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今週のヘッドライン: 2021年08月 2週号

ずっと働きたい職場に インターン、人事評価基準の明確化、チーム制 子育てパートに柔軟な勤務体制 ―― 株式会社ドロップ(水戸市)(1面)【2021年8月2週号】

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 「従業員定着の取り組みは機械の導入などと違い、コストがほとんどかからない。せっかく就農したのなら、農業を長く続けてほしい」と話すのは、水戸市成沢町でミニトマト1ヘクタールを栽培する株式会社ドロップの三浦綾佳代表(32)。インターン(職業体験)で雇用前に家族を含めて農業を理解してもらうほか、人事評価基準の明確化、正社員1人にパート平均2人を付けるチーム制など働きやすい職場環境を実現し、2015年の農業参入以来、正社員、パートともにほぼ離職なく経営を継続している。

(1面)

〈写真:三浦綾佳代表。従業員に安心して働いてほしいと収入保険に加入する〉

2021年上半期農林水産物輸出が初の5千億円台に コロナ禍前の19年比で2割増 牛肉や日本酒などが過去最高(2面・総合)【2021年8月2週号】

 農林水産省は3日、2021年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比31.6%増の5773億円(少額貨物を含む)となったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大前の19年同期比で2割ほど増え、上半期としては初めて5千億円を超えた。家庭用需要の高まりなどを背景に、牛肉や日本酒、果実などが大きく伸びた。昨年7月以来12カ月連続で前年同月を上回り、通年で初の1兆円超えも見えてきた。

(2面・総合)

農水省 精米JAS制定を了承 白度や水分などに基準設定(2面・総合)【2021年8月2週号】

 農林水産省は4日、日本農林規格調査会に「精米の日本農林規格(JAS)」制定を諮問し、原案通り承認された。速やかに制定手続きを始める。
 炊飯向けの水稲や陸稲のうるち精米の短粒種について、白度や水分など見た目や炊飯特性に影響を与える基準を設定する。白度39以上や水分15.0%以下、異種穀粒および異物0.0%以下、着色粒0.0%以下、被害粒1%以下、粉状質粒6%以下、砕粒3%以下、水浸割粒10%以下を基準とした。

(2面・総合)

省力化や生産性向上へドローン 導入に活用できる補助事業(3面・ビジネス)【2021年8月2週号】

 水稲など土地利用型農業での防除を中心に、小型無人機(ドローン)の利用が急速に普及し、省力化や生産性向上に期待が大きい。一方で、現場の農家からは機械購入費などが導入のハードルに挙がる。農林水産省、経済産業省の事業から、ドローンを例に、スマート農業での機械導入に活用できる補助金について紹介する。

(3面・ビジネス)

正しい歯磨きで健康寿命アップ ―― 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の生井登志子さんに教えてもらう。(5面・すまいる)【2021年8月2週号】

 日々の食事に欠かせない歯。汚れをしっかりと落とせていないと歯周病などで歯を失うことになりかねない。歯を長く保つ磨き方を、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の生井登志子さんに教えてもらった。

(5面・すまいる)

飼料用米 栃木県が省力技術など検証 コスト抑え収量確保(7面・営農技術・資材)【2021年8月2週号】

 関東農政局は7月28日、栃木県で飼料用米のコスト低減に向けた研修会を開いた。栃木県農業試験場は、倒伏への耐性が高い「あさひの夢」で、多収につながる施肥時期と、省力化技術である「高密度播種」「流し込み施肥」の収量性などについて試験結果を報告した。概要を紹介する。

(7面・営農技術・資材)

値段高めでも消費者の反応良好 利益上げる販売の工夫【8月2週号 鳥取県】

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 【鳥取支局】「ほかの人がやらないような販売方法で、いかに利益を上げるかを考えています」と話すのは、鳥取市用瀬町の池本芳朗〈いけもと・よしお〉さん(54)。現在は家族5人でナシ60アール、柿40アールのほか水稲、花き、野菜を合わせて40アール栽培。特に力を入れているのがナシだ。 池本さんは販売面でさまざまな工夫をしてきた。その一つは15年ほど前、まだ直売所では見られなかったナシの2個売りだ。当時の直売所では、いろいろな大きさのナシが1玉当たり約100円、5~6個入りで売られているのが普通だった。池本さんは3Lサイズ2個売りで350円、1玉当たり175円という直売所では高めの値段で販売。3Lサイズのナシは主に贈答品に用いられ、スーパーなどではめったに並ばないこともあって「飛ぶように売れた」という。二つ目の取り組みとして贈答品用の3キロ箱の導入。当時、5キロ、10キロ箱の販売はあったが、3キロ箱での販売はなかった。特注で出荷箱を作り販売したところ、読みが当たり1年間で400箱の売り上げがあった。三つ目の取り組みは、バラエティーパックの販売。鳥取県の代表的品種「二十世紀」と2008年に誕生した「新甘泉」の2品種で販売されている商品はあったが、3品種セットはなかった。そこで二十世紀より早い時期に出荷する「なつひめ」の収穫期をずらし、それら3種類を2個ずつ入れて6個セットで販売。6個2千円という価格でも消費者の反応は良く、結果として多くのナシが売れるようになった。

〈写真:これから収穫を迎えるナシを見回る池本さん〉

収入保険・私の選択 つなぎ融資に助けられた【8月2週号 山形県】

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 【山形支局】「野菜にも補償があればいいのにと、以前から考えていた」と話すのは、米沢市上新田の我妻拓也さん(37)・飛鳥さん(37)夫妻。収入保険には2019年に加入した。12年に就農し、現在はスイカ3.5ヘクタール、寒中キャベツ1.4ヘクタール、グリーンアスパラガス36アールを栽培する。台風被害などの経験があった我妻さん夫妻は、農業セミナーで配布されたパンフレットを見て収入保険に興味を持った。NOSAIの事務所で説明を聞き、9割補償やつなぎ融資などに魅力を感じ、加入を決意。子育て世代で、従業員への給与支払いなど経営を維持する上でも、保険なしでは不安だったという。我妻さん方は昨年7月、長雨の影響で多くのスイカに実割れや病害が発生。収穫間際に売り物にならなくなり、収穫量は前年の4割を下回った。希望を与えたのが収入保険のつなぎ融資だった。8月末までの出荷伝票から減収金額と9月以降の見込金額を取りまとめてNOSAIへ提出し、9月中に支払いを受けることができた。引き続き従業員を雇用することができ、その後のキャベツ栽培や翌年のスイカの作付けにつながった。今年3月、青色申告決算書をもとに保険金を請求したところ、つなぎ融資算定時とほぼ同額の保険金が認定され、差額が追加支払いされた。NOSAIの担当者は「誤差が出なかったのは減収時点での正確な取りまとめのおかげ」と話す。今年、念願だった法人化を実現した。「安定経営の継続と、個人ブランドのスイカを確立し全国に広めたい」と夢を話す。

〈写真:「収入保険のおかげで農業を続けられた」と話す我妻さん夫妻〉

週休2日・衛生管理徹底・作業しやすく 若者に選ばれる農業に【8月2週号 福井県】

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 【福井支局】小浜市尾崎の合同会社若狭こすもかんとりー(青ネギ11棟、キク39アール、白ネギ38アール)では、週休2日制を取り入れ、作業スペースを体の負担が少なくなるようにするなど、働きやすい環境づくりに努めている。同社の代表社員・辻直也さん(34)は2012年に父親と同じ農業の道に入り、15年に若狭こすもかんとりーを設立。小浜市と地元JAが実施していた自然光利用型の大型ハウス整備事業を利用し、青ネギの水耕栽培を始めた。「初めの1~2年は、日照時間や気候に合わせた生産サイクル構築のためのデータ収集が主で、収入にはあまり結びつかなかった。それでも、約2年のデータ収集のかいがあり、現在では生産サイクルが安定し、出荷の時期や収穫量を調整することが可能となった」と話す。定期的な休みを取らない経営スタイルを一新し、若い人が働きやすいよう、週休2日制を取り入れた。さらに、作業台や水耕棚を腰の高さに設置し、種播きから収穫まで社員の体の負担が少なくなるように工夫。防疫のための衛生管理を徹底し、ハウス内は土足厳禁のほか、作業前や播種後には必ず服を替え、2~3日に1回は次亜塩素酸で作業靴を除菌する。「農業は自然を相手にする仕事なので、時間が不規則で、体もしんどいなど今の若者には受け入れがたい部分が多い。若者の身近な就職口として認知され、就農しやすい環境づくりを続けていきたい」と辻さん。「今後、さらに若者の目を引くような作物を生産したいと考えている。いい意味で注目され、憧れられるような農家になりたい」と笑顔で話してくれた。

〈写真:体への負担が少なく作業できるようにした水耕栽培棚を説明する辻さん〉

レモン長期出荷、売り上げ好調 国産需要が追い風に【8月2週号 香川県】

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 【香川支局】坂出市王越町の濵崎綱隆さん(41)は、就農直後の2015年、一年を通して収穫可能なレモン栽培に着手した。現在、祖父から3代続くミカン園地約1ヘクタールを管理する傍ら、約70アールでレモンを栽培。20年は売り上げの4分の1を占めるまでになり、経営の柱となりつつある。濵崎さんは「リスボン」「ビアフランカ」を中心とした3品種を、ミカン栽培のノウハウを生かして管理する。国産レモンは10月から3月にかけて多く出回るが、濵崎さんの園地では9月から翌年8月末まで収穫できた年もあり、オフシーズンの重要な収入源だ。昨年は5トンを収穫し、今年も同量を見込む。収入を安定させるため、自分で値段を決められる産直に出荷する。「国産レモンの需要の高まりもあり、地道に出荷し続けるうちに売り上げが伸びました」。濵崎さんの経営についてJA香川県坂出みかん共撰場の峯尾明宏所長は「多品種のかんきつ類の生産で、年間を通して安定した経営を実現させています。レモンにいち早く取り組み、若手農業者の中でも特に産地振興に寄与する存在です」と評価する。栽培管理では、特にかいよう病の発生防止に気を配るという。原因となる風雨の影響を抑えるため、園地の周りに防風林を植樹し、防除回数を減らした。樹齢の若い木が多く、収量の増加が年々見込める状況にある。濵崎さんは「これからさらに販路を拡大していくことが当面の目標です」と意気込む。

〈写真:「太陽の下、健康的に仕事ができていいです」と木の様子を確認する濵崎さん〉

防風林「災害支援にも活用されるふるさと納税【2021年8月2週号】」

 ▼総務省によると、2020年度のふるさと納税の寄付額は、約3489万件で約6725億円だった。件数は前年度比1.5倍、寄付額は1.4倍だ。コロナ禍による巣ごもり生活の長期化で、各地の食材や特産などの返礼品を求める人が増えたためとされている。
 ▼外食も旅行も帰省も自粛が求められる中で、故郷や旅行したい地方の特産品が届く仕組みが支持された。返礼品競争の加熱が問題視され、19年6月から「寄付額の3割以下の地場産品」と枠が決められ、19年度は寄付額が前年度比減となっていた。
 ▼ただ、返礼品だけがふるさと納税の魅力ではない。自治体や寄付金の使い道が自ら選択できるため、税の使い道を選びたいと、居住する市町村や県に寄付する人もいるそうだ。また、ふるさと納税を利用した災害支援も広がっており、映像による経過報告などサイトを通じた交流もあるという。
 ▼実は返礼品競争のイメージが強く、長く関心を持てずにいた。遅ればせだが、喜んでもらえる使い道を探してみようか。

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