▼改正食料・農業・農村基本法の施行後初となる食料・農業・農村基本計画の議論が大詰めを迎えている。基本法の基本理念とする食料安全保障の確保などの実現に向け、食料自給率以外に複数の政策目標を据え、施策ごとの達成状況を評価するKPI(重要業績評価指標)を設定。毎年、進行状況を調査し、翌年以降の施策推進に反映する方針だ。
▼KPIは、目標に対する進行状況を指標に基づいて評価する評価手法で、企業の業績評価や人事管理などに使われている。目標に対し、いつまで何をどれだけ行うか定量的に把握できる数値を設定し、期日がきたら数値で達成度を判定する。その結果を基に計画・実行・評価・改善というPDCAサイクルを回し、目標達成を目指していく。
▼農林水産省が示した基本計画骨子案では、28の目標と数多くのKPI項目が示された。具体的な数値も含めてさらに検討し、3月に策定する基本計画に反映する。現在も予算などの事業ごとに数値目標などを設定しているが、今回の基本計画では、目標達成に向けた進行管理を強化する考えだ。
▼ただ、適切な指標や数値を設定しないと、目標に近づけないこともあるという。審議会委員からも目標に到達できる適切な指標設定などが要望されている。農林水産省の試算では、対策を講じないと2030年の農業経営体数は20年比で半減の54万になり、3割の農地が耕作されないおそれがある。農家や国民に分かりやすく展望が開ける基本計画と着実な進行管理を望む。