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今週のヘッドライン: 2022年02月 4週号

農業のファン 増やそう ウェブ上のマッチングサービス「おてつたび」活用 ―― 福岡県豊前市の田村裕司さん(1面)【2022年2月4週号】

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 「数日でも農作業を経験して、うちの野菜や豊前市のファンになってくれれば」と話すのは、福岡県豊前市八屋で野菜約3ヘクタールを栽培する田村裕司さん(56)。旅行者と各地の事業者を結ぶウェブ上のマッチングサービス「おてつたび」を活用して、都会などの人を招き、5日間ほど農作業を手伝ってもらう。作業体験を通じて、参加者の農業への理解を深めることにつながっている。

(1面)

〈写真:田村さん(右)と袋詰めをする東京都から来た大学生の岡本彩也夏さん〉

春の農作業安全確認運動 死亡事故ゼロ実現へ 「しめよう!シートベルト」が重点(2面・総合)【2022年2月4週号】

 農林水産省は16日、春の農作業安全確認運動推進会議を開き、「春の農作業安全確認運動」での乗用型トラクター運転時のシートベルト着用徹底の取り組み方針を確認した。あらゆる機会を捉えた農業者への声掛け運動や研修を通じた理解増進を図る。2020年の農作業事故による死者数は前年比で11人減の270人となり、11年以降最少だった。しかし、農業従事者10万人当たりの死者数は前年比0.6人増の10.8人と過去10年間で最も高い水準だ。他産業の事例も参考に地域を挙げて農作業安全に努め、死亡事故の撲滅につなげる必要がある。

(2面・総合)

収入保険の保険料等補助 1都8県と241市町村が実施(2面・総合)【2022年2月4週号】

  農林水産省はこのほど、2021年12月時点の地方公共団体(都道府県・市町村)による収入保険の保険料等補助の状況を公表した。前回公表(21年9月時点)以降、新たに福井県と43市町村で支援措置を実施。保険料等の一部を助成する地方公共団体は東京、福島、富山、福井、岐阜、滋賀、鳥取、福岡、熊本の1都8県と、37道府県の241市町村を合わせた250に拡大している。

(2面・総合)

水田施策に詳しく 農家の立場で説明 ―― NOSAI福井の共済連絡員(NOSAI部長)(3面・NOSAI部長)【2022年2月4週号】

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 高齢化とともに担い手への農地集積や世代交代などが徐々に進む福井県では、共済連絡員(NOSAI部長)が、農業保険の重要性や仕組みなどを地元農家に伝える。県内では、JAの農家組合長を兼務する共済連絡員も多く、水田の作付け品目や農業者などを把握し、他の農業施策と関連付けた説明などで農業保険制度の理解につなげている。

(3面・NOSAI部長)

〈写真上:周辺の農業の状況などをNOSAI職員へ伝える勝山市の石橋政光さん(右)〉
〈写真下:剪定(せんてい)後のブドウに保護剤を塗布する若狭町の市川昇さんと妻の友希さん〉

環境負荷低減に有効な技術カタログ 持続的な農法を現場へ 農水省がウェブで公開(7面・営農技術・資材)【2022年2月4週号】

 農林水産省は、化学農薬や化学肥料の削減など環境負荷低減に有効で、生産現場への普及が期待される研究成果を集めた技術カタログを同省ホームページで公開している。直近10年程度の研究成果167件を収録。水稲や畑作、果樹など作目別に整理し、技術概要と導入の費用や効果、問い合わせ先などを記載する。農林水産分野からの温室効果ガス排出削減実質ゼロを目指し、昨年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、農家や普及指導の関係者に周知し、利用を促す。栽培暦の見直しなど、生産現場で持続性の高い農法への転換を進めたい考えだ。

(7面・営農技術・資材)

パックご飯 生産量が6年連続増 「簡便」「おいしい」リピート買い(4面・流通)【2022年2月4週号】

 米の1人当たり消費量が減り続ける中、手軽に食べられる包装米飯(パックご飯)の需要が堅調だ。農林水産省がこのほど公表した食品産業動態調査によると、2021年のパックご飯の生産量は、前年比4.3%増の23万4064トンと6年連続で伸びた。非常食として備蓄されるほか、近年では日常食としても浸透し始めている。
 製造方法別では、炊飯までに圧力などで無菌化した「無菌包装米飯」は20万6179トン、包装後に加熱などで殺菌する「レトルト米飯」は2万7885トンだった。

(4面・流通)

マイ風呂敷を作ろう エコバッグの代わりに ―― All About ハンドメイドガイドのracssさんに聞く(5面・すまいる)【2022年2月4週号】

 2月23日は「223=つつみ」の語呂合わせで、「ふろしきの日」。レジ袋の有料化に伴い、エコバッグ代わりに活用できる風呂敷が注目を集めている。インターネットの生活総合情報サイト「All About(オールアバウト)」でハンドメイドガイドとして活動するracss(ラックス)さんに、コンパクトに収納できるポケット付きマイ風呂敷の作り方を紹介してもらう。

(5面・すまいる)

6次産業に小規模酪農の将来性【2月4週号 長野県】

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 【長野支局】「酪農の一つのモデルを後続の世代に示したい」と話すのは、小布施牧場株式会社代表の木下荒野さん(33)。小布施町でジャージー牛の牧場を営む。同社が運営し、兄の真風さん(35)が担当する工房&カフェ「ミルグリーン」では、自社で搾った生乳を使ったジェラートやチーズを販売。小規模な酪農と高品質な6次産業で地域に還元しながら楽しみながら続ける「楽農」を掲げる。小布施牧場は、乳牛9頭と育成牛1頭、繁殖和牛8頭を飼育し、放牧面積は1ヘクタール。搾乳頭数を増やすよりも、生産(1次)、食品加工(2次)、販売(3次)まで自社で取り組む6次産業に、小規模酪農の可能性を見いだしている。代表を務める荒野さんは北海道の酪農学園大学を卒業後、県内の牧場に就職。その後、ニュージーランドの牧場で働く機会を得た。「英語が話せたわけではないですが、飛び込みました。現地では仕事の後に英語を毎晩自習しました。何とかなるものですよ」と振り返る。国内外での酪農生活の中で、生まれ育った小布施町で牧場を営む構想を固め、2018年に起業した。同町はブランド「小布施栗」の産地で、6次産業が活発だ。その取り組みに学び、荒野さんは当初から6次産業化を目指し、ホルスタイン種ではなく、あえてジャージー種を選んだ。ジャージー種は、乳量は少ないものの、ミルクは脂肪分やタンパク質が高くコクがあり、「ゴールデンミルク」とも呼ばれる。「ジャージーは小柄で飼いやすく、人懐こくてかわいいです」と荒野さん。ミルグリーンでは、近隣地域からのリピーターが多く、コロナ禍の影響は無いという。人気の商品は自社で栽培した小布施栗のジェラートだ。夏季の放牧地は、遊休耕地を整備して景観を整え、クラフトビールやリンゴジュースの搾りかすを飼料に使うなど、地域内で循環する酪農を意識した。荒野さんは「酪農を苦労とは感じません。自分のやりたいことをしているので充実しています」と力強く話す。

〈写真:ミルグリーンの前で荒野さん(右)と真風さん〉

収入保険・私の選択  不安を抱える農家に安心感【2月4週号 香川県】

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 香川県綾川町  福家 範行〈ふけ・のりゆき〉さん
 夫婦2人でイチゴをハウスで栽培(20アール)しています。収入保険制度は、所属しているいちご部会でNOSAI職員から詳しい説明を受け、「求めていたものだ」と感じました。青色申告は、普及センターの勧めで約10年前から始めていたので、2019年からの加入を決めた際、最高の補償割合にすることができました。今まで大災害に見舞われたことはありませんが、地震でハウスや自宅の倒壊、それに伴ってけがを負うリスクなど、心配事は尽きません。ライフラインが滞ると、必然的に作物の手入れができず、収入を失うことになります。近年は災害だけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響による消費の低迷など、想定外の事態になっています。営農に不安を抱えている農家は多く、自分たちでコントロールできない多くのリスクをカバーしてくれるからこそ、収入保険は頼れる存在ですね。私が農業を始めたきっかけは、一時的に体調を崩した父のイチゴ栽培を手伝うためでした。06年に地元に帰り、1年後には父が回復したことから独立した経営になりました。サラリーマンから農業への転身は不安ばかり。未熟な栽培技術での品質確保や、決まった収入が得られる保障がないことです。実際、独立して数年間は収入が不安定な年がありました。保険という一定の補償があれば、収入面での不安を抱えることなく、もっと作業に集中できたのではないかと考えます。収入保険制度は青色申告実績が1年でもあれば加入できるため、就農して間もない方にも心強いと思います。これから就農を考える方たちにとっても、安心感を与えてくれる制度ではないでしょうか。
 (香川支局)

〈写真:「収入保険制度は、あらゆる原因の収入減少が対象となることが大きな魅力です」と福家さん〉

放牧経営の夢実現 「牛が幸せを感じられるように飼いたい」【2月4週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】屋久島と奄美大島の間にあり、七つの有人島からなる十島村。その北端の口之島で、母牛30頭を飼養する肥後あすかさん(30)は、夢だった放牧経営を実現した。県立農業大学校や大規模農場で経営方法を学んだ。「牛が自由に動き回り、いきいきと育てられるような経営がしたい」と、放牧の基盤が整った十島村にUターンして経営を始めた。同村では1人の獣医師が七つの島を担当するため、往診の機会が限られる。急な体調不良などは電話で獣医師に判断を仰ぎながら、自ら対処するときもあるという。「病気を未然に防ぎ、できるだけ獣医師に頼らない経営をする必要があると感じました。牛にストレスを与えないように、島の地形を生かした放牧で、のびのびと育てています」。同村と本土との交通手段は定期船だけで、セリ市に出すのも飼料の運搬も船の運航しだい。船は気象条件で1~2週間止まることがある。「1、2週間は備蓄を活用したり、畜産仲間と分け合ったりします。3週間止まったときは飼料も物資も底を突くほどでしたが、仲間とやりくりして乗り越えました」。目標は安定した品質の子牛を出荷すること。雌牛が9カ月で体重300キロ、去勢牛が8カ月で体重320キロを目指す。「牛が幸せを感じられるような飼い方をしたいですね。優良血統の導入にも取り組んでいきたい」と意気込む。

〈写真:「牛の姿が見えなくても、私の呼びかけで集まってくれますよ」と肥後さん〉

コロナ禍で従業員の大切さ痛感 安心して働ける農園に【2月4週号 徳島県】

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 【徳島支局】今年2月、上板町に設立された「株式会社四宮農園」では、代表の四宮慎一郎〈しのみや・しんいちろう〉さん(34)と弟の裕平〈ゆうへい〉さん(31)、従業員4人で、ブロッコリーのほか3品目を栽培する。コロナ禍の影響は、野菜の値崩れや消費量低下よりも働き手の不足が深刻だという慎一郎さん。「外国人技能実習生の受け入れが難しくなっている今、従業員の大切さを痛感しました」と話す。農業求人サイトあぐりナビを通して、今年4月から新卒正社員を1人雇用することが決まった。「従業員全員が安心して働くことができる職場をつくりたい、自分にはその責任がある」という思いから、福利厚生を充実させるために法人化を決意したという。「自分にとって農業は天職。寒い朝の収穫がつらいときはありますが、味や形のいい野菜を出荷できたときは、とても充実した気持ちになれます」。兼業農家だった両親から農地を引き継いで24歳で就農し、休みなく働いてきた10年を思い返し、「今後は子供と過ごす時間をもっと増やしたいですね」と笑顔で話す。

〈写真:「今年のブロッコリーは小さいですがおいしいですよ」と慎一郎さん〉

防風林「食べて飲んで酪農を応援しよう【2022年2月4週号】」

 ▼年末年始の学校給食休止期に懸念された処理不可能乳の発生は、酪農乳業を挙げた努力と消費者の応援需要が後押しとなって回避された。ただ、年度末や季節的な生産最盛期の4、5月に向け予断を許さない状況が続く。気になるのは一部報道による生産過剰との批判だ。
 ▼政府による増産政策で生乳生産量が増えてきたのは事実だが、きっかけは2014年末の深刻なバター不足にあった。特に都府県で高齢化などによる離農が加速する中、需要に見合う生乳生産の維持・拡大が大きな課題だった。
 ▼生乳生産は、暑さ寒さなど気象の影響を受けやすく、牛乳の消費も寒暖によって変動する。バターや脱脂粉乳への加工を需給の調整弁としてバランスをとる必要がある。そもそも動物を飼う仕事で、簡単に増産、減産できる訳ではない。
 ▼コロナ禍による業務需要の減少に加え、飼料価格高騰が酪農経営を圧迫する。まずは生乳生産を継続できるよう消費に励みたい。生協などが今から応援キャンペーンを打ち出しているのは心強い。

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