▼今年は昭和100年に当たる。農業の話題がないかネット検索すると、沖縄県・石垣島に台湾の蓬莱米(ほうらいまい)が導入されて100年という琉球新報の記事配信があった。石垣出身の農業指導者が持ち帰って普及し、二期作が可能になって八重山地方の食糧事情改善に貢献したとある。
▼蓬莱米は、大正から昭和にかけ、台湾を統治した日本が普及した。在来のインディカ系品種と日本のジャポニカ系品種の交配など複数の品種があるよう。国内生産だけで不足する量を補うため、最盛期は年間75万トンの蓬莱米が台湾から日本に送られた。
▼石垣島といえば1993年の大冷害を思い出す。水稲の作況指数が全国で74、東北地方で56となり、種もみ確保が困難になった岩手県の依頼を受け、翌年の作付け用に種もみを増殖して届けた。その時の新品種の一つは「かけはし」と命名された。
▼出来秋を迎えても青く穂が見えない状態の稲作地帯を取材したので印象深い話題だった。蓬莱米には統治の思惑が絡むので肯定はできない。ただ、石垣島に稲作が根付いていなければ種もみ増殖は実現しなかったかも。"縁"の不思議さだ。