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今週のヘッドライン: 2022年04月 2週号

肉牛 ふん尿を敷料に再生するシステム「ERS」を導入 経費削減 ブランド向上へ ―― (株)エフシーエス(北海道標茶町)(1面)【2022年4月2週号】

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 交雑牛の肥育を中心に約5千頭を飼育する北海道標茶町の株式会社エフシーエス(藤原久紀代表=70歳、従業員35人)は、牛のふん尿を発酵・乾燥させ、敷料に再生するシステム「ERS」を導入し、敷料購入費用を削減するとともに、悪臭・汚水の防止など環境負荷低減につなげている。「畜産・酪農業界全体で環境に配慮した取り組みが求められている」と藤原代表。同社は牛肉の独自ブランド「星空の黒牛」を展開しており、「コストダウンも重要だが、環境保全への対策は、ブランドの価値を高めることにもつながる」と強調する。

(1面)

〈写真:再生敷料を使う牛舎で藤原久紀代表。「微生物の働きで臭いは少ない」と話す〉

認定農業者 5年連続で前年下回る 65歳以上が4割超に 農水省が発表(2面・総合)【2022年4月2週号】

 農林水産省はこのほど、2021年3月末現在の認定農業者数は前年比で6362減の22万7444経営体となったと発表した。17年以降、5年連続で減少。19~20年度の計画期間(5年間)終了者のうち、4万7545経営体が再認定を受けた一方で、過去5年間で最も多い1万3343経営体が再認定を受けなかった。認定農業者は高齢化が進む。65歳以上が4割を占めており、49歳以下は2割ほどだ。持続可能な農業を実現するためには、担い手の中核となる認定農業者がさらに活躍できる環境を整えるとともに、将来的に認定農業者になるであろう多様な担い手の確保・育成が欠かせない。

(2面・総合)

農水省 農地の違反転用7割は非農家と公表 許可制度周知など対応強化へ(2面・総合)【2022年4月2週号】

 農林水産省は5日、農地の違反転用調査結果を公表した。2020年中に違反状態だった案件は9588件(1216ヘクタール)で、違反転用者の7割は土地持ち非農家や一般企業など農業者以外であることが判明。同省は、違反転用の発生要因の一つに農地転用許可制度の周知不足を挙げ、関係省庁・団体と連携して非農家などへの周知活動を実施する。

(2面・総合)

消費税のインボイス制度 2023年10月から開始 理解深め移行準備を(3面・ビジネス)【2022年4月2週号】

 2023年10月から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まる。国に納付する消費税額の計算時に、仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿と売り手が発行する適格請求書(インボイス)の保存が要件となる。農業者の場合、消費者への直売は従来の取引と変わらず、JAや卸売市場などへの委託販売では、発行義務を免除する特例が設けられた。ただ、インボイスの発行は登録を受けた課税事業者に限られるため、免税事業者の農業者が売り先(買い手)の課税事業者からインボイス発行を要求された際、取引条件の変更や課税事業者への転換を求められる可能性がある。制度を正しく理解し、慎重な対応が必要だ。

(3面・ビジネス)

施設イチゴの病害虫対策 情報共有で減農薬 ―― (株)澳原いちご農園(栃木県矢板市)(7面・営農技術・資材)【2022年4月2週号】

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 施設イチゴ50アールを栽培する栃木県矢板市の株式会社澳原いちご農園は、ハウス内の病害虫発生箇所を従業員と共有して防除を効率化し、育苗も含めて1作の薬剤散布作業を計20回前後に抑えている。「発生状況に合わせて薬剤をしっかり効かせることが、結果的に減農薬につながる」と澳原大介代表(33)は説明する。病害虫を低密度に維持し、市販天敵や影響が少ない薬剤などを組み合わせることで、作業負担を軽減した総合的病害虫・雑草管理(IPM)につなげている。

(7面・営農技術・資材)

〈写真:ハダニ類の発見箇所を確認する澳原大介代表。「目視できる時点で、一定の密度まで増えている」と話す〉

未来へのチャレンジ 女性農業者3人に聞く ―― 平松希望さん(仙台市若林区)、新地真実さん(鹿児島県鹿屋市)、船山瑛子さん(栃木県那須烏山市)(5面・すまいる)【2022年4月2週号】

 4月を迎えて日に日に暖かくなり、農作業が本格化する中、新しいことを始め、自らをステップアップさせたい人も多いはず。女性農業者3人に、今チャレンジしていることを寄稿してもらった。

(5面・すまいる)

集落越えて農地集約 田園維持へ結束【4月2週号 石川県】

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 【石川支局】「地域の老若男女みんなで力を合わせ、この田園風景を守りたい」と話すのは、有限会社直海〈のうみ〉・釈迦堂〈しゃかどう〉営農組合(志賀町、水稲など計40ヘクタール)の岡野秀彰〈おかの・ひであき〉代表取締役(73)。法人として収益を追求するため、農閑期をつくらない作物を選定し、作業ローテーションを確立している。土地改良事業を機に発足した営農組合が前身の同社では、事業完了後の圃場で土壌改良に取り組み、地元の畜産農家から牛ふんなどを引き取り、農地に散布。水稲、大麦、ソバの収穫量を向上させた。同社の設立は2003年。離農者や耕作放棄地が増え始めた当時、集落を越えての組織は珍しかった。そんな中、同町直海地区の4集落、釈迦堂地区、松ノ木地区の農家が丁寧な話し合いを重ね、64戸の農地を集約し土地改良事業を進め営農組合を結成、さらに法人化に至った。6年前に始めた花き栽培は、冬季の労働力活用と収益向上、女性が作業しやすい作物として導入した。育苗後のビニールハウスで、フリージアの県オリジナル品種「エアリーフローラ」を年間1万本、切り花葉ボタンを年間1万2千本栽培し、県内外へ出荷する。今年は1月から3月にかけて気温が低く、エアリーフローラの生育が遅れた。開花調整は難しかったが、需要の多い季節に間に合わせることができたという。「若い世代には農作業経験の積み重ねが農業従事へのハードルを下げてくれる」と岡野代表。30~40歳代の兼業の社員には「農繁期の休日の1日だけでも」と声を掛け、大型機械のオペレーターを依頼する。農業用水や農道の整備には、全構成員で年に数回作業に当たり、組織の団結と農地への愛着を育む。岡野代表は「農業の楽しさを伝えていけば、担い手はおのずと育っていくはず。組織を継続するには収益も重要。米価の下落は大変な痛手だ。安心が担保できる収入保険の存在はありがたく、経営者なら加入すべき保険だ」と話す。

〈写真:フリージア「エアリーフローラ」は硬いつぼみの状態で出荷調製作業を進める〉

土作り重視の米で冷凍玄米おにぎり【4月2週号 岩手県】

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 【岩手支局】二戸市浄法寺町の株式会社馬場園芸(馬場淳〈まこと〉代表=32歳、従業員8人)では、土作りに力を入れた水稲栽培に取り組む。消費者の要望に応え、自社産の玄米を使用した「冷凍玄米おにぎり」の販売を4月下旬に開始。今後は生産だけではなく加工品開発も強化する予定だ。同社では花き40アール、ホワイトアスパラガス3ヘクタール、葉物野菜30アール、水稲「ひとめぼれ」「きらほ」を5.5ヘクタールで栽培。昨年の水稲の収穫量は22トンで、同社のオンラインショップや二戸市の産直「ふれあい二戸」で販売する。「お客さまにおいしいお米を届けるために、土作りに力を入れている」と馬場代表。ホワイトアスパラガスを栽培する際に使う堆肥を、水稲栽培に活用する。「堆肥には、アミノ酸成分が豊富な魚粉とミネラル成分が豊富なカキ殻を混ぜている。お客さまから『うまみが増した』と好評を得ている」。4月下旬から、自社産のきらほを100%使用した「冷凍玄米おにぎり」の販売を同社のオンラインショップを中心に始める。きらほは、アミロース含有率が低く、冷めても硬くなりにくいのが特徴。玄米で炊いても特有のくせが無く、モチモチとした食感で食べやすいという。「玄米は白米と比較してビタミンやミネラルなどの栄養価が高い。忙しくて食生活が乱れる心配をするお客さまの要望を受けて、手軽に食べられる冷凍おにぎりの商品化を考えた」。試作品は今年2月に完成し、従業員と相談して、食べやすいように一つ80~90グラムにした。「玄米の栄養価を損なわないように、塩だけで味付けしている。地元産の雑穀や黒豆を混ぜた味も展開したい」と馬場代表。「自社産の農産物を使った加工品で、お客さまに健康とおいしさを届けていきたい」と話す。

〈写真:「きらほは玄米でもおいしいので、たくさんの方に食べてもらいたい」と馬場代表〉

ペットフードにジビエ活用【4月2週号 島根県】

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 【島根支局】雲南市の黒崎寿夫さん(64)は、山陰地方で取れたジビエ(野生鳥獣肉)などを使ったペットフード「しっぽのおやつ」を開発した。広報担当の南波由美子さん(46)とともに販売を手掛ける。開発のきっかけは、知り合いの犬が涙やけの症状で悩み、その原因がペットフードに含まれる添加物かもしれないという相談を受けたことだ。外出する際のおやつとして安心して利用してほしいと、2020年5月にペットフードの開発を始めた。「何を食材に使用するか悩みました」と黒崎さん。野生動物を使ってはどうかと思い、知り合いの猟師からイノシシ肉を仕入れた。乾燥時間やスライスの大きさを変え、試作を繰り返すこと約250回。昨年1月に完成した。当初はイノシシやシカのスライスだけだったが、利用者の要望を受け、雑食の犬用にジビエにサツマイモを混ぜたものや、猫用にカツオやタイを使った商品を開発すると需要が伸びた。商品は南波さんが勤務する出雲大東駅内のほか、市内の動物病院やパン店に置く。「この活動を通じ、地元をPRしていきたい」と2人は話す。

〈写真:「今後はネット販売やふるさと納税の返礼品などにも広げていきたい」と話す黒崎さん(左)と南波さん〉

甘く柔らか「雪割りなばな」【4月2週号 北海道】

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 【北海道支局】JAたきかわなばな生産組合(岡本隆守〈おかもと・たかもり〉組合長)は、早春に新芽を食べる食用ナバナの生産を2004年に始め、「雪割りなばな」と名付け出荷。消費者から評判を呼んでいる。前年の秋に播種し株を作り、冬は雪の下で越冬させ、3月下旬から5月にかけて出荷。冬の寒さに耐えるため、根に糖分を蓄えた雪割りなばなは、甘みが強いのが特長だ。春に出る新芽の部分を食べるので、太い茎でも柔らかく食べやすいと評判だ。岡本組合長は「花の連作障害を回避するためにナバナの作付けを始めました。農薬を使わないで栽培しているので、安全・安心です。学校給食で使ってもらっていて好評ですよ」と話す。岡本組合長は5年前からナバナの種子も生産している。品種は低温に強い「はるの輝〈かがやき〉」。北海道で唯一の生産者だ。「ほかの品種との交配を防ぐために寒冷紗を使い、蜂を入れないよう気を使っています。最近は種子の発芽率が向上しているのがうれしいですね」と笑顔を見せる岡本組合長。「雪割りなばなを作付けしているのは滝川だけです。栄養価が高く、春に出荷される葉物では一番早い作物となっています。ぜひ一度食べてみてください」とPRする。

〈写真:春に出荷される「雪割りなばな」〉

屋根表面温度を下げる塗料【4月2週号 岡山県】

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 【岡山支局】近年は夏場の高温が続き、午前中から35度を超える猛暑日が増えた。その中で、牛舎内の高温が毎年問題視され、より一層の暑熱対策が求められている。一般的な対策は換気や送風などだが、「セラミック系遮熱塗料」で屋根を塗装し、太陽光を遮断することが効果的だ。セラミック系遮熱塗料は、高額な初期費用が必要となるが、耐久性と耐熱性に優れ、効果は10年以上持続する。一度導入すれば長期の使用が可能だ。牛舎の屋根をセラミック系遮熱塗料で塗装した吉備中央町の藤本実さん(49)は「牛舎内での体感温度が下がり、塗装前より涼しくなった」と話す。施工前後の屋根の表面温度をサーモグラフィーで計測すると、施工前に比べ約17度下がり、屋根裏の温度は約12度下がったという。暑熱ストレスは牛の食欲不振や、乳量・乳成分・繁殖成績の低下を招く。牛の不調を防ぎ、酷暑を乗り切るためには、夏本番を迎える前から対策に取り組むことが重要だ。

〈写真:密着不足を防ぐため念入りに高圧洗浄して塗布〉

防風林「自転車は車道走行が基本ですが...。【2022年4月2週号】」

 ▼通勤時、新しいランドセルを背負った小学1年生などの集団とすれ違った。車の少ない道路だが、上級生も含め道幅いっぱいに広がって歩いている。交通事故死者の4割は歩行中で、高齢者や子供が多い。事故に遭わないよう周囲が声をかけるほか、危険を回避して身を守るための交通安全指導も重要と感じた。
 ▼最近、危ないと思うのは道路に引かれた白や青の矢印だ。道路標識ではないが、交通法規に沿って自転車が通行すべき部分と方向を示しているという。白の自転車ナビマークは車道の左側、青の自転車ナビラインは主に交差点に引かれている。
 ▼警視庁によると、人身事故の減少など設置の効果は表れているようだ。ただ、ドライバーや自転車の利用者に十分周知されておらず、ひやりとすることも。交差点では車と並んで走るようなラインがあり、狭い道路でも車との距離が近くて怖いときがある。逆走してくる自転車とのすれ違いも気を抜けない。
 ▼交通法規を破りたい訳ではない。自転車の安全確保にも配慮がほしい。

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