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今週のヘッドライン: 2022年06月 4週号

生食向きの夏秋イチゴ「なつおとめ」を栽培 高原の代表ブランドヘ ―― Mt.Berry〈マウントベリー〉奥日光(栃木県日光市)(1面)【2022年6月4週号】

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 「奥日光イチゴのブランドを築き上げる」――栃木県日光市中宮祠のMt.Berry(マウントベリー)奥日光(代表・岡﨑孝彦さん=29歳)では、標高1400メートルの冷涼な気候を生かし、県育成の夏秋イチゴ「なつおとめ」をハウス4棟(12アール)で栽培する。短日条件がなくても花芽形成でき、生食に適する四季成り性で、昨年は1600キロを収穫。3分の1を占めるA品は、奥日光・中禅寺湖エリアのホテルなどに出荷する。高設栽培のハウス2棟では、消費者向けの収穫体験も実施。おいしいイチゴを奥日光の新たな名産品にと日々奮闘している。

(1面)

〈写真:収穫体験用のハウスで岡﨑孝彦代表〉

農水省が食料安全保障を検証 肥料・燃油に「重要なリスク」(2面・総合)【2022年6月4週号】

 農林水産省は21日、食料の安定供給に関するリスク検証の結果を公表した。輸入依存度の高い生産資材では、燃油の価格高騰リスクが高く、肥料についても農産物生産に必須で、影響は大きい「重要なリスク」と評価。国内では労働力・後継者不足や異常気象などのリスクが多くの品目で高まっているとした。農業生産に必要な燃油や肥料、飼料など生産資材の高騰は農業経営を圧迫し、生産現場に大きな打撃を与えている。生産基盤を強化し、持続可能な農業につながる食料安全保障の確立と政策の具体化が喫緊の課題となっている。

(2面・総合)

JA全農 7~9月の配合飼料価格 1万1400円上げ 値上げ幅過去最大(2面・総合)【2022年6月4週号】

 JA全農は22日、2022年7~9月期の配合飼料供給価格を、4~6月期に比べ全国全畜種総平均でトン当たり1万1400円引き上げると発表した。値上げ幅は過去最大で、3期連続で最高値を更新した。トウモロコシの国際相場高騰や円安などが要因。政府は配合飼料価格安定制度の異常補てん基金の発動基準引き下げなど臨時・特別措置を講じているが、配合飼料価格高騰が長引く中、畜産・酪農経営の負担が増している。

(2面・総合)

組合員とともに汗流す 産地に欠かせぬ存在 ―― NOSAI福島の共済部長(NOSAI部長)(福島県)(3面・NOSAI部長)【2022年6月4週号】

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 NOSAI福島(福島県農業共済組合)管内では、果樹や水稲の安定生産に努めながら、万一の備えとして収入保険や農業共済への加入を呼び掛ける共済部長(NOSAI部長)が活躍する。平成以降では最大規模となった昨年の凍霜害を経験し、地域農業の復興に奮闘する福島市の共済部長と、移住先で地域の農家とともに共同作業に汗を流す桑折町の共済部長を訪ねた。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:ナシ「二十世紀」の袋かけをする福島市上野寺の石田仁一さん(左)と見守るNOSAI職員〉
〈写真下:「株間30センチの疎植栽培に取り組んでいる」とNOSAI職員に話す桑折町谷地の渡邉吉光さん(左)〉

肥料高騰 堆肥活用で乗り切る ―― かながわ農業アカデミー非常勤講師の加藤哲郎さんに聞く(9面・営農技術・資材)【2022年6月4週号】

 肥料価格が高騰する中、資材コストの低減や地力確保の観点から、堆肥活用への関心が高まっている。肥料に関する入門書などを多数執筆しているかながわ農業アカデミー非常勤講師の加藤哲郎さんは「堆肥をうまく利用することで、高騰する化学肥料の一部代替にもなる。土づくりのきっかけにつなげてもらいたい」と説明する。堆肥を化学肥料の代替として利用する際の注意点や、種類ごとの特性などを教えてもらった。

(9面・営農技術・資材)

マダニから身を守る ―― インターネットの生活総合情報サイト「All About(オール アバウト)」で家庭の医学ガイドとして活躍する医師の清益功浩さんに聞く(5面・すまいる)【2022年6月4週号】

 圃場など屋外で作業をする際は、マダニに注意が必要だ。さまざまな感染症を媒介し、重症化する事例も報告されている。マダニから身を守る方法について、インターネットの生活総合情報サイト「All About(オール アバウト)」で、家庭の医学ガイドとして活動する清益功浩医師に解説してもらう。

(5面・すまいる)

「鮮度」武器に輸出拡大へ 低温物流技術を実証試験の2事例から(8面・流通)【2022年6月4週号】

 農林水産省は17日、産学官連携で日本の食産業の海外展開などに取り組むグローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会の2022年度第1回全体会合を開催。農畜産物の一層の輸出拡大に向け、鮮度保持技術の活用事例が報告された。国の事業を活用し、国内産地から輸出先での販売まで、コールドチェーン(低温物流)技術を導入して実証試験を実施した2事例を紹介する。

(8面・流通)

高効率の施設園芸確立へ 高知県の次世代型施設園芸プロジェクト【6月4週号 高知県】

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 【高知支局】高知県では、園芸ハウスの環境、気象、出荷、画像などのデータを集約するクラウドサービス「SAWACHI(サワチ)」を構築し、AI(人工知能)による予測を組み合わせ、農家の高収益化や省力化を支援する取り組みを進めている。農×産×学×官が連携し、「IoP(Internet of Plants)が導く『Next次世代型施設園芸農業』への進化」と題したプロジェクトは、10カ年計画で今年5年目を迎える。高知市春野町でキュウリを栽培する越智史雄〈おち・ふみお〉さん(55)は、就農して7年目。元マイクロソフトのエンジニアという経歴を買われ、プロジェクトのアドバイザーを務める。SAWACHI用に開発した基盤にハウス内の機器を接続すると、データはクラウド上で共有化。スマートフォン・タブレット・パソコンから確認できるようになる。温湿度や植物の生育状況がセンサーやカメラなどでリアルタイムに確認できるので、適切な水やりや温湿度の調整などの栽培管理に役立つ。出荷量と秀品率を分布図で表示する機能があり、生産性の高い農家のデータを目標値として参考にすることができるという。越智さんは「AIを利用して、植物の実や花数を画像から自動判別するほか、各ハウスの最適な環境設定を導き出すという検証が、県東部のナス農家を対象に始まりました。利用者が増えて多くのデータが蓄積されれば、今までブラックボックスだった植物の反応が可視化され、より効率性の高い栽培技術が確立されていくと思います」と期待する。昨年秋から本格実証が始まったSAWACHIの利用者は、現在県内で326人。本年度は2千人が目標で、将来は県内のハウス農家約6千戸へのクラウドサービス提供を目指している。

〈写真:ハウスの環境をタブレットでモニタリングする越智さん〉

備えて安心「園芸施設共済」【6月4週号 和歌山県】

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補償があれば安定した経営に
和歌山県かつらぎ町  西村 道代さん
 【和歌山支局】「農業保険に加入していることで、安心して仕事に取り組めます」と話すのは、かつらぎ町の西村道代〈にしむら・みちよ〉さん(41)。父の後を継いで7年目、ハウスでキュウリとグラウンドカバープランツの栽培に取り組む。園芸施設共済には農業を継ぐ際に加入した。「農業の経験が浅いので、万が一のことがあったときが心配でした」。西村さんは2018年の台風20号で、4棟のビニールハウスの被覆物がすべて破れ、ほかの棟も所々が破れる大きな被害を受けた。「その年は収入の大部分を占めるキュウリが不作で、修繕費を考えると、加入していて本当に助かりました。キュウリはすぐにビニールを張り直さないと病気になるので、被害を受けた後にNOSAIの職員が迅速に対応してくれたことも助かりました」と話す。加入当初から「小さな破れも補償の対象になってほしい」と制度の拡充を望んでいた西村さん。小損害不填補特約が追加され、すぐに付加した。「修繕費の全額とはいかなくても、補償があることで安定した経営につながります。被害が不安な方は検討してみては」と加入の必要性を話す。
 ▽ハウス10棟(単棟9棟・5連棟)30アールでキュウリ・グランドカバー栽培。

〈写真:「暑い時期のハウス内の作業は体力的にしんどいですが、収穫できたときのうれしさはひとしおです」と西村さん〉

シャインマスカット超早期栽培 5月下旬から収穫【6月4週号 岡山県】

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 【岡山支局】美作市猪臥〈いぶし〉の福嶋直美〈ふくしま・なおみ〉さん(44)は、ブドウ栽培を始めて8年目。現在は「シャインマスカット」を約40アール栽培する。園地の土作りにキノコ栽培の廃材を活用するほか、5月下旬から6月上旬に収穫する超早期栽培に取り組む。シャインマスカットは、通常は8月下旬から9月上旬が収穫期だ。超早期栽培は、生育具合の見極めがより慎重に求められるため、苦労は多いものの、「自分たちの強みの一つになっています」と直美さん。夫の広基〈ひろき〉さん(49)が経営する福嶋きのこ園では、トウモロコシの芯、豆の皮、小麦ふすまなどを固めた培地にキノコの菌を植え付ける菌床栽培で生産。その廃材を約2カ月間かけて自家製の堆肥にし、ブドウ園の土に混ぜている。直美さんは「畑などの土作りに廃材を活用していたので、特別なこととは思っていませんでしたが、自家製堆肥の成分を調べてもらった際、市販の堆肥と遜色ないと言われました。捨てるだけだと思っていたものがまだまだ活用でき、改めて先人の知恵に感心しました」と話す。

〈写真:シャインマスカットの超早期栽培は木にかかる負担が大きいので難しいという〉

特産をトッピング 人気の土産「せんのかゆ」【6月4週号 秋田県】

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 【秋田支局】大仙市の土産商品ブランド「せんのぜん」の「せんのかゆ」シリーズが好評を得ている。市産の米をかゆに加工し、市や県ならではの食材をトッピングに加えた商品だ。せんのかゆシリーズは、市内で栽培された「あきたこまち」をかゆに加工。トッピングの具材は、市内の川に遡上したサケの「サケ燻山椒風味」、市内で飼養した地鶏を使った「比内地鶏の辛みそ煮」、いぶりがっこと県の特産大豆「すずさやか」を合わせた「煮豆がっこ」、県産の山菜を使った「せんの翡翠」の4種類となっている。かゆは1食分180グラム、トッピングはパック詰めされているため土産品として人気だ。かゆに加工する株式会社仙北こまちの会のほか、トッピング4種類は市内の異なる業者が得意分野を生かして製造する。せんのぜんブランド推進協議会の辻卓也会長は「今は米を売るのに苦労する時代。求められるものを作っていかなければならないと思い、おかゆに行き着いた。コロナ禍が落ち着いてきたので、新たな取り組みを始めて市の土産品を広めたい」と話す。

〈写真:せんのかゆシリーズ4種〉

冷蔵トラック定時巡回 「やさいバス」札幌で運行【6月4週号 北海道】

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 【北海道支局】新鮮な野菜を市場を介さずにスーパーや飲食店などに直接届ける「やさいバス」が、生産者らの流通経費を削減するシステムとして期待されている。運営は静岡県をはじめ、各地でこのシステムを提供する「やさいバス株式会社」(加藤百合子代表取締役)。北海道では、北海道コカ・コーラボトリング株式会社が委託を受け、子会社の幸楽輸送株式会社が野菜を集荷する。札幌圏では5月20日に運行がスタート。上川管内は富良野市、中富良野町、上富良野町のほか、美瑛町、鷹栖町、当麻町などの生産者が参加する予定だ。やさいバスは、地域内の数カ所に設けた出荷の拠点を「バス停」と名付け、冷蔵トラックが定時巡回し、地域物流を進めるBtoB(企業の間での商取引)の共同配送モデル。地域の飲食店などは、欲しい野菜をスマートフォンで発注する。その内容を確認した生産者が、収穫したばかりの野菜をバス停へ運び、それをやさいバスがピックアップ。買い手は、最寄りのバス停で降りた野菜を受け取る。出荷は専用コンテナを使う。1コンテナ当たりの配送料は、エリア内なら送料350円で購入者が負担。生産者には送料の負担はかからない。加藤代表取締役は「やさいバスの使命は信頼を紡ぐこと。人と人の信頼関係が途切れがちな今、コミュニティーづくりの一助にしたいと考えている」と話す。上富良野町で農業法人AGRIER(アグリエ)を経営する蛇岩真一〈へびいわ・しんいち〉さん(57)は、この事業の地域サポーターとして活躍する。「参加者が増えれば、購買者は新鮮な野菜が手に入りやすくなる。結果的に生産者の手取りが増える。人と人の交流が期待されるこの仕組みをサポートしていきたい」と話す。

〈写真:「やさいバス」のステッカーを貼ったトラックが巡回〉

防風林「暑いときはクーラーを使おう【2022年6月4週号】」

 ▼気象庁と環境省は、熱中症予防行動の一層の定着を目指し、有識者会議を開いて効果的な情報の発信や活用方法を検討している。熱中症による昨年の死亡者数は701人だったが、2020年まで3年連続で千人を超えていた。昨年に続き死亡者を減らす成果を出せれば、大きな前進となるのではないか。
 ▼現在は、気温と湿度などを基に暑熱環境が予測される時に「熱中症警戒アラート」を発表。運動を控え、頻繁な水分補給などの行動を促している。昨年は4~10月の183日間のうち75日、全国の58地域のうち53地域でのべ613回発表された。
 ▼課題は高齢者の行動喚起で、昨年は東京23区では死亡者の8割以上、大阪では7割以上を65歳以上の高齢者が占めた。屋内の死亡者の8割はエアコンがあっても使っていなかったというから驚く。アラート発表を高齢者に着実に伝え、エアコンのスイッチを入れてもらう仕組みの構築が求められる。
 ▼ただし、昨今のエネルギー価格高騰を受け、政府は電気代の節約を呼びかけている。経費節減に努める人も増えそうだが、命が最優先だ。我慢はしなくてよい。

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