▼集荷競争の過熱で2024年産主食用米の流通が停滞しているとし、農林水産省は、政府備蓄米の買い戻し条件付き売り渡しを実施する。流通を円滑化して高騰する米価格の沈静化を図る考えだ。12月までの24年産米の相対取引価格は60キロ当たり2万3715円と、出荷・卸売業者間の取引で比較可能な1990年以降の最高額を超えた。
▼以前の最高額は大冷害で作況指数74となった93年の2万3607円だ。ただし、その前年は101の平年作で2万2813円。90年産~96年産は2万円台を維持しており、基本的な米価水準が高かったといえる。
▼相対価格の公表が始まった2006年産以降、平均価格は1万2000円~1万5000円と低位の推移となった。大規模経営なら利益が出ても小規模経営では赤字になる水準で、水田を荒らしたくないと頑張る農家の姿が浮かぶ。
▼主食用米の消費減少に伴い、米生産量は減り続けてきた。今回の流通停滞の要因に減産の影響を指摘する声もある。水田政策の見直しで米の需給と価格の安定は真に実現できるのか。正念場だ。