ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2022年10月 3週号

酪農の価値 もっと発信 ―― 地域交流牧場全国連絡会が全国研修会を開催(1面)【2022年10月3週号】

221020_1.jpg

 酪農教育ファームを行う酪農家などで組織する地域交流牧場全国連絡会(交牧連)は5~6日、東京都八王子市で2022年度全国研修会を開いた。集会形式での実施は3年ぶり。初日は、酪農家が牛を連れて小学校に出向き、搾乳体験などを行う「わくわくモーモースクール」をテーマに、基調講演や座談会などを実施。2日目は、乳搾り体験教室や6次産業化に取り組む同市の磯沼ミルクファームを視察した。飼料価格高騰など酪農経営が厳しさを増す中、交流活動を通じた消費者理解の醸成が欠かせないことを再確認した。

(1面)

〈写真:2日目は磯沼ミルクファームを視察した。食品工場から出る野菜やビールかすなどエコフィードを活用する。〉

農村RMO 集落維持へ結束推進 小さな成功体験の蓄積が鍵(2面・総合)【2022年10月3週号】

 農林水産省は複数の集落機能を補完し、農業を核とした経済活動や農地・水路など地域資源の保全・活用と併せて、生活支援など地域コミュニティーの維持に資する農村型地域運営組織(農村RMO)の形成を推進している。都市部に先駆けて人口減少が進行する農村部の中でも、特に中山間地域では担い手不足による農業の衰退に加え、買い物や子育てなど日々の生活を営む環境が悪化し、集落機能の弱体化も指摘されている。地域の課題解決に向けた取り組みを継続的に実践するとともに、農業・農村の将来の担い手確保につなげることが重要だ。

(2面・総合)

第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会 和牛新時代へ改良の成果競う(2面・総合)【2022年10月3週号】

221020_3.jpg

 「和牛のオリンピック」といわれ、5年に1度、全国の優秀な和牛を一堂に集めて審査する第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会(全国和牛登録協会主催)が6~10日、霧島市など鹿児島県内の2会場で開かれた。「和牛新時代 地域かがやく和牛力」のテーマの下、九つの出品区に41道府県から約440頭が出品され、改良の成果やその優秀性を競った。
 各出品区の最高位となる優等賞1席は、鹿児島、宮崎、大分の3県で占めた。この中から名誉賞(内閣総理大臣賞)に、「種牛の部」は4区(繁殖雌牛群)の鹿児島県代表、「肉牛の部」は7区(脂肪の質評価群)の宮崎県代表が選ばれた。
 また、今大会から新設された特別区(高校および農業大学校の部)は、鹿児島県代表の県立曽於高校が優等賞1席を獲得した。

(2面・総合)

〈写真:霧島市の種牛の部会場で行われた特別区の審査〉

NOSAIの家畜診療所 獣医師1700人超が活躍 畜産業の発展を支える(3面・農業保険)【2022年10月3週号】

 NOSAIの家畜診療所は43道府県に217カ所あり、1760人の獣医師が勤務している(2021年4月1日時点)。家畜共済病傷事故を年間144万件診療し、業態別診療シェアの59.3%を占め、畜産経営を支えている。診療だけでなく、損害防止事業や獣医系大学の学生の研修受け入れによる産業動物獣医師の養成などさまざまな役割を果たす。NOSAIの家畜診療所や獣医師について、稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。

(3面・農業保険)

手軽・便利な畜産資材 ―― 全国和牛能力共進会の展示から紹介(7面・営農技術・資材)【2022年10月3週号】

 全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果を競う第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会が6~10日、鹿児島県内2会場で開かれた。霧島会場の協賛企業団体エリアには、全国から115の企業・団体がブースを出展。飼養管理をはじめ、省力化や環境に配慮した技術・資材などを展示・紹介した。農家が手軽に使え、子牛の管理や牛舎の効率的な利用に役立つ製品を紹介する。

(7面・営農技術・資材)

健康な体になる 腸活のススメ ―― 公益社団法人東京都栄養士会 常務理事の上野俊さんに聞く(5面・すまいる)【2022年10月3週号】

 秋といえば「食欲の秋」。旬を迎える農産物も多く、食べる楽しみが広がる季節だ。ただ、食べ過ぎると胃腸の働きが悪くなり、下痢や便秘などおなかトラブルを起こしやすくなることも。腸内環境を整えて健康な体を手に入れる腸活の方法について、公益社団法人東京都栄養士会の上野俊常務理事におしえてもらった。

(5面・すまいる)

地域とつながり環境を大切に 有機JAS米+特別栽培米【10月3週号 石川県】

221020_7.jpg

 【石川支局】「生き物と共生し環境に配慮した米作りを続けていきたい」と話すのは、中能登町小田中で水稲22ヘクタールを耕作する「いまい農場」の今井耕平さん(38)。作付けする水田のうち2ヘクタールが有機JAS米、13ヘクタールが特別栽培米だ。品種はどちらも「コシヒカリ」で、オリジナル米「平右ェ門〈へいよもん〉」はインターネット販売やふるさと納税の返礼品として人気を集めている。耕平さんは、勤めていた会社を2013年に退職して就農し、後継者として、父の清博さんと農作業に励む。有機JAS認証を取得したのは02年。使用する資材や圃場、生産管理などの厳しい基準をクリアしなければならない。同農場は認証機関の審査を毎年受け、基準を満たし続けている。農薬・化学肥料を使わないため、特に雑草防除に気を配るという。田んぼの4辺をあぜ塗りし、雑草の侵入を防ぐ。代かきを均平にし、草が生えにくい環境をつくり、深水栽培を採用することで草の成長を抑制している。17年には県の特別栽培農産物認証を受けた。県の基準では、化学肥料と化学合成農薬の使用を慣行栽培から5割以上減らすこととしているが、同農場では有機肥料を使い化学合成農薬を8割以上減らしている。「品質向上には土作りが大切」と耕平さん。刈り取り後は次年の土作りのため、山から土を運びハウスで乾燥し、有機肥料と混ぜる。肥沃〈ひよく〉な土壌では、うま味が凝縮した米が育つ。さらに、多様な生き物が集まる。07年から地域の子供たちと専門家を交えて生き物調査を実施。国や県指定の絶滅危惧種を含めた40種以上の生き物が発見されている。自然災害や価格変動など幅広くあるリスクに備えるため、収入保険には制度開始当初に加入した。耕平さんは「これからも地域とのつながりを大切にして、環境に配慮した米作りを続けていきたい。いずれは直売所の開設や6次化も進めていけたら」と将来を見据える。

〈写真:「大変なこともあるが、お客さんからの『おいしい』という声が励みになる」と話す耕平さん〉

洋菓子店が経営するイチゴ農園+カフェ【10月3週号 鹿児島県】

221020_8.jpg

 【鹿児島支局】「洋菓子店が経営するイチゴ農園という、ほとんど例のないブランディングをうちの強みにしたい」と話すのは、薩摩川内市で洋菓子店を経営する有限会社ル・プレジールの畑義康さん(49)。コロナ禍で洋菓子の売り上げが減少したことから、農業法人を立ち上げイチゴ約60アール(ハウス3棟)の栽培を始めた。農業に新規参入し、新たなビジネスモデルとして前進している。父親が1993年に開業した同店を引き継ぎ、2代目として経営に当たる畑さん。新型コロナウイルス感染症の影響で結婚式などのイベントが減り、ウエディングケーキや引き菓子の売り上げが下がったことから、「このまま待っているだけではいけない」と打開策を思案していたという。そんな折、離農するイチゴ農家がいたことから栽培に興味を持った。「イチゴはスイーツには欠かせないが、昔から価格変動が激しく安定供給されない状況だった。自社栽培することでその改善になれば」と挑戦を開始。土地や施設を購入し、農業法人株式会社LPスイーツファームを2021年12月に立ち上げ、栽培を始めた。農園管理は、同法人が地域おこしの一環でスポンサーを務めるレイナ川内レディースサッカークラブの選手で農業高校出身の石野佳菜さん(18)が担当。石野さんは「仕事量が多くて大変なときもあるが、イチゴ作りはやりがいがある。極められるように頑張りたい」と意欲的だ。栽培に取り組む中で、「イチゴの見せ方を知っている洋菓子店ならではの提供ができないか」と、圃場の横に直売所を兼ねたカフェ「LPカフェ」を7月にプレオープン。イチゴを使ったシロップのかき氷が話題となった。12月にはスムージーやパフェなどのメニューを増やし、正式にオープンする予定だ。「品種を増やし、イチゴ刈りができるように整備を進めたい」と畑さん。「農園を広げ多くの人に来ていただければ、観光、雇用など地域活性化になる。『洋菓子店が行う農業』が新たなビジネスモデルとして農業の未来につながればうれしい」と夢は広がる。

〈写真:「自分たちだからこそできる洋菓子店ならではの農業経営を目指していきたい」と畑さん〉

高糖度で栄養豊富 ミニトマト「ごほうびとまと」【10月3週号 埼玉県】

221020_9.jpg

 【埼玉支局】羽生市下村君でミニトマト18アールとホウレンソウ48アールをハウスで栽培する「株式会社風の子ファーム」。ミニトマト「ごほうびとまと」の収穫が11月から始まる。ごほうびとまとは糖度が8~14度と高く、味が濃厚で、〝ご褒美〟にもなると考えて名付けた。リコピンやβカロテン、ビタミンCが平均的なトマトより豊富に含まれるなど、機能性が高いという。同社代表の近藤玄崇さん(47)は、以前は北本市で花きを栽培していたが、より広い農地を求め、2014年に羽生市に移転。19年にミニトマトに切り替え、翌年にはホウレンソウも始めた。ホウレンソウは、えぐみが少なくシャキシャキとした食感で、生でもおいしく食べられる。これらの特徴的な食味は、近藤さんの栽培管理によるもの。ミニトマトは養液栽培で、成長に合わせて水量や肥料配合を変える。ホウレンソウは適温を保つため、ハウス内の温度を小まめに調整。さらに独自にブレンドした堆肥を適期に与えることで、苦みが抑えられる。野菜は県内のホテルなどに出荷するほか、オンラインや直売でも販売。週末には都内の青山ファーマーズマーケットや池袋のイケ・サンパークファーマーズマーケットで出店する。ごほうびとまとは11月から7月中旬まで販売。ホウレンソウはJA全農さいたまにも出荷する。ごほうびとまと100%で作ったトマトジュースも販売し、羽生市のふるさと納税の返礼品になっているという。「食べて『感動した』と言われると本当にうれしい。ごほうびとまとの販売を待つ人がいるので頑張ろうと思う」と近藤さん。今後は「トウモロコシ栽培に取り組み、伊奈町のパン店ラッキーズと提携し、自社で取れた野菜を材料にしたパンを販売していきたい」と話す。

〈写真:ミニトマトのハウスで近藤さん。「丁寧に、きれいに取り扱っている」〉

収入保険・私の選択 価格乱高下への備えに【10月3週号 岡山県】

221020_10.jpg

岡山県久米南町  光元 一郎さん(65)
 キュウリをメインに栽培しています。昨年は価格低下で約300万円のつなぎ融資を受けました。その後は何とか基準収入程度まで収入が増えましたが、本当に助かりました。キュウリは市場価格の乱高下があり、非常に不安定です。私が今まで出荷した中では、秀M5キロの最高が7千円、最低が500円でした。ここ5年間の収入は、高い年と低い年の差が約1千万円ありました。だからこそ、収入保険が始まってすぐに加入を決めましたね。今までは価格が下がると「従業員の給料や資材代金は払えるのか」と胃が痛くなる日々でした。加入してからは安心感があり、いざというときも「融資がある」と思うと気持ちよく働けます。所属する久米南キュウリ部会は、ここ数年で人数が増え、約50人が所属しています。部会内で収入保険への加入を積極的に勧め、地域のキュウリ農家が安心して働ける環境づくりに努めています。
 ▽キュウリ(露地50アール、ハウス15アール=4棟で2作)、水稲90アール、ダイコン50アール
 (岡山支局)

〈写真:「どうしようもない理由で収入が激減する事実は、長年の悩みの種でした」と光元さん〉

防風林「分かりやすく伝えるということ【2022年10月3週号】」

 ▼「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」は、外国語を日本語で表記する難しさを表した川柳だ。明治初期の小説家、斎藤緑雨の作とされる。当時、ドイツの文豪、ゲーテの表記はギーツ、グーテなどさまざまあった。多くの人が使う中でゲーテに集約された。
 ▼人の名前は説明不要でいいのだが、最近の政策に使われる英語や略語、カタカナ用語は、もっと簡単に説明できないものかと悩むものが多い。例えば「IoT」。"モノのインターネット"とかっこ書きの言葉を添えるが、具体的にイメージしにくい。詳しくは「多様な機器がインターネットを介して情報交換し、相互に制御する仕組み」となる。
 ▼急に増えてきた言葉は「DX」だ。デジタルトランスフォーメーションの略だが、直訳の「デジタル変革」では意味が伝わらない。ネットで探すと「デジタル技術を社会に浸透させ人々の生活をより良いものに向上させる変革」を指すそうだ。ただ、個別に確認しないと具体的な内容は分からない。
 ▼農林水産省の2023年度予算概算要求の重点事項にも「DXの推進」が盛り込まれた。具体的には、スマート農業の社会実装の加速化のほか、補助金申請手続きのオンライン化など行政手続きの"抜本的効率化を実現する"とした。25年までにオンライン利用率60%の目標を掲げるが、抜本的効率化の指標は、利用率向上だけでよいのか。日本語にも説明が必要だ。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る