ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2023年06月 4週号

中山間で良品・多収のソバ栽培(1面)【2023年6月4週号】

230604_1.jpg

 中山間の遊休農地を活用してソバを延べ10ヘクタール栽培する群馬県沼田市利根町の株式会社Eカルチャーは、2022年産で夏ソバ10アール当たり138キロ、秋ソバ149キロと全国平均の2倍超の収量を確保し、品質も1等に格付けされた。「ソバは管理作業が少なく農地維持につながり、輪作などで地域の連携も生まれる」と会長の八須賀一男さん(67)。周辺の野菜農家などと連携して期間借地を中心に輪作を実践。ソバの収穫・調製などは近隣の集落営農に委託し、自社では耕起や播種などに中古農機を利用して設備投資を抑え、条件不利地でのソバ栽培を黒字化につなげている。

(1面)

〈写真:ソバ畑に花が咲く。「地域に助けられて収量や品質が確保できている」と八須賀さん〉

秋肥の追加対策 化肥低減の定着を支援(2面・総合)【2023年6月4週号】

 農林水産省は20日、今年6月から10月に供給される秋肥について、肥料価格高騰対策事業の追加対策を実施すると発表した。対象を個人単位から地域単位に代えて支援を継続し、国際的な原料の価格変動などの影響を受けづらい生産体制の確立を後押しする。卸売価格の引き下げで小売価格の低下が見込まれるものの、過度な輸入依存からの脱却を促すため、化学肥料を低減する取り組みを定着させたい考えだ。

(2面・総合)

地域守る思い強く NOSAI岐阜の共済部長(3面・NOSAI)【2023年6月4週号】

230604_3.jpg

 NOSAI岐阜(岐阜県農業共済組合)では、地域の事情に精通し、組合員とNOSAIの橋渡しに努める共済部長(NOSAI部長)が活躍している。頻発する自然災害の状況から「リスクは高まっている」とし、収入保険のPRにも取り組む共済部長2人に話を聞いた。

(3面・NOSAI)

〈写真上:NOSAI岐阜の本所で職員と情報共有する戸﨑さん(右)〉
〈写真下:コントラクターとしてドローン防除なども請け負う目加田さん(左)〉

災害時の悪質商法に警戒を トラブル事例と対策のポイント(5面・すまいる)【2023年6月4週号】

 近年は地震や台風、豪雨などによる自然災害が多発している。大規模な災害の後は、被害に便乗した悪質商法に注意が必要だ。特に住宅修理サービス関連のトラブルが多く、消費者庁では注意喚起とともに「慌てずに複数の事業者から見積もりをとる」ことや、契約を取り消す「クーリング・オフ」の利用を促している。消費者庁と独立行政法人国民生活センターの公表資料から代表的な手口や対策などを紹介する。

(5面・すまいる)

ダイコン品種トレンド 多彩な用途に対応(6面・流通)【2023年6月4週号】

 ダイコンは、国が定める指定野菜14品目の一つで消費量が多く、煮物や汁物、サラダ、刺し身のつま、漬物、薬味など多彩な用途がある。本紙4週号営農技術・資材面で「注目の種苗」を執筆する株式会社ヒューマンコミュニケーションズ代表取締役の阿比留みど里さんに、最近の需要に対応した注目品種などを聞いた。

(6面・流通)

搾乳牛に酒かす 配合飼料・大豆かすの代替に(9面・営農技術・資材)【2023年6月4週号】

230604_6.jpg

 富山県農林水産総合技術センター畜産研究所(富山市婦中町)は、乳牛(搾乳牛)に配合飼料と大豆かすの代替として酒かすを給与する技術を確立した。試験では乳量に差はなく、乳タンパク質率や無脂固形分率などが向上。牛の栄養状態が向上する可能性も示された。同研究所酪農肉牛課の竹元正士主任研究員は「エタノールを含む酒かすは貯蔵性にも優れ、エコフィード(食品残さ飼料)として周年給与も可能」と説明する。飼料価格が高止まりする中、飼料自給率向上や飼料費低減に資する技術として期待されている。

(9面・営農技術・資材)

〈写真:「牛の個体差を考慮しても、酒かすの給与による悪影響は全く見られません」と話す竹元主任研究員〉

低コスト・循環型農業を実践 田舎ツーリズムの提供も【6月4週号 島根県】

230604_7.jpg

 【島根支局】「奥出雲町は人が良い、水も良いから米がうまい」と話すのは、奥出雲町で水稲などを栽培する白山洋光〈しらやま・ひろみつ〉さん(51)、里香〈りか〉さん(50)夫妻。「しまね田舎ツーリズム」の実践者として、田んぼ体験のほか、築約300年の古民家では囲炉裏〈いろり〉サロン「田樂荘〈だらくそう〉」で農泊などを提供し、県内外をはじめ海外からも多くの人が訪れている。白山さんは2012年に奥出雲町に移住した。現在は水稲50アール、マコモ20アール、キクイモ、ニンニクなどを栽培。林に囲まれた山間の圃場では、伊勢神宮の御神米とされる水稲「イセヒカリ」を栽培し、陰になる水田の水口には「神が宿る草」とされているマコモを植えている。「マコモは土と水の浄化作用があり、枯草菌の働きで雑草が生えにくくなる。イセヒカリは肥料を好まず、倒伏しにくい強い品種です。自然の力を借りる工夫をして、無駄を極力省く低コスト農業、次世代のための環境に配慮した循環型農業に取り組んでいます」と白山さん。田舎暮らし体験プログラムについては「外国の方も多く、囲炉裏はとても喜ばれます。ゆったり語らう中で、地元の方々に教わった奥出雲暮らしの醍醐味〈だいごみ〉についてお伝えしています。わが家のイセヒカリなどの農産物は食材として提供しています」と笑顔で話す。奥出雲の自然や人に囲まれ、昔ながらの生活や生き方を、体験という形で共有する場を提供。冬季は、マコモの葉を使ったマコモ茶作り、コースターなどの製作、みそやどぶろく造りにも取り組む。「マコモは約200キロの販売分と同じくらいの量を近所の方に食べていただいています。現在の圃場を大切に守っていくために、規模の拡大については慎重にしたいと考えています」と白山さん。今後は「研修生を受け入れ、奥出雲での低コスト・循環型農業の実践例として私たちの経験を伝え、当地での暮らしを楽しんでもらう契機としてもらえたらうれしい」と期待する。

〈写真:「田舎暮らし体験を提供します」と白山さん夫妻〉

収入保険・私の選択 経営基盤固め新たな挑戦も【6月4週号 高知県】

230604_8.jpg

高知県日高村  濱田 善久〈はまだ・よしひさ〉さん(62)

 収入保険に加入したきっかけは、以前に比べ単価が不安定になってきているという記事を新聞などで目にしたことです。NOSAIの職員からの勧めもあり、今後のことを考えて、制度が開始した年からの加入を決断しました。加入当初、トマトの売り上げは安定していて、保険を使うことはないと思っていました。しかし3年前、新型コロナウイルスの影響で価格が低下し大幅に収入が減少。収入保険の補てんがあり、改めて保険の必要性を感じました。昨年は、トマトの葉が黄色になって、開花しても実がつかなくなる黄化葉巻病が施設全体にまん延して、収穫量が減り、今年3月に保険金等の支払いがありました。年度末で経費の支払時期と重なっていたため、本当に助かりました。今年は黄化葉巻病に強い品種へ移行しました。栽培した経験がない品種なので不安でしたが、今のところ病気は出ておらず、収穫量が安定しているので、ホッとしています。新たな品種にチャレンジできたのも、収入保険に加入しているからこそだと思っています。加入の要件となる青色申告には税金の特別控除がありますが、そのほかにもメリットだと感じていることがあります。それは、会計ソフトに自分でデータを入力しているので経営の分析がしやすいことです。近い将来、息子へ経営を譲るつもりでいます。そのためにも、経営基盤を固めておくことが大事ですので、収入保険を選択したことは間違っていなかったと思います。
 ▽ハウストマト28アール
 (高知支局)

〈写真:「父が栽培していたトマトの味に感銘を受けて、大阪で所属していた劇団を離れ、経営を受け継ぎました。あれから25年の月日が流れ、今では年金受給まであと少しとなりました」と濱田さん〉

見える化で霜対策に成果【6月4週号 石川県】

230604_9.jpg

 【石川支局】加賀市奥谷〈おくのや〉町の奥谷梨生産組合(灰谷信剛〈はいや・しんご〉組合長=43歳)では、温湿度をデータ化するスマート農業システムを導入し、ナシの霜対策などに役立てている。同組合では農家27軒が32ヘクタールでナシを栽培。以前は農家が個々に計測していたが、ナシ団地全体で7カ所に観測地点を設けた。奥谷地区の園地には高低差があり、上部と下部の気温は1度以上異なる。観測を統一したことで、霜が降りやすい園地と降りにくい園地を明確化できたという。組合員の奥村嘉康〈おくむら・よしやす〉さん(61)は「温湿度がリアルタイムで分かるため、防霜ファンを動かす目安として活用している。放射冷却があるので完璧とはいえないが、早めに対策できるので以前より楽になった」と話す。現在、同組合では新規就農者が増加傾向にある。灰谷組合長は「温湿度の"見える化"で、経験差があっても被害の傾向と対策が見えてくる。熟練の農家にとっても防除のタイミングが分かりやすい」と導入のメリットを話す。

〈写真:「NOSAIの病虫害調査も栽培に役立っている。今後も続けてほしい」と話す灰谷組合長(左)と奥村さん〉

展示で伝える養蚕の魅力【6月4週号 福島県】

230604_10.jpg

 【福島支局】水稲30アールと野菜20アールを栽培するほか、養蚕を営む二本松市の本多明彦さん(37)は、養蚕に興味を持ってもらおうと、近隣の道の駅などで繭や蚕児を展示している。本多さんは両親と3人で年間14箱を掃立て。蚕児は病原菌に弱いため、蚕室や資材の消毒を徹底しているという。雨の日に収穫した桑の葉は、乾かして傷んだ葉を取り除く。「蚕児が病気にならないために、当たり前のことをきちんとこなすことが大切」と話す。道の駅で繭と蚕児を展示すると「お年寄りは懐かしみ、子どもは初めて見る子が多く興味津々。『頑張っているね』と声をかけていただきうれしい」と本多さん。「機会があれば、品種改良された色つき繭を作る蚕児を育ててみたい。規模を維持し、良質なものを多く出荷できるよう頑張りたい」と意気込む。

〈写真:蚕児の世話に励む本多さん〉

排水徹底、効率的な麦栽培【6月4週号 山口県】

230604_11.jpg

 【山口支局】「みんな幼いころから知っている気心の知れた仲です。一緒に農業をやってきて、賞をいただいたことは励みになります」と話すのは、山口市の農事組合法人八方原〈やかたばら〉で麦栽培を担当する本田昇さん(64)。小麦「せときらら」を約12ヘクタール栽培する同法人は、今年3月に令和4年度全国麦作共励会集団の部で全国米麦改良協会会長賞を受賞した。組合長の杉山均さん(74)は「麦栽培を始めた当初、この辺りは湿田で麦が育ちませんでした。本田さんが主体となり、排水対策や効率的な作業計画を立ててくれるおかげで、収量と品質を保てるようになりました」と話す。アッパーカットロータリーを導入した排水対策のほか、散布作業や刈り取りを想定した植え付けで作業を効率化。さらに、地区の働き盛りの世代に参加してもらえるように、土日の作業を基準に計画を立てるなど工夫している。「私たちの作る小麦は、地区の小学校の学校給食でパンになります。児童たちとは交流があるので、作物を知り、おいしく食べてもらえるとうれしいです」と2人は話す。

〈写真:「農繁期が過ぎたら、みんなで受賞のお祝いをしたいです」と話す杉山さん(右)と本田さん〉

防風林「マイナンバー 功を急いで信頼を得られるのか【2023年6月4週号】」

 ▼マイナンバーをめぐるトラブル続出を受け、岸田文雄首相は21日、マイナンバー情報総点検本部を開き、秋までに関連するデータやシステムを総点検し、ひも付けの誤りなどをなくす仕組みの構築を指示した。来年秋を予定するマイナンバーカードと健康保険証の一体化も念頭に、マイナンバー制度への国民の不安を払拭する丁寧な対応も求めた。
 ▼ひも付けの誤りは、健康保険証関係が7千件以上あり、地方職員共済組合や障害者手帳情報でも見つかっている。健康保険証のミスは、情報の取り違えによる医療過誤を起こさないか心配だ。ただ、通常国会では、マイナンバー法などの改正法が成立した。健康保険証との一体化以外にも公金受取口座の登録促進など利用を拡大する方向だ。
 ▼海外でも国民に番号を付与して社会保障や税の管理など行政手続きの効率化を図る国が増えている。スウェーデンでは、住所、氏名や所得、資産などの個人情報を一元管理し、行政サービスや確定申告などは簡単な手続きで済むという。
 ▼一方、社会保障番号の本人確認を口頭で可とした米国では、なりすまし詐欺が多発し、年金の不正受給なども起きているそうだ。日本ではすでに国民の6割がカードを持つ。次へ次へと急ぎ過ぎず基礎固めを優先すべきでは。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る