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今週のヘッドライン: 2022年07月 1週号

魚沼産コシヒカリ 直販で勝負 野菜複合で周年安定経営も ―― (株)さくらファーム湯沢(新潟県湯沢町)(1面)【2022年7月1週号】

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 新潟県湯沢町土樽で水稲「コシヒカリ」12ヘクタールなどを経営する株式会社さくらファーム湯沢(代表・今村将哉さん=36歳)では、直販する米の5割ほどを、毎月定量を配送する「魚沼産コシヒカリ定期便」として個人向けに出荷する。価格は精米1キロ680円を基本とするが、契約期間や支払い方法に応じた割引を設定し、量や配送間隔の調整など、利用者の希望に応じた細かなサービスを提供。常時60~70人の利用者を維持している。5~20アールの区画が基本という中山間地で持続可能な経営を目指している。

(1面)

〈写真:水稲とともに就農時から生産するズッキーニの圃場で今村将哉代表〉

農水省 2022年農業構造動態調査を発表 経営体数100万下回る(2面・総合)【2022年7月1週号】

 農林水産省は6月28日、2022年農業構造動態調査(2月1日現在)を発表した。全国の農業経営体数は前年比5.4%減の97万5100となり、05年の調査開始以来初めて100万を割り込んだ。10年前の12年(156万3900)と比べ、3分の1の経営体が減少したことになる。会社法人など団体経営体数は増加しているものの、高齢化などを背景に個人経営体の離農が進んでいる。燃油や肥料、飼料など生産資材の相次ぐ高騰で生産基盤の弱体化が懸念される中、中小・家族経営を含めた多様な人材の確保は、食料安全保障の強化に向けても急務となる。

(2面・総合)

大型農機を駆使し夫婦で大規模経営 米価下落も収入保険の補償で対応 2022年産は挽回図る ―― 仁木弘恵さん、正宏さん(宮城県美里町)(3面・収入保険)【2022年7月1週号】

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 宮城県美里町の仁木弘恵さん(55)は、夫の正宏さん(56)と二人で、水田約39ヘクタールの経営に取り組む。大型農機などを駆使して作業の効率化を徹底し、安定経営を図る。2021年産では主食用米の価格下落や転作品目の減収などの影響で収入が減少し、収入保険の補償が支えとなっている。

(3面・収入保険)

〈写真:大型トラクターの前で仁木さん夫妻〉

「安心の未来」拡充運動中央表彰 農業経営収入保険事業表彰等(3面・収入保険)【2022年7月1週号】

 「安心の未来」拡充運動中央推進本部(本部長・髙橋博NOSAI協会〈全国農業共済協会〉会長)はこのほど、「令和4年度『安心の未来』拡充運動中央表彰」「令和4年度農林水産省経営局関係業務功績者等表彰」「令和4年度『安心の未来』拡充運動優秀基礎組織表彰」を決定した。また、NOSAI全国連(全国農業共済組合連合会)は「令和4年度農業経営収入保険事業表彰」などを決定した。受賞組織等を紹介する。

 農業保険の推進において、優秀な事業成績をおさめた組合等および顕著な実績を上げた組合等を表彰する。
 最優秀賞
 〈北海道〉北海道農業共済組合みなみ統括センター〈秋田県〉秋田県農業共済組合〈富山県〉富山県農業共済組合(以上3組織)
 <その他の受賞組織など省略>

(3面・収入保険)

全国的に猛暑の見通し 水稲の品質低下を防げ(7面・営農技術・資材)【2022年7月1週号】

 気象庁が先ごろ発表した7~9月の3カ月予報によると、全国的に平年よりも気温が高い見通しで、出穂期以降の高温に伴う水稲の高温障害に十分な警戒が必要だ。記録的な猛暑となった2010年産は、白未熟粒や胴割れ粒の発生が多く、全国の1等米比率が62%と大きく低下し、稲作経営に大打撃を与えた。今年産も品質低下が懸念される中、高温障害対策の要点を紹介する。

(7面・営農技術・資材)

先端技術で農福連携 遠隔地からロボット操作しイチゴ収穫 ―― 公益財団法人とベンチャー企業が協働(6面・すまいる)【2022年7月1週号】

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 遠隔地にいる障がい者や外出困難者が、圃場に設置されたロボットを操作し、農作業に参加する――こうした取り組みを農福連携の現場で実現・定着させようと、現在、システムの開発・実証が進められている。圃場での収穫試験でも一定の成果を上げていて、事業を助成する財団では、今後5年程度での社会実装を目指すとしている。

(6面・すまいる)

〈写真:イチゴのハウスで行った収穫試験〉

首輪にGPS搭載 放牧牛の管理を効率化【7月1週号 秋田県】

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 【秋田支局】鹿角市の公共牧場・川島牧野では、県の「ICT放牧牛管理システム実証事業」を活用し、管理の効率化につなげている。衛星利用測位システム(GPS)が搭載された首輪型のモジュールを放牧牛に装着し、パソコンやスマートフォンで居場所を確認できる仕組みだ。15分おきに電波を受信し、居場所が分かる。実証2年目で、放牧安全祈願祭と衛生検査の日に合わせて装着した。同牧野は標高400メートル、総面積177ヘクタールで、山や谷が多く起伏に富んだ地形のため、草地は59ヘクタール。鹿角市や小坂町の畜産農家22戸の約110頭を放牧する。牧柵が無く、牛は4キロ四方を自由に移動するが、けがや病気で動けない牛、敷地内から出た牛は早期に発見しなければならない。また、繁殖を目的として放牧する種付け用の雄牛「まき牛」がいないため、発情した牛を見つけて人工授精で対応する。システムを導入するまでは、監視人兼家畜人工授精師の湯瀬英克さん(72)が広い牧場を見回り、すべて1人で管理していたという。湯瀬さんは「牧場を歩き回り、どこにいるか分からない牛を探していた。人工授精をすることが多い朝方は霧がかかり、牛を探すのが大変だった」と話す。実証事業では、県と鹿角市、県畜産農業協同組合、県立大学、システムを取り扱う凸版印刷で「ICT放牧牛管理システム有効利用検討チーム」を立ち上げ、昨年から運用。放牧牛管理の省力化や、発見遅れによる種付け遅延などのリスク軽減が期待されている。放牧場には電波塔に当たるゲートウェイ基地局を2基設置。牛は群れて移動する習性があるため、放牧する110頭のうち28頭にモジュールを装着した。「牛を探す時間や事故の発見が容易になった」と湯瀬さん。県鹿角地域振興局農業振興普及課の鈴木人志主幹は「どこの牧場も監視人は高齢化している。現システムの有効性を実証すれば普及できるのでは」と話す。

〈写真:GPSを搭載したモジュールを県立大学の研究員が取り付けた〉

備えて安心「園芸施設共済」【7月1週号 鹿児島県】

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鹿児島県南九州市  馬場 寛秀さん(42)
 NOSAI職員の後押しがあり、父の代から園芸施設共済に加入しています。ピーマン専業のため、施設に何かあると経営が一挙に不安定になります。自然災害などに遭った際、保険に加入していると安心感が違いますね。2004年の台風が一番記憶にあります。台風が毎週来て、対策と収穫・植え付けの繰り返しでした。そんな折、作物に塩害が発生しました。心が折れかけましたが、NOSAI職員が被害調査に来てくれました。共済金を受け取り、作物は何とか回復し、経営を維持できました。保険は、万が一のときの積み立てのようなもの。19年に収入保険にも加入しました。加入後すぐに事故に遭うことはありませんが、長期的に見ると加入して良かったと思うことが多いです。保険は経営の必要経費の一部だと思っています。
 ▽ピーマン34アール、水稲18アール
 (鹿児島支局)

〈写真:「施肥設計に土壌診断サービスが役立っています」と馬場さん〉

黒ニンニク、からし漬け 通年出荷を目標に【7月1週号 香川県】

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 【香川支局】「父を手伝っている頃から、加工品に挑戦したいと思っていました」と話す琴平町の河野康雅さん(75)。水稲56アールを作付ける傍ら、15アールでニンニク、ナス、キュウリを栽培し、黒ニンニクとからし漬けに加工する。長期に販売するのは黒ニンニク。生のニンニクを乾燥させる工程はJAに依頼し、発酵には5升用の保温専用ジャーを使う。からし漬けは、知人から教わった辛みを利かせた味付けを基本に、好みの味に変えてきた。販売先は、丸亀市の産直施設から始まり県内3カ所の産直施設へと広げてきた。新型コロナウイルス感染症が拡大する前は、試食を毎日用意して新規購入者を増やしたという。河野さんは「今年はニンニクの作付面積を増やしましたが、芳しくない気象条件が重なり、昨年並みの収量でした。年間を通して途切れずに出荷できる量を確保したい」と話す。

〈写真:「おいしくて健康効果が高い黒ニンニクを味わってほしい」と河野さん。2014年に加工を始めた〉

おいしい米を作る、楽しい番組を作る ラジオから農業をPR【7月1週号 山形県】

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 【山形支局】「農業では『おいしい米を作ること』、ラジオの仕事では『楽しい番組を作ること』を通してお客さまに喜んでいただける。どちらも感動を創造できるやりがいあふれる仕事」と話すのは、庄内町余目の國本琢也さん(35)。水稲栽培と米の加工品作りに携わる傍ら、ラジオ番組のパーソナリティーやイベントの司会進行など「話す仕事」をこなす。横浜市で生まれ育った國本さんは、都内の大学に在学中に、庄内町で米の生産や集荷を手がける「株式会社米シスト庄内」の代表を父に持つ友人と出会った。同社の米のおいしさに感動した國本さんは、一念発起して農家になることを決意。11年前に移住して同社に就職し、水稲栽培を学んだ。9年前からは個人で「はえぬき」や「つや姫」などを6.6ヘクタールで栽培するほか、同社のかりんとう製造工場の責任者としてライン管理を担う。もともと目立ちたがり屋な性格だったこともあり、2013年に酒田市のライブハウスで芸人としての活動を開始。そこで生まれた縁でイベントの司会進行の仕事が舞い込み、19年4月から地元FM局、今年4月からはFM山形の番組を担当するまでになった。ラジオでは多様なジャンルの話題に加え、農家としてのエピソードを紹介したり、新米プレゼントを企画したりと農業のPRを欠かさない。「リスナーが米やかりんとうを購入してくれたり、取引先の方がラジオを聞いてくれてコミュニケーションが円滑になったりと、喜びは尽きない」。日中は農業、夜にラジオ番組の収録と、多忙な日々を送る。「農家は忙しいが、時間の裁量がある。最初から仕事にしようと思わず、隙間時間を使って興味のあることに挑戦すると、人生の可能性が広がる」。面積を増やしておいしい米を多くの人に届けること、全国放送のラジオ番組を持つことが目標だ。「自分が有名になることで山形や農業のことを多くの方にお伝えできる。多くの方に支えられて今の自分があるので、お世話になった方に還元したい」。
 ▽担当番組=FM山形「RAMP.」毎週水曜日午後8時~8時55分、酒田FMハーバーラジオ「シャドウ國本のだいたい大丈夫」毎週月曜日午前11時~11時30分(再放送=毎週日曜日午後9時30分~午後10時)

〈写真:収穫後の圃場でラジオ番組を収録する國本さん〉

防風林「伝統工芸を次代につなぐ【2022年7月1週号】」

 ▼地域の歴史や文化の中で生まれ、長く受け継がれてきた伝統工芸品が各地に存在する。地域の魅力を発信し、観光資源などとしての活用が期待される一方、需要の縮小や後継者の減少、原材料・用具の確保難など課題も多いようだ。
 ▼地域資源としての伝統工芸の活用について総務省が公表した実態調査の報告書によると、織物や染織品、和紙、陶磁器など日本の伝統工芸品の数は約1400もある。しかし、全体的なデータはないものの、経産大臣が指定する伝統的工芸品では、四半世紀ほどで生産額が7割近く減少したという。
 ▼背景には、生活様式の変化や安価な工業製品の普及がある。ただ、産地の中には新たな取り組みで活性化につなげた例もある。織物と景観・食事を組み合わせた観光ルートの設定による観光客誘致、地域おこし協力隊制度を活用した後継者育成などだ。
 ▼報告書では、修行・就業中の収入や独立の支援など後継者確保に成果を上げた事例を整理し、需要拡大と仕事として成立する経済基盤確保の重要性を強調する。伝統工芸は、地域の歴史や文化そのもの。技術を次代につなぐ工夫が必要だ。

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