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今週のヘッドライン: 2021年03月 2週号

モモせん孔細菌病 枝病斑の除去徹底し、多発の悪循環を断つ(1面)【2021年3月3週号】

 2020年産の全国のモモの収穫量は9万8900トンと、農林水産省の統計以降初めて10万トンを下回った。主な要因に、近年、主産地で多発が続くモモせん孔細菌病の影響も指摘されている。有効な登録薬剤が少ないため、伝染源となる枝病斑の除去を基本に、多様な対策を組み合わせた発生密度抑制が必要だ。被害拡大の悪循環を絶つには、NOSAIや自治体、JAなども含めた地域ぐるみの対策も求められている。

(1面)

土地改良長期計画最終案 地域挙げ持続的基盤整備(2面・総合)【2021年3月3週号】

 農林水産省は5日、食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会(部会長・平松和昭九州大学大学院教授)に、2021年度から5年間の土地改良事業の基本方針とする土地改良長期計画の最終案を示し、了承された。政策課題には「生産基盤の強化による農業の成長産業化」「多様な人が住み続けられる農村の振興」「農業・農村の強靱〈きょうじん〉化」を据えた。スマート農業の実装を可能とする基盤整備を行う地区の割合を約8割以上とするなど重要業績評価指数(KPI)を盛り込み、政策課題の解決に向けた目標達成を目指す。同日付で野上浩太郎農相に答申し、3月末までに閣議決定する。

(2面・総合)

作業安全規範を策定 命守る実践促す(2面・総合)【2021年3月3週号】

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 農林水産省は10日、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」を策定し公表した。
 各業種共通の「共通規範」と業種別の「個別規範」で構成する。命を守るために意識すべき事項や対策を整理し、それぞれ事業者向けと事業者団体向けを用意した。日常的に留意し実践するとともに、事業者団体には事業者への助言や支援を求めている。

(2面・総合)

農機具共済 全てのリスクを補償(3面・農業保険)【2021年3月3週号】

 春作業が始まり、農機具の利用が増える時期になった。危険箇所の把握などに努め、事故を未然に防止しよう。しかし、対策をしても事故や災害に遭うことはある。農機具の修理や再取得には多額の費用が必要となり、自己資金だけでは負担が非常に大きい。損害をオールリスクで補償する農機具共済に加入し、万が一の事故に備えることが欠かせない。農機具共済について稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。

(3面・農業保険)

V字樹形のリンゴ・ナシに対応する果実収穫ロボット 人と同じ速度で収穫 ―― 農研機構などが試作機を発表(9面・営農技術)【2021年3月3週号】

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 農研機構と立命館大学、自動車部品メーカー大手の株式会社デンソーは先ごろ、果実収穫ロボットの試作機を発表した。V字樹形のリンゴ、日本ナシ、西洋ナシに対応し、人とほぼ同じ速度で収穫できる。担い手の減少や高齢化に対応するため、2年後の実用化を目指し、生産現場での実証を進める計画だ。

(9面・営農技術)

〈写真:ロボットによるリンゴ収穫作業のデモ。アームを自在に動かし、3本の爪で果実をつかむ〉

もし「あおり運転」に遭遇したら 冷静に対処し身を守る ―― 「All About」ストレスガイドの大美賀直子さんに聞く(5面・すまいる)【2021年3月3週号】

 近年、社会問題となっている「あおり運転」。幅寄せや急停止など、悪質な行為(犯行)が原因の痛ましい事故も多発している。もしも危ない運転をされた場合、自分自身や同乗者の身を守るためにはどう対処するべきなのか。インターネットの生活総合情報サイト「All About」ストレスガイドの大美賀直子さんに教えてもらう。

(5面・すまいる)

島の和牛繁殖 血統改善へ技術を普及【3月3週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】与論町朝戸で家畜人工授精師、家畜受精卵移植師として活躍する市山泰大〈いちやま・やすひろ〉さん(24)。繁殖牛14頭、育成牛1頭を飼養し、地域の繁殖農家の血統改善を目的に技術の普及に奮闘する。家畜人工授精師として地域を回る中で、与論島では自家保留牛による子牛の生産が一般的で、母牛を導入する農家が少ないことに気付いたという。「外部の血統を導入することが少ないからこそ、経営改善に受精卵移植が役立つのではないか」と技術の普及に力を入れ始めた。与論島では家畜受精卵移植技術の認知度が低く、活用している農家はほとんどいない。「技術の特性上、受胎率が4割と低いため、利用客の経営状態を見ながら慎重に提案している。技術を受け入れてもらえないこともあるが、血統改善の選択肢として受精卵移植があることを知ってほしい」と話す。

〈写真:「自分が種付けした牛が無事に生まれるとうれしい」とお産に取り組む市山さん(右)〉

トマト独立ポット耕栽培 病害抑制・低コスト・作業が楽【3月3週号 岡山県】

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 【岡山支局】「戦後の農地開拓に関するドラマを大学時代に見て、先人の苦労と農地の大切さを知り、農業を志しました」と話すのは、吉備中央町の重森はるかさん(32)。現在、全国的に広がっている「トマト独立ポット耕栽培」を2020年に導入し、連棟ハウス10.8アールを1人で作業する。この栽培方法は、独立したポットに1株ずつ植えるため、病原菌の侵入を抑えることができる。培地量が少なく低コストで、ベンチ栽培で立ったまま作業できるので姿勢の負担が少ないなど、栽培に関してのメリットは多い。

〈写真:来期に向けて作業する重森さん〉

品種絞り観光減収に対応【3月3週号 山形県】

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 【山形支局】観光イチゴ園「いちごガーデン」を営む寒河江市八鍬の髙橋庄次郎さん(66)は、来園者の減少による収入減を出荷で補おうと、品種を絞った栽培形態に切り替え、コロナ禍に立ち向かっている。昨春は一時的に閉園を余儀なくされた。今シーズンは感染予防に努め、780坪のハウスで「とちおとめ」「恋みのり」などを2万株ほど栽培し、週末を中心に来園者を迎え入れる。「糖度の高い完熟イチゴの食べ比べが観光園の醍醐味」と髙橋さん。品種を限定することで観光と出荷の両方を見据える。イチゴ狩り用以外の420坪では、洋菓子向けに四季成り性イチゴ「サマーティアラ」を作付けし、夏秋取りに取り組む。「質の良い国産夏秋イチゴの需要は高い」と、通年栽培にも取り組む。

〈写真:「熱意ある後継者が現れれば栽培のノウハウを継承し、設備を無償で譲ってもいい」と髙橋さん〉

コロナに負けず販売順調【3月3週号 富山県】

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 【富山支局】「コロナ禍の中で、花を楽しみたいと思う人が増えたのではないか」と話すのは、砺波市の農事組合法人権正寺営農組合(福島洋一組合長)で花を担当する清水穂さん。
 新型コロナウイルスの影響で、東京で開催する予定だった販売イベントは中止になった。清水さんは「心配だったが、愛妻の日やバレンタインデー、ホワイトデーなど花を贈るイベントがあり、売れ行きは順調」と話す。同組合は水稲19ヘクタール、大豆3.4ヘクタールのほか、露地60アールでチューリップの球根や小ギク、ハウス9棟でチューリップと小ギクの苗などを栽培する。ハウス9棟のうち6棟で10~3月はチューリップ、残りの3棟では10~5月にキクの苗を栽培。その後、5棟で3~5月まで水稲の育苗、8~10月にはタマネギの苗を栽培するなど、年間を通してハウスを活用する。清水さんは「お盆に小ギク、冬にチューリップと、皆さまに喜んでもらえる花を栽培して、販売量を増やしたい」と話す。

〈写真:チューリップの切り花の発送準備をするスタッフ〉

集落一丸でサル被害解消【3月3週号 滋賀県】

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 【滋賀支局】日野町奥之池地区の「奥之池獣害対策(構成員7人)」では、非農家中心の獣害対策に取り組み、モンキードッグの導入でサルの被害がなくなった。リーダーの小森慶一さん(70)は「獣害対策は農家だけの問題ではない。住みやすい環境づくりのため、農家・非農家関係なく集落全体で行わなければ意味がない」と指摘する。同地区はサル、シカ、イノシシの被害があり、防護柵の設置や追い払い、畑の四方と天井を囲うなどの対策を講じてきたが、サルの侵入は減らず、2010年には被害額が115万円を超えた。そこで、大規模緩衝地帯(バッファーゾーン)の整備、不要果樹の伐採などを徹底し、最後の手段としてモンキードッグの導入を決めた。サルが出没すると犬を先頭に追い払い、同行者が多いほど効果が大きい。モンキードッグの「はな(雌、10歳)」は、県動物保護センターから生後4カ月のときに譲り受け、小森さんが飼育。「集落の犬」と位置付け、餌代などは集落が負担し、小森さんが不在のときはほかの構成員が犬と出動する体制を取る。

〈写真:「獣害対策は足し算。複数の対策を行った結果です」と小森さん〉

防風林「増加した読書時間【2021年3月3週号】」

 ▼全国農村読書調査(家の光協会)で、総合読書率(週刊、月刊の雑誌や書籍のいずれかを読んでいる割合)や雑誌読書率、書籍読書率がいずれも前年比増となった。総合読書率は前年比8ポイント増の63%で、4年ぶりに60%を上回ったという。活字離れと言われて久しい中、印刷に関わる仕事をする者としてわずかな増加でもうれしい。
 ▼同調査は、終戦翌年の1946年に始まり、昨年の9月下旬~10月下旬に調査した今回で75回目だ。過去にさかのぼれば、80年代、90年代の総合読書率は70~80%台で推移していた。
 ▼明治時代に日本を訪れた外国の人たちは、識字率の高さに驚いたと言われている。江戸時代から、町民や農民にも寺子屋や塾などに通う人は多くいた。俳句をたしなむ人も多く、松尾芭蕉などは各地の門人を訪ね歩き、句作の指導をしながら旅を続けたと言われている。
 ▼コロナ禍と読書率の分析はないものの、巣ごもり生活の浸透が前年比増の背景にあるのは確かだろう。インターネットやテレビなど関心が分散する時代だが、この機会に活字に親しむ人が増えてほしい。当然、役立つ情報が満載の新聞にも。

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