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今週のヘッドライン: 2023年07月 1週号

伐採竹を堆肥に活用 里山整備し獣害抑制へ(1面)【2023年7月1週号】

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 広島県安芸高田市の美土里土づくりセンターでは、里山整備で伐採した竹を粉砕し、牛ふんと混ぜた「竹チップ堆肥」の製造・販売に力を注いでいる。同センターは市の施設で、株式会社リビングファーム広島(山本昭利代表、77歳)が指定管理者として管理・運営を担う。年間1500トンの堆肥を製造し、市内外の農家に販売するほか、家庭菜園向けに袋詰めのシリーズも商品化した。放置竹林の解消を進め、里山の資源の価値を最大化するとともに、シカ・イノシシなど獣害の抑制にもつなげたい考えだ。

(1面)

〈写真:竹チップを手にする山本代表〉

農水省 中山間直払制度の中間年評価案を示す(2面・総合)【2023年7月1週号】

 農林水産省は6月23日、中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会を開き、第5期対策(2020~24年度)の中間年評価案を示した。アンケート調査では、22年6月時点で活動する集落協定の93%が次期対策への継続意向を示した一方で「70歳以上」の代表者が5割を占め、次期対策における役員のめどが「ない」協定が25.5%となった。農用地の荒廃防止などで成果を挙げてきた同制度だが、活動継続には協定の代表や事務作業を行う担い手の確保・育成支援などの検討が急務だ。

(2面・総合)

NOSAI団体 2024年度農業保険予算の必要額確保を要請(2面・総合)【2023年7月1週号】

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 NOSAI団体は6月28日、2024年度農業保険関係予算の必要額確保を求める要請書を野村哲郎農相に手渡した。NOSAI協会(全国農業共済協会)の髙橋博会長らが農林水産省内で直接面会した。

(2面・総合)

〈写真:野村農相(左から3人目)に要請書を手渡す髙橋会長〉

自家産アボカドを楽しもう 熱帯果樹農家に聞く特徴と育て方(5面・すまいる)【2023年7月1週号】

 食味や健康効果で、人気のアボカド。南国のイメージが強いが、実は国内でも広く栽培できる。さらに、輸入品の多くは皮が硬い「ハス種」中心だが、多様な品種があり、栽培すれば、自家消費や直売向けなどに濃厚でおいしい国産アボカドが手に入る。鹿児島県日置市伊集院町で熱帯果樹を栽培し、アボカドの入門書も執筆しているゆす村農園有限会社の東愛理さん(38)に、品種選びや栽培のこつを教えてもらった。

(5面・すまいる)

全国豆類経営改善共励会 大臣賞の経営(9面・営農技術・資材)【2023年7月1週号】

 国産大豆などの振興を図る「2022年度(第51回)全国豆類経営改善共励会」(主催・JA全中、JA新聞連)の表彰式が6月27日、東京都内で開かれ、全国から出品された120点から、栽培技術や生産コスト低減などに優れた8点の受賞者・団体を表彰した。大豆の家族経営の部と集団の部で、農林水産大臣賞を受賞した3経営体の経営概要を紹介する。

(9面・営農技術・資材)

適正管理を積み重ね高品質アスパラガス【7月1週号 山形県】

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 【山形支局】「就農後のフォロー体制を整えることで、若手生産者が安心して栽培に取り組めるのではないかと考えています」と話すのは、南陽市宮内でアスパラガス50アールを栽培する紺野幸陽〈こんの・よしたか〉さん(42)。徹底した管理と高い栽培技術で、県農業技術普及課の栽培データ収集に協力し、研修会などで圃場を提供する。若手生産者の育成に積極的に取り組むなど、生産者のリーダー的存在だ。紺野さんが2013年に就農した当時、アスパラガスを生産する若手はほとんどいなかった。栽培を始めても、管理の難しさや収穫の大変さからやめてしまう人が少なくないという。そこで紺野さんは、県に新規栽培者の定期的な研修会の開催や技術面のフォローを呼びかけ、生産者側としての指導や聞き役となるなど、若手生産者を支えている。アスパラガスは、苗を定植して1、2年目は株を成長させ、本格的な収穫は3年目からで、10年から15年ほど同じ株から収穫ができる。しかし、高品質で安定した収量を長期に確保するには、防除のタイミングや翌年の収穫に向けた株の養生など、日頃の適正な管理の積み重ねが重要となる。春取り後、約1カ月間の立茎作業では、夏取りや来年の収穫に向け、株に十分な栄養を蓄える最も大切な時期だ。「その都度の適正な管理を知ることと、病虫害などは早期に対処し、ロスを出さないことが重要」と紺野さん。県や関係機関、生産者のバックアップで、市場での個々の品質等級は向上しているという。同市赤湯の吉田太一さん(39)は、紺野さんの下で栽培技術のノウハウを学び、18年に独立就農した。「身近にすぐ相談できる存在がいることは、生産者にとって安心感がある」。栽培が軌道に乗ったので、新たに20アールを作付けし、45アールでの営農を予定している。2人は「機械に頼ることができない収穫作業は大変の一言」と話す。ピーク期の収穫量は約65アールで1日当たり200キロを超えるため、春取りの収穫は3年前から共同で作業する。共同作業は時間の短縮になるほか、病虫害や圃場の変化に気づきやすく、情報の共有になるという。「何よりも仲間の存在で楽しく農業ができ、技術を高め合える」と紺野さん。「将来は2人での法人化を視野に規模拡大していき、産地として品質を高め、ブランド化を図っていきたい」と意欲を見せる。

〈写真:「いつもこんな感じで楽しくやってます」と収穫後に談笑する紺野さん(左)と吉田さん〉

ハウス補強+園芸施設共済+収入保険で備える【7月1週号 石川県】

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再建を支え 安心して経営
石川県金沢市  太平 幸久〈たいら・ゆきひさ〉さん(65)

 1991年9月に金沢市で風速39.4メートルを観測した台風19号(りんご台風)をよく覚えています。東西向きに設置されたハウスは側面に暴風を受け、軒並み倒壊し、私が住む打木・下安原地域の約7割が甚大な被害を受けました。再建時は南北向きに設置し、3年かけて完全復旧に至りました。近年では、爆弾低気圧の通過で発生する竜巻級の突風被害があります。昨年12月は、7棟が全損被害となりました。進路と時期が予測できず、威力が大きいので対策していても防ぎきれないのが怖いです。5棟を再建するに当たって、昨今の資材高騰で1棟当たりにかかる建設費用は以前の2倍近くになりました。NOSAIから支払われる共済金が助けとなり、自己負担は軽減されます。間口7メートル、奥行き24メートルのハウスを試験的に設置し、全体の棟数を減らして、1棟当たりの畝を増やすことで栽培管理の軽労化を図る予定です。風対策としては、本体には太いパイプを使用し、横に単管を入れ、丁字やアーチ形の補強を施しています。積雪が50センチになるとハウス間には180センチ積もります。落ちた雪で本体の側面が圧迫されないよう、1棟ごとの間隔を広くしています。作物ごとにハウスの仕様が異なるため、地域の各部会で前年の反省を話し合い、翌年に生かすことで風雪に強いハウスの建設に取り組んでいます。2021年には収入保険に加入し、不測の事態による収入減少に備えています。園芸施設共済とセット加入したことで安心して経営を続けられます。(ハウス40棟=スイカ、太キュウリなど10品目)
 (石川支局)

〈写真:太キュウリの生育を見ながら「園芸施設共済には制度開始当初から40年以上加入しています」と太平さん〉

通路を広く、パート雇用 ブロッコリー収穫の負担軽減【7月1週号 岩手県】

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 【岩手支局】2020年に就農した野田村野田の新山麗佳〈にいやま・れいか〉さん(37)は、夫の功気〈こうき〉さん(38)と2人で春ブロッコリー(1.2ヘクタール)、キュウリ(17アール)、ネギ(8アール)などを栽培する。新山さん方の春ブロッコリーは2月下旬に播種し、ハウスで育苗。収穫時期が集中しないように、4月上旬から1週間に30アールずつ定植した。霜対策として不織布シートをかけて保温しながら成長させ、6月上旬に収穫を迎えた。畝間は60~70センチ取り、通路幅を広くしてコンテナカートが通る道を確保。麗佳さんは「かごを背負って収穫していたころと比べて体への負担が少ない」と話す。今年は収穫期にパート従業員を雇用し、1人当たりの作業量を減らした。「7月からキュウリ、秋にかけてネギ、秋ブロッコリーの栽培が続く。体を大切に農作業に取り組みたい」と麗佳さん。「経験を積んで技術を身に付け、生産量と質を向上させて、さらにおいしい野菜を作りたい」と意気込む。

〈写真:「子どものころから野菜が好きで、いつか就農したいと思っていた」と麗佳さん〉

農園継承、ワイナリーへ一歩 産地を守る【7月1週号 山口県】

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 【山口支局】周南市の藤村龍平さん(35)と明日実さん(38)夫妻は、同市で2代続く「日の出農園」を2023年4月に継承した。ブドウ(ハウス30アール、露地50アール)、ナシ(30アール)を栽培し、今年の夏に初の収穫を迎える。「前園主のころから購入いただいているお客さまをがっかりさせることのないよう、おいしいものを作っていこうと取り組んでいます」と話す。藤村さん夫妻は、長野県にある千曲川ワインアカデミーの同期生。卒業後、長野県内のワイナリーで5年働いた龍平さんは、「山口に帰って就農し、ワイナリーを立ち上げよう」と園地を探した。新規就農でワイナリーを新しく始める園地を探すことに苦労する中、22年夏に縁あって日の出農園の紹介を受けた。「ワイナリーへの道のりが長いことは、夫も私も覚悟していました。日の出農園の継承は、産地を守りながら夢を実現する道につながると思いました」と明日実さん。龍平さんは「ワイン用の栽培方法とは違い、贈答用などのブドウは、形・色・糖度のために摘粒作業が必要で、とても大変です」と話す。初めてのナシ栽培に苦労しているが、「地域のつながりに助けられています」と藤村さん夫妻。14農園が加盟する「須金ぶどう梨生産組合」は横のつながりが強く、それぞれの農園を組合員が月1~2回巡回し、情報交換をしている。「地域全体で産地を盛り上げようと、みんなで協力しています。忙しい時期でも園地に足を運び、アドバイスをくださる組合の方の存在は心強いです。みんなで産地を守っていきたい」と力強く話す。

〈写真:園内を見回る藤村さん夫妻。「彼の言うことを信じ、両親と3人で後を追いかけています」と明日実さん〉

防風林「安全で快適な作業環境づくりに動き出そう【2023年7月1週号】」

 ▼日本農業労災学会がこのほど発刊した『ILO農業における人間工学的チェックポイント日本語版』(東京大学出版会)が手元に届いた。国際労働機関(ILO)と国際人間工学会が制作した資料の翻訳だ。元の資料は、小規模農業の労働環境改善などのニーズに対応し、世界各地で使われているという。
 ▼同書は、農作業や地域の共同作業の現場で問題となる100項目についてチェックポイントを整理した。世界には、環境の違いや規模の大小、品目など多種多様な農業が営まれている。ただ、労働環境の改善、作業の安全性を高めて事故を予防するための確認項目や手順は共通する点が多い。イラストも豊富で具体的に理解しやすいと感じた。
 ▼人間は基本的に単純作業が苦手で、同じ作業を続けると注意力が鈍る。暑さ寒さなど厳しい環境条件も加わると、事故やけがなどの危険性も高まる。同書では、一つの作業姿勢の継続は過労につながると指摘。負担の少ない姿勢の検討や姿勢を変えながらの作業などを推奨する。
 ▼日常的な作業や環境に慣れると不便を感じても改善に向けた意識が薄れるものだ。同書は、チェックポイントを確認していけば問題点や改善点が見えてくる。団体や指導機関の農作業安全の担当者にはぜひ活用してもらいたい。

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