▼トランプ氏が米大統領に復帰して2カ月になる。この間の言動は世界的に物議を醸す内容が多く、日本のマスコミは"トランプ砲"と名付けて報道する。名指しで批判する場合の破壊力は圧倒的で認識が間違っていても反論の余地を与えないから困りものだ。
▼特に懸念されているのは、気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」からの離脱だろう。第1次政権でも離脱を表明したが、バイデン前政権に代わって復帰を決め、実質的な影響はなかった。今回は表明から1年で正式離脱となるので逃れられない。
▼米国は世界2位の温室効果ガス排出国であり、しかも大統領自ら化石資源を「掘りまくれ」とあおる。国際協調を図って進められる温暖化対策の後退は確実な情勢だ。温室効果ガスの排出量増加だけでなく、温暖化に起因する災害の頻発激甚化が心配だ。
▼ただ、振り幅が極端なほど反動も大きいもの。マイナス面の影響表面化に加え、米国第一主義の影響回避に各国も連携を強めるはず。投げかけられる難題への対応を通じ、次の段階へ進む道が開けると信じている。