▼岩手県大船渡市の山火事は、6日朝の時点で焼失面積は市域の約9%、2900ヘクタールに及ぶという。5日の降雨で延焼は収ままったようにも見える。しかし、この冬は乾燥が続いて火災が起きやすい条件にあり、油断は禁物だ。当面は警戒を続ける必要があるだろう。
▼今回の山火事の被災地は東日本大震災の津波被災地と重なる。再建した家が焼失し、発災から14年を経て二重被災となった方がいるとの報道もあった。気持ちをしっかり整えて復旧・復興に歩を進めてほしい。
▼懸念もある。被災地域が人口減少と高齢化が進む過疎地域という点だ。地震と豪雨の二重被災となった能登半島地域も同様だが、農林漁業をはじめとするなりわいと生活の再建には時間や労力がかかる。高齢の方ほど迷いやためらいを持つのではないか。
▼能登半島地震から数カ月後、財務省の審議会が「維持管理コストを念頭に」「集約的なまちづくりやインフラ整備」を求める提言をまとめ、物議を醸した。住民の意向が大前提でなければ意欲や行動の喚起は困難。予算に知恵を絞るのはその後の話なのだ。