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今週のヘッドライン: 2023年05月 1週号

動き出す産地 子実用トウモロコシ増産へ(1面)【2023年5月1週号】

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 トウモロコシの国際相場が高止まりする中、都府県でも国産濃厚飼料として注目される子実やイアコーン(トウモロコシの雌穂〈しすい〉)の増産機運が高まっている。宮城県大崎市のJA古川管内では今年、水田転作で子実トウモロコシ102ヘクタールを栽培。労働時間当たりの収益性確保を目指し、10アール当たり収量700キロを目標に掲げる。岡山県笠岡市では、野菜農家と酪農家が連携し、干拓地の野菜圃場でイアコーンを生産する計画だ。茎葉は緑肥としてすき込み、酪農家はイアコーンサイレージを確保でき、双方に利点がある。国も実証などを支援し、生産拡大を後押ししている。

(1面)

〈写真上:真空播種機による播種作業〉
〈写真下:翌日の播種を前に情報交換する東山代表(左)と大平代表〉

G7農相が声明 食料安保実現へ生産性向上を明記(2面・総合)【2023年5月1週号】

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 先進7カ国(G7)農相会合は4月22、23日、宮崎市で開かれ、今後の農業・食料政策の方向性として、自国の生産資源の活用や農業の持続可能性と生産性向上の両立などに共通認識を得たとする声明をまとめ、内容を反映した行動宣言「宮崎アクション」を採択した。気候変動や世界的な人口増加、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、食料安全保障の強化に関心が寄せられる中、輸出国も参加する農相会合で生産性向上など農業の持続可能性を高める政策の重要性を確認した。政府は、声明の内容を5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議論にも反映させたい考えだ。

(2面・総合)

〈写真:声明でまとめた成果を報告する野村農相らG7農相〉

棚田カード第3弾 16県110地区を追加(2面・総合)【2023年5月1週号】

 農林水産省は4月24日、全国の棚田を広く紹介する「棚田カード」の第3弾として新たに16県の110地区を追加し、配布を始めたと発表した。表面に美しい棚田の写真を掲載し、裏面で棚田の面積や傾斜、作付け品種、歴史などを紹介した。

(2面・総合)

リンゴ輸出拡大へ 挑戦支える収入保険(3面・収入保険)【2023年5月1週号】

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 「新しい販路への決断を収入保険がバックアップしてくれた」と話すのは、青森県藤崎町で収穫面積2.6ヘクタールのリンゴ園を営む中田真司さん(44)。2022年産から輸出向けの販売を開始し、23年産は販売量の半分に拡大して経営の柱に据える方針だ。21年産では凍霜害で収量が3割減った中、収入保険の補償で経営維持につなげた。自然災害や価格下落などリスクも大きい果樹農業で、収入保険が経営者の挑戦の支えとなっている。

(3面・収入保険)

〈写真:「販売単価が高いからこそ、リスク回避も重要」と中田さん〉

ミニトマト栽培で学ぶ「遺伝の法則」(5面・すまいる)【2023年5月1週号】

 野菜の品種改良などを研究する岩手大学農学部の由比進教授は、複数のミニトマト品種を栽培して遺伝の法則を学べる「メンデルが居たプロジェクト」に取り組んでいる。イチゴパックで3週間ほど栽培すると体験でき、全国の小学校から大学の授業や部活動などでも試行的に利用されている。由比教授に研究のアイデアや工夫、期待される効果などを紹介してもらう。

(5面・すまいる)

かんきつの農薬散布 ドローンによる防除体系を確立(7面・営農技術・資材)【2023年5月1週号】

 山口県は、かんきつ栽培の農薬散布でドローン(小型無人機)を活用した効率・省力的な防除技術体系を確立した。黒点病、かいよう病、灰色かび病、貯蔵病害、チャノキイロアザミウマの防除ができ、作業時間は手散布の約8割減と大幅な省力化が可能だ。ドローン散布に適したノズルの形状や、防除効果をより高める飛行方法、樹形などを明らかにした。生産者の労力軽減と安定生産を実現し、産地の維持・振興につながる技術として普及していく方針だ。

(7面・営農技術・資材)

自動・低速 真っすぐにナガイモの溝掘り【5月1週号 岩手県】

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 【岩手支局】遠野市青笹町の中平知宏さん(25)がナガイモを栽培する圃場で、自動操舵(そうだ)システムを搭載したトラクターでの耕起作業が先ごろ実演された。スマート農業の作業の早さなどが注目される中で、土を深く真っすぐに掘るためにトラクターを時速0.1キロからでも走行できる機器などが紹介され、中平さんがその性能を体験した。耕起作業の実演は、同市のスマート農業の普及を目的に、株式会社みちのくクボタ(荻野伸充代表取締役社長)と株式会社TOPCON(江藤隆志代表取締役社長CEO=最高経営責任者)の協力で実施された。農家が所有するトラクターに、電動ステアリング、GPS(衛星利用測位システム)信号などを受信するアンテナ、ディスプレー、ホイールアングルセンサーを後付けすると、自動操舵システムが可能となる。当日はトレンチャーでナガイモの植え溝を掘る作業を実演した。土を深く真っすぐ掘ることがナガイモ栽培には必要だが、負荷をかけないためにもトラクターを低速で走らせなければならない。TOPCONのIT農業ソリューション部東日本リーダー・小沢孝一郎さんは「ホイールアングルセンサーを標準装備すると、時速0.1キロから作業できる」と説明。みちのくクボタ担い手推進岩手第2チームの畠山哲郎チーム長は「今年作業した圃場を登録すると、来年は同じ圃場を自動で作業できる」と話した。携帯電話を利用し、GPS電波が届きにくい場所でも2~3センチの誤差で作業できる機械も紹介された。真っすぐ掘るための目印を作業前に付けるなどの工夫をしてきた中平さんは、「作業前のひと手間が必要なくなる。機械作業に慣れていない人でも操作できるので、仕事の効率が高まると思う」と期待を込める。

〈写真:自動操舵システムで掘られた直線の植え溝〉

自ら仕留めた有害獣活用 愛犬の好物「骨ガム」販売【5月1週号 広島県】

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 【広島支局】三次市秋町の中原さほりさん(37)は、自ら仕留めたシカやイノシシの骨で、犬用の骨ガム「わんわんのかみかみ*」を製造。骨ガムは犬のおもちゃや歯磨きとして使われ、中原さんの愛犬サンの好物だ。「人工的なものではなく、自然なものをあげたかった」と中原さん。2019年に「宮野商店」を立ち上げ、骨ガムの製造・販売を始めた。あばら骨をカットした小型犬用、太めのあばら骨は中型犬用、大腿〈だいたい〉骨などの太い骨は大型犬用だ。シカ肉を使った犬用ふりかけも商品化し、同市の交流体験施設「トレッタみよし」やオンラインショップ「楽天市場」で販売する。消費者から「ほかのは口にしないけど、中原さんのはかみかみする」といった感想が届くという。中原さんは役所に勤めていた関係で、14年に狩猟免許を取得。猟友会のメンバーと有害鳥獣駆除に取り組んできた。現在は子育てをしながら、わなをメインに年間30~40頭を捕獲する。骨ガムは、骨を乾燥させ桜チップで燻製〈くんせい〉にしたものだ。腐ったり、虫やカビがついたりしないように乾燥剤を一緒に梱包〈こんぽう〉し、部位によっては袋を2重にする。山間部に位置する中原さんの地域では、シカの被害に悩む農家が多く、駆除を頼まれたり相談を受けたりすることがあるという。「6月末ごろまでは2人目の産休に入るが、今後、コンサル業を充実させるために、獣害対策や動物の生態をもっと勉強したい」と話す。
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〈写真:骨ガム作りのきっかけとなった愛犬サンと中原さん〉

"ママ頑張って" 水稲100ヘクタールをドローン防除【5月1週号 新潟県】

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 【新潟支局】「田植え後の除草剤、穂肥、出穂期の防除など昨年は約100ヘクタールをドローン(小型無人機)で散布しました」と話す長岡市和島の竹澤つぐみさん(37)。「農事組合法人島崎生産組合」に勤務する。2021年までは同法人の事務をメインに担当していたが、農繁期に現場作業で貢献できないかと考え、ドローン免許の取得を決意した。講習会で学びながら、自宅に帰った後には練習用のドローンで操作技術の向上を目指した。「練習用のドローンは小さく、不安定なため、何度も落としたり、ぶつけたりしながら感覚をつかんでいきました」と振り返る。練習のかいもあり、22年4月に免許を取得。その後は水稲病害虫防除に従事し、回数を重ねながら均一に散布する技術を磨いた。「正確に散布することを考え過ぎて悩んだときは、2人の子供が『ママ頑張ってね』と背中を押してくれ、励まされました」と話す。「農業は今でも男性主体のイメージで、女性はあまり目立たない存在だと感じます。ドローンは軽く容易に持ち運べるので、多くの女性が免許を取得して、活躍の場が増えるといいですね」と話す。

〈写真:「散布がうまくいかず悩んだときは子供たちに励まされ、頑張れました」と竹澤さん〉


ブドウ栽培とリモートワークを両立 異なる繁忙期、規模拡大目指す【5月1週号 鳥取県】

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 【鳥取支局】「ブドウ作りとリモートの仕事は繁忙期がかぶらず、効率よく仕事ができる」と話すのは、琴浦町のブドウ農家・大河内真生〈おおこうち・まお〉さん(40)。就農後は農閑期などの時間を活用し、リモートでの勤務を両立している。大河内さんは東京で人事関係の仕事に12年間従事し、2019年に退職。出身地の琴浦町での新規就農を目指して、鳥取県立農業大学校で果樹栽培を学んだ。その後、知人のブドウ農家の下で1年経験を積み、22年に農地19アールを借り、「ピオーネ」「巨峰」などを栽培する。前職の経験を生かし、東京の企業などと業務委託契約を結び、農業と並行して企業の採用支援や採用イベントの仕事、大学に赴き学生の履歴書の添削や面接の指導に取り組む。大河内さんは「ブドウ作りとリモートの仕事は、繁忙期の波が逆なので両立させやすく、相性がいいと思う。今後もリモートの仕事を続けながら、ブドウ栽培では規模を拡大していきたい」と意欲を見せる。

〈写真:日中は農業、夕方からはリモートの仕事をする大河内さん〉


防風林「コロナ禍以上に怖い 世界の紛争拡大【2023年5月1週号】」

 ▼連休明けの5月8日から、新型コロナ感染症の法律上の位置づけが季節性インフルエンザと同様の「5類」に移行する。感染者に求めた外出自粛などの行動制限はなくし、感染した場合の対処は個人の判断に委ねられる。屋内でのマスクの着用義務もすでになく、通勤電車で素顔の人を見かけるようになった。ただ、厚生労働省は、他人に感染させるリスクが高い発症後5日間程度は外出を控えるよう呼びかけている。
 ▼2019年12月に中国の武漢市で最初の感染が報告され、20年1月には日本初の感染者を確認。同年5月までの数カ月間に46都道府県で1万6千人近くまで感染が広がる状況となり、外出自粛や緊急事態宣言など対応に追われた。累計の感染者数は約3340万人、うち死亡者数は約7万5千人にのぼる。
 ▼過去の事例で比較されるスペイン風邪は、1918年から20年にかけてパンデミック(世界的大流行)となった。日本では3年間に3回流行し、感染者数は約2380万人、死者数は約39万人に上る。当時の人口は約5500万人で、現在の半分ほど。インフルエンザウイルスの知見も十分でなかったことも考慮すると、新型コロナを超える恐怖だったのではないか。
 ▼早くコロナ禍前の生活に戻りたいのだが、この間に新型コロナ以上に怖さを増しているのが、ウクライナ情勢のほか、スーダンやミャンマーなど世界各地の紛争の激化だ。スペイン風邪は徴兵を困難にし第1次世界大戦の終結を早めたともいわれるが、現状では国際的な政情の不安定化に歯止めがかかりそうにない。指導者の暴走に効くワクチンがほしい。

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