関連2法案を閣議決定し、国会に提出した。基本法改正法案は(1)食料安全保障の抜本的な強化(2)環境と調和の取れた産業への転換(3)人口減少下における農業生産の維持・発展(4)農村の地域コミュニティーの維持――を柱に、基本理念に「食料安全保障の確保」を規定し、関連する基本的施策などを定める。坂本哲志農相は閣議後会見で「環境と調和した農業を振興し、農地の適正な利用を図り、農業者が農で働くことで楽しさとやりがいを持ち、国民に安定的な食料を届ける責務を果たすことを実現していく」とし「一日も早い法案成立に尽力する」と述べた。

(2面・総合)

猛暑でベビーリーフに被害 収入保険で強い経営へ(3面・収入保険)【2024年3月1週号】

 「今年の夏は暑さ対策を徹底して確実に収穫したい」と話すのは、ベビーリーフ(野菜の幼葉)を水耕栽培する株式会社マジカルプランツ(埼玉県鴻巣市)の坂本優志郞代表(36)。昨年は記録的な高温で夏場の生産量が激減し、経営に大きな打撃を受けた。今年は猛暑への備えを強化するとともに、新たな品目のアマランサス生産を本格化し、営業にも一層力を入れる考えだ。収入保険への加入を安心材料に、より強い経営を目指す。

(3面・収入保険)

個性的な魅力楽しんで 昭和以前、懐かしのトマト品種(5面・すまいる)【2024年3月1週号】

 昔のトマトの味が懐かしい――。読者からはがきが届いた。現在では「桃太郎」など甘さや実の形のそろいなどが改良された品種が一般的だが、懐かしの品種も、特有の風味や甘みと酸味のバランスなどから一部では根強い人気があるようだ。長崎県松浦市で野菜種苗を販売する「松尾農園」の松尾秀平さん(39)に、昭和以前に主流だった大玉トマト2品種を軸に、面白さや改良の経緯について教えてもらう。

(5面・すまいる)

シカ・イノシシ被害が激減 柵の管理に全世帯が参加(9面・営農技術・資材)【2024年3月1週号】

240301_6.jpg

 三重県伊賀市の比自岐〈ひじき〉地区獣害対策協議会では、3集落の全世帯が全長約18キロの侵入防止柵の点検と補修作業を担う。シカやイノシシなど獣害の被害金額が約14万1千円(2022年度)と10年前の約650万円から激減した。捕獲にも力を入れ、遠隔操作システムを活用したシカ用の大型捕獲おり2台を導入。出没状況を確認して餌を置く位置と量を決め、当番制で給餌し、効率を高めている。

(9面・営農技術・資材)

〈写真:目隠しのために設置した防草シートを手に森本さん〉

おむすぶで縁むすぶ/地元の食材を厳選【宮城県・3月1週号】

240301_7.jpg

 【宮城支局】「栗原のお米のおいしさや、地元の農産物をおむすびで広めたい」と話すのは、栗原市築館の「おむすびキッチンカー くりはらおむすび」の店主・星光(ほしひかる)さん(37)。同市の農家に生まれ育ち、北海道の大学へ進学後、農業関係の仕事に就職。東日本大震災を機に地元栗原に戻り、おむすびキッチンカー事業を開始した。

〈写真:「地元のおいしい恵みをたくさんの人に伝えたい」と星さん〉

ブログ、手作り情報紙で〝集客〟/圃場を店舗に野菜販売【広島県・3月1週号】

240301_8.jpg

 【広島支局】定年退職後に本格的に農業を始めたという廿日市市上平良の名井(みょうい)義則さん(73)。「みんなと同じことをやっても面白くない」と、消費者に畑に来てもらい、欲しい野菜をその場で名井さんが収穫し販売する「畑のやおや」を営む。今年で14年目になり、1月にはこれまでの来場者が8600人を超えた。

〈写真:「たくさんのお客さんに来てもらいたいという思いで『畑のやおや』にした」と名井さん〉

耕作放棄地解消と障がい者の働く場確保へ【埼玉県・3月1週号】

240301_9.jpg

 【埼玉支局】坂戸市で「武州農園」を経営する鈴木聖弘(きよひろ)さん(48)。坂戸市と毛呂山町、日高市の圃場でクリ83アールとウメ77アール、ユズ3アールの栽培に取り組む。「地域の耕作放棄地を解消しながら、障害がある人に働く場を提供していきたいです」と話す。

〈写真:クリを剪定する鈴木さん。収入保険に加入し備える〉

効率向上、高品質リンゴ/樹高低く樹間を広く【岩手県・3月1週号】

240301_10.jpg

 【岩手支局】花巻市石鳥谷町の「株式会社宇津宮果樹園(宇津宮邦昭代表取締役=48歳)」は、「ふじ」「ジョナゴールド」など40品種以上のリンゴを栽培。収量よりも品質を重視した高品質リンゴの生産で顧客の期待に応える。

〈写真:「お客さまの声が励みになっている」と宇津宮代表〉

乾燥調製時の割れ米を製粉/好評「米粉たこ焼き」【石川県・3月1週号】

240301_11.jpg

 【石川支局】白山市明島町で米、麦合わせて約30ヘクタール栽培する早崎農産では、米を乾燥調製する際に発生する割れ米を活用するため、自家で製粉する米粉の受注生産を2001年に始めた。04年には米粉を生かした加工品「米粉たこ焼き」を開発し、市内のイベントなどで販売してきた。一昨年からはキッチンカーを使って、市内を中心に土日やイベントで出店する。

〈写真:「楽しんで仕事をしています」と店主の早崎長人さん〉

防風林「スマート農業の推進 技術を使うのか技術に使われるのか【2024年3月1週号】」

 ▼運転手不足による既存のバス路線の廃止や減便が報道されている。直接的には、4月から適用される運転手の時間外労働時間の上限規制などに伴う影響で、2024年問題といわれるもの。ただ、労力不足は国内の産業全体を覆っている。待遇改善とともに達成感など仕事の魅力向上も大切だろう。
 ▼厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、2070年の人口を8700万人と推計。20年の1億2615万人と比べ7割程度になると見通す。人口は第2次大戦後の1950年ごろと同程度だが、年齢構成が異なる。戦後は5%に満たなかった65歳以上の割合は、70年には4割近くになる。
 ▼食料・農業・農村基本法改正案の関連で国会に提出されるスマート農業技術活用促進法案について、農林水産省は、スマート農業技術の活用で生産性の高い食料供給体制の確立を目指すとする。スマート農業技術に合わせた生産方式への転換も促す考えだ。
 ▼背景には、基幹的農業従事者数が20年後に4分の1の30万人に減るとの危機感がある。事情は理解するが、「技術に合わせた生産方式への転換」に引っかかる。栽培など個々の工夫が生かせる魅力を伝えた方が、多くの65歳以上層の関心を引くのでは。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る