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今週のヘッドライン: 2021年10月 3週号

農水省 米の需給緩和対策示す 2020年産15万トン特別枠に(1面)【2021年10月3週号】

 農林水産省は12日、自民党の農林・食料戦略調査会など合同会議に、主食用米の需給と価格の安定対策を示した。新型コロナウイルス感染症の影響による需要減相当量として2020年産米15万トンを保管期間を定めない「特別枠」に設定し、保管料の全額などを支援する。業務需要の低迷で積み上がる民間在庫量の一部を実質的に市場から隔離して需給の引き締めを図る考えだ。21年産米の概算金引き下げで影響を受けた農家の資金繰り対策は、収入減少影響緩和対策(ナラシ)交付までの無利子融資で対応する。収入保険の加入者は「つなぎ融資」が利用できる。

(1面)
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 【2021年10月3週号】

2021年産米作況「平年並み」も需給対策に課題 意欲持てる政策確立を(2面・総合)【2021年10月3週号】

 農林水産省は12日、2021年産主食用米の作付面積(9月25日現在)は前年産比6万3千ヘクタール減の130万3千ヘクタールと発表した。全国の作況指数は100の「平年並み」と見込まれ、予想収穫量は同22万4千トン減の700万2千トンになる見通し。ただ、国が示した適正生産量693万トンを7万2千トン上回る。現状では、来年6月末の民間在庫量は、基本指針で示した見通しを6万トン上回る216万トンとなる。コロナ禍による需要低迷から、21年産米の概算金は主産県を中心に下落し、政府は20年産米15万トンを特別枠とする措置を講じた。需給と価格の安定に向け、農家が意欲を持って取り組める米政策の構築が求められる。

(2面・総合)
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 【2021年10月3週号】

温室ガス排出量3.5%削減 農水省が新計画で目標引き上げ(2面・総合)【2021年10月3週号】

 農林水産省は13日、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会などの合同会議を開き、農林水産分野の地球温暖化対策計画の改定案を示し、了承された。2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減を掲げた政府目標のうち、3.5%分を農林水産分野の対策で担う。17年に策定した現行計画を改定するもので、目標を2.8%から0.7ポイント引き上げた。地球温暖化対策計画は、今月中の閣議決定を予定する。

(2面・総合)

園芸施設共済 11月は「災害に強い施設園芸づくり月間」 補償額上乗せなど特約充実(3面・農業保険)【2021年10月3週号】

 気象庁は12月~翌2月の寒候期予報について、西日本を中心に冬型の気圧配置がやや強いため、寒気の影響を受けやすいとしている。2020~21年の大雪では、農業用ハウスの被害が26道府県で2万1600件を超え、被害額は132億7千万円に上った。自然災害など幅広く補償する園芸施設共済では、築年数にかかわらず新築時の資産価格(10割)まで補償する特約や、被災時の撤去費用の対象追加など経営に合わせて選択できる仕組みになっている。また、一定の補強を実施したハウスへの掛金割引など加入しやすい措置も備えている。

(3面・農業保険)

NOSAI団体が農業Weekに参加 収入保険や新聞をPR(3面・農業保険)【2021年10月3週号】

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 最新のスマート農業機械や農業資材、畜産資材、6次産業化製品などが一堂に出展する農業分野の総合展「第11回農業Week(ウイーク)」が13~15日、千葉市の幕張メッセで開かれた。NOSAI協会(全国農業共済協会)がブースを出展して、農業共済新聞の見本紙などを配布した。

(3面・農業保険)

〈写真:農業者(右)にNOSAI千葉の職員が収入保険を説明〉

道の駅は新たなステージへ 観光、防災、生活の拠点にも __ 一般社団法人全国道の駅連絡会事務局の桜庭拓也さんに聞く(5面・すまいる)【2021年10月3週号】

 地方創生や観光を加速する拠点として、各地の道の駅が動き出している。道路利用者へのサービス提供(第1ステージ)、道の駅自体が目的地(第2ステージ)に続く新たな展開「第3ステージ」として、高齢者や子育て世代の生活支援など多様な機能発揮も期待されている。第3ステージのポイントについて、一般社団法人全国道の駅連絡会事務局の桜庭拓也さんに解説してもらう。

(5面・すまいる)

畜産の最新資材 ―― 農業Weekから紹介(7面・営農技術・資材)【2021年10月3週号】

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 約400社が最新農業資材などを出展する農業分野の総合展「第11回農業Week(ウイーク)」が千葉市の幕張メッセで開かれた。展示の中から臭いや暑熱対策など、最新の畜産資材を紹介する。

(7面・営農技術・資材)

〈写真1:畜産消臭システム「Dr.MIST」 ―― 夏場は水も散布し、温度上昇を抑える〉
〈写真2:「農事用送風機」 ―― 耐水性も高く水洗いが可能〉
〈写真3:遮熱塗料「エサガード隼」「屋根ガード隼」 ―― 屋根ガードの遮熱効果を実証〉
〈写真4:消臭カーテン「ニオイトルン」 ―― 害虫駆除用シートも展示した(中)〉

交流で農業の魅力発信 業種を超え広がる取り組み【10月3週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】「人とのつながりを生かして、農業の魅力を伝えたい」と笑顔で話すのは、鹿児島市吉野町の迫智子さん(42)。夫の孝志さん(50)とマルタカ菜園を経営し、野菜栽培(パセリ、ラディッシュなど38アール)に取り組む。女性農業者や関連事業者と交流の輪を広げながら、マルシェの開催やインターンシップの実施など、農業の魅力を多面的に発信している。結婚を機に就農した智子さん。「夫が栽培に専念できるように」と農業経営を学び始めた。東京で開かれた女性農業次世代リーダー育成塾や、市の農商工等連携人材育成塾などに参加。「小規模経営でも稼げる農業を」と経験を積んだ。研修会で新たな人脈が生まれ、同園の加工品「かごしまパセリのディップ」の商品化につながった。加工業者や飲食関係者の的確なアドバイスに助けられたという。「商品の魅力を十分に引き出し伝えるには、自分たちの力だけでは限界がある。その道のプロのアイデアで納得のいく商品が完成したときに、人と関わりながら仕事をする楽しさを知った」。こうした経験から、「県内で関連事業者と交流を持てる場をつくりたい」と、2016年に女性農家仲間と「ポタジェファム(坂之上和美代表)」を立ち上げた。メンバーは農業者や加工、観光、福祉などに従事する女性30人。加工品の共同開発や農業マルシェの開催、レストランやホテルとの連携による農場ツアーなど、業種を超えて農業の魅力を発信する。「交流の輪が広がり、鹿児島の農業が盛り上がってほしい」と智子さん。9月に同団体のインターンシップで実習生を受け入れた。「活動を通して、土地と食を育む農業の魅力を伝え、次の世代へ受け継いでいきたい」と意欲を見せる。

〈写真:「農業を通じて交流の輪が広がるのが何よりも楽しい」と智子さん〉

収入保険・私の選択 地域を守り持続可能な農業へ【10月3週号 岡山県】

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 【岡山支局】今まではずっと水稲共済のお世話になっていましたが、将来的に水稲農家の収益性は低迷するだろうという予測があり、補償が幅広い収入保険の話を聞いてすぐに加入しました。昨年は新型コロナウイルスなどの影響で経営に打撃を受けました。特に輸出面の影響が大きかったです。税関関係が停止し、中国の富裕層に向けての輸出販売ができなくなり、大きな減収がありました。飲食店への直販が止まったことの減収も大きかったです。いもち病の被害も重なり、最終的に全体で3割の収入減少となりました。保険には頼らないようにと、工夫を凝らした農業をしてきましたが、昨年は100万円ほどの保険金をいただき、本当に助けられました。もし収入保険に加入していなかったら、今ごろは事業を縮小せざるを得なかったと思います。持続可能な農業、地域を守るための農家であることが大事だと思います。そのために、何かあったときに必要不可欠な保険として、今後も加入を続けます。
 ▽71歳▽農事組合法人かんば川代表理事▽水稲10.3ヘクタール、小麦1.7ヘクタール
 (岡山支局)

耕作放棄地を放牧地に 地域の負担軽減、牛は健康【10月3週号 富山県】

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 【富山支局】「地域の環境保全に貢献するだけにとどまらず、立山観光の見どころの一つにしたい」と話すのは、立山町で肉用牛の繁殖から肥育までの一貫生産に取り組む株式会社森川牧場(肉用牛240頭)代表の森川明浩さん(44)。同町横江地区の耕作放棄地を活用した放牧で、地域住民の負担を軽減し、牛の健康管理につなげている。同地区の集落では、地域住民主体で定期的に耕作放棄地を整備してきた。しかし、住民の高齢化に伴い整備活動の継続が困難になってきたため、他地域で放牧事業に取り組む同牧場に管理が依頼された。耕作が放棄されていた1.5ヘクタールの土地を整備し、牧草をまき、鉄線で囲んで放牧地を造り、今年初夏から順次放牧を開始。耕作放棄地が放牧地に変わったことで、住民の管理の負担が減り、土地の保全や景観づくりに役立っている。近くの駐車場に車を止めて牛を見に来る人がいるなど、立山観光にも一役買う。放牧することで、餌やりや牛舎の清掃といった日常的な仕事が軽減され、牛は歩き回ることで足腰が丈夫になる。蹄の定期的な手入れが必要なくなり、ストレス解消につながった。森川さんは「牛は健康な状態になって牛舎に戻り、飼育の負担が軽くなる。放牧は牛と管理者側の双方にメリットがある」と話す。環境が変化してすぐ順応する牛もいれば、体調に異変を来す牛もいるという。「最初に放牧したときは、思ったほど牧草を食べていなかったので、草を一度刈り、植生を調整した。環境を整えるのも大事なこと」と森川さん。「放牧地を拡大して頭数を増やし、地域と牛の双方に有益なものであるようにしていきたい」と話す。

〈写真:広い土地に放牧することで牛たちは足腰が丈夫になり健康になって牛舎に戻ってくるという〉

雑穀は一粒万倍の楽しみ 研究会で栽培・料理を普及【10月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】岩泉町見内川の佐々木眞知子さん(67)は、雑穀栽培を2011年に開始。17年に地元の農家と雑穀研究会「穂まちっ娘(会員7人)」を立ち上げ、雑穀栽培と雑穀料理の普及に取り組んでいる。4.5アールの畑にはアマランサスやヒエなどを作付けた。種まきから収穫まで、メンバーと共同で手作業で栽培する。「雑穀の栽培は天候に左右されやすい。台風で倒れても自力で立ち上がるタカキビの生命力に元気をもらっている。雑穀栽培を通じて、『一粒万倍』が体感できることを楽しんでいる」と佐々木さん。「雑穀料理は、砂糖や動物性の食材を使わないで調理する。冷めても味が変わらず、健康的でおいしくいただけるところが雑穀の魅力」と話す。調理方法を工夫することで、肉や魚風味の料理に仕上げることができるという。同研究会では、会員制交流サイト(SNS)を用いて積極的に情報交流する。佐々木さんは「SNSを見た県内外の方が、毎月の定例会に参加し雑穀栽培などに携わっている。研究会の活動を通じて、雑穀の文化を次の世代に普及していきたい」と笑顔を見せる。

〈写真:アマランサスを手に「さまざまな方に雑穀に興味を持ってもらいたい」と佐々木さん〉

父から娘へ肉牛一貫経営 受賞を励みに、さらに良い牛を【10月3週号 愛媛県】

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 【愛媛支局】西予市野村町で肉用牛の繁殖・肥育一貫経営に取り組む髙月淳〈たかつき・あつし〉さん(53)と次女の千賀〈ちか〉さん(29)。淳さんは主に肥育を、千賀さんは主に繁殖を担当する。現在は千賀さんの夫・瑛介〈ようすけ〉さん(31)とともに、肥育牛360頭、繁殖牛9頭の経営だ。淳さんは繁殖・肥育経営の家業を継ぐために就農。「牛が好きだったから就農した」という千賀さんは、県内の高校畜産科を経て、淳さんの勧めで宮崎県立農業大学校に進み、2013年に家業に就いた。自分が世話をした牛の反応を見るのがやりがいにつながり、「おが粉をきれいにしてやると牛がはしゃぐんですよ」と笑顔で話す。「後継ぎをどうするか心配していましたが、娘が継ぐと言ってくれたときは本当にうれしかったです」と淳さん。熱心に牛と向き合い、かわいがる千賀さんの姿を見ると幸せを感じるという。千賀さんは「父は器用なんです。牛の首を固定するためのスタンチョンを作ってくれたり、なんでも修理してくれたりするんですよ」と話す。20年に愛媛県総合畜産共進会の肉用種種牛経産の部で農林水産大臣賞、同子牛の部で中国四国農政局長賞を受賞した千賀さん。「受賞を励みに、さらに良い牛を育てていきたいと思います」と目標を掲げる。

〈写真:11月の共進会に出品予定の「さくら」を調教する千賀さん。左は淳さん〉

防風林「衆院選 ― 農政のあり方を考えてみる機会に【2021年10月3週号】」

 ▼衆院の解散で、事実上の選挙戦がスタートした。長期にわたる景気低迷に加え、新型コロナウイルス感染症対策など課題は山積だ。主要政党の公約では、地方創生や農業・農村振興などが重要項目に位置づけられた。意中の候補者や政党がある人もいるだろう。ただ、この機会に各党の公約を比較検討しておきたい。
 ▼岸田政権は発足したばかり。経済政策やコロナ対策、地方創生など前政権から何を継承し、何を見直すのか明確でない部分がある。選挙期間の発言も含めて確認しておきたい。一方の野党には、与党が進めてきた政策にない発想の政策提案を期待する。与野党の対立軸がはっきりするほど、政治や選挙への関心が高まり、投票率も上がるのではないか。
 ▼しかし、経済政策では、与野党とも現金給付をはじめ大型予算を伴う対策を打ち上げている。必要な人にはありがたい話だが、大風呂敷になっては財政健全化をさらに先送りし、次の世代に多大な借金を押しつけることになる。責任の持てる政策を示し、闘ってほしい。
 ▼今回の総選挙を機に、与野党とも農政通のベテラン議員が何人も引退する。農業・農村の振興が急がれる中で、生産現場の事情に精通した議員の引退は寂しい限りだ。新たに議員を志す人たちには、その志を引き継ぎ、汗をかいてもらいたい。

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