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今週のヘッドライン: 2024年02月 3週号

基本法改正案 基本理念に「食料安全保障の確保」(1面)【2024年2月3週号】

 農林水産省は13日、自民党農林関係合同会議に食料・農業・農村基本法改正案条文を示し了承された。政府は月内にも閣議決定し通常国会に提出する。基本理念に「食料安全保障の確保」を規定し、国内への供給に加え、海外輸出を図ることで食料の供給能力を維持する旨を明記する。食料の価格形成は「持続的な供給に要する合理的な費用を考慮しなければならない」とした。環境と調和のとれた食料システムの確立に向けた環境負荷低減の促進も盛り込んだ。農業の持続的な発展では、効率的かつ安定的な農業経営以外の「多様な農業者による農地の確保」を追記。農業法人の経営基盤の強化やスマート技術などを活用した生産性向上などを規定する。

(1面)

基本法関連2法案 自民党が条文了承(2面・総合)【2024年2月3週号】

 農林水産省は14日、自民党の農林関係合同会議で「食料供給困難事態対策法案」と「農業振興地域整備法等改正案」の条文を示し、了承された。通常国会に提出し、食料・農業・農村基本法改正案と一括審議される予定。

(2面・総合)

外国人材の新たな「育成就労制度」 農相「選ばれる産業に」(2面・総合)【2024年2月3週号】

 外国人技能実習制度に代わる「育成就労制度」創設の政府方針決定について、坂本哲志農相は13日の会見で「農業分野が外国人材から選ばれる産業となることなどを念頭に検討していく必要がある」と述べた。他の事業者などへ移る「転籍」を認める期間の設定に慎重な姿勢を示した。

(2面・総合)

農機具共済 事故や盗難、自然災害をカバー(3面・農業保険)【2024年2月3週号】

 衝突や接触などの稼働中の事故や格納中の盗難に加えて、近年多発する自然災害による損害など、さまざまなリスクから農家の財産(農機)を守り、営農を支えるNOSAIの農機具共済。規模拡大や集落営農の展開で大型農機の購入機会も増える中、充実した補償で修理や買い替えに係る費用負担を軽減できる。農機具共済に加入し、多様なリスクに備えたい。

(3面・農業保険)

認知症との向き合い方 「認知症の人と家族の会」がアドバイス(5面・すまいる)【2024年2月3週号】

 高齢化の進展とともに増加する認知症患者数。認知症の人や家族、支える人たちでつくる公益社団法人「認知症の人と家族の会」代表理事の鎌田松代さんは「診断を受けた人や介護する家族は抱え込まず、同じ立場の人と出会ったり、専門家などに相談したりすることが大切」と強調する。心がけたいことなどをアドバイスしてもらった。

(5面・すまいる)

産地振興に貢献 果樹農業における担い手の育成及び活躍表彰(7面・営農技術・資材)【2024年2月3週号】

 中央果実協会は、本年度から開始した「果樹農業における担い手の育成及び活躍表彰」の受賞者を公表した。果樹経営で、新技術導入などに積極的に挑戦する生産者と、効果的に就農者を定着させる組織を表彰する。最優秀の農林水産省農産局長賞には、「活躍する担い手の部」でリンゴ10ヘクタールを栽培する青森市の株式会社福士農園の福士寛和代表が、「担い手の育成・確保の部」で和歌山県紀の川市のJA紀の里あら川の桃部会が選ばれた。

(7面・営農技術・資材)

農家直営のつぼ焼き芋専門店/栽培から素材を追求【埼玉県・2月3週号】

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 【埼玉支局】杉戸町でサツマイモ30アールと水稲2ヘクタール、キュウリ12アールを栽培する舟田一希さん(27)。昨年12月、越谷市宮本町につぼ焼き芋の専門店「農家直営 笑芋(えみいも)」をオープンした。焼き芋のテイクアウト販売が主軸で「笑芋ブリュレ」や「笑芋ソイシェイク」など焼き芋を使用した甘味のイートインスペースも設ける。生産から販売までの一貫経営を強みに、商品開発や販売拡大に取り組む。

〈写真:「来店客は20~40代の女性や家族連れが多いです」と舟田さん〉

無駄なく使い切る商品開発【福井県・2月3週号】

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 【福井支局】大野市阪谷地区にある「さかだに特産工房」では、地域の特徴を生かし「雪の下にんじん」を生産する。農薬を使わず栽培する雪の下にんじんは好評だったが、6割が規格外になることも。メンバーに相談したところ、ピクルスやジャムへの加工を提案され、商品開発に着手。サイズがとれる部分はピクルスに、切れ端などはジャムにすることで、すべてを使い切ることに成功した。

〈写真:「楽しく笑顔のあるこの工房を続けたい」と山村さん〉

県外で売り上げ好調のいぶりがっこ【秋田道・2月3週号】

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 【秋田支局】松倉農産物生産加工所を営む大仙市松倉の佐々木肇さん(80)は、いぶりがっこの製造と販売に取り組む。漬物文化が根付く地域で、添加物を使わない昔ながらの製法で加工に力を入れる。

〈写真:いぶりがっこの状態を確認する肇さん〉

ブロッコリー 「指定野菜」追加で生産に弾み【島根県・2月3週号】

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 【島根支局】2014年から松江市東出雲町でブロッコリー75アールを栽培する奥井裕介さん(40)は、ブロッコリーが「指定野菜」に追加されることに期待を寄せる。

〈写真:出荷前のブロッコリーを手に奥井さん〉

冬野菜「チコリー」/栽培に工夫し品質が安定【北海道・2月3週号】

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 【北海道支局】北斗市追分地区の白石農園では、冬季に冬野菜「チコリー」の収穫が始まる。チコリーとは欧州原産のキク科の野菜。香りやシャキッとした食感、甘さとほろ苦さが共存する味が特徴だ。同農園ではホワイトチコリーとレッドチコリーの2種類を作付ける。「最初の10年くらいは採算が合わなかった。試行錯誤の末、もみ殻を敷き詰めるようになってから品質が安定し、軌道に乗せることができた」と話す。

〈写真:今年の出来について話す白石裕昭さん(63)〉

花き地下水利用し冷却、暖房【山形県・2月3週号】

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 【山形支局】鶴岡市下川で花きを栽培する阿部秀和さん(47)は、地下水を利用した2種類の装置を導入することで、電気代や燃料費などの生産コストを大幅に削減している。

〈写真:ハウスで笑顔の阿部さん〉

防風林「不満を募らせる欧州の農業者【2024年2月3週号】」

 ▼欧州各地でトラクターによるデモや港湾封鎖など農業者による抗議行動が活発化している。日本では、大きく報道されていないが、ドイツやフランス、イタリア、スペイン、オランダなどの国々にも騒ぎが拡大。卵を投げたり火を燃やしたりと過激な行動もみられた。調べてみると、ウクライナ情勢の影響による資材価格の高止まりや農畜産物価格の低迷、環境負荷を低減する農法などの支援重視へ農業政策の転換を図る欧州委員会への反発など共通する問題があるようだ。
 ▼欧州で農畜産物価格が低迷する背景に、ウクライナ支援の一環でウクライナ産農畜産物の輸入関税を免除した影響も指摘されている。安価な農畜産物の輸入が増え、各国の国産農畜産物の価格を引き下げているという。ウクライナ情勢が長期化するに伴い、経営への打撃が深刻化しているのだ。
 ▼環境負荷低減の施策に関しては、農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を策定した際に、先行する欧米の施策を手本にした。欧州では、ディーゼル燃料の補助削減など政策転換へ動き出している。価格低迷に加え、政策転換に伴うコスト負担増が加わり、不満が爆発したのだ。
 ▼食料・農業・農村基本法改正案は、今通常国会に提出される。食料安全保障の確保を掲げ、生産基盤の強化を図ると同時に農業の環境負荷低減も推進するとした。生産者はコスト負担増に、消費者は食品価格の値上げに直面する中で、国民的な理解を得るためには適正な価格形成への道筋づくりが急務だろう。

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