▼1年間の世相を一文字で表す今年の漢字は「金」と発表された。パリ五輪での多くの金メダル獲得や政治をめぐる裏金問題、金目当ての闇バイトなど金にまつわる話題が注目を集めたことで選ばれたという。言われてみればと納得感はあるが、裏金や闇バイトは来年に持ち越さず早くなくしてもらいたい。
今年の漢字は、漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えようと日本漢字能力検定協会が1995年から始めた。11月に募集し、一番応募の多かった漢字が選ばれる。発表は原則12月12日で、"いいじ、いちじ"の語呂合わせで同協会が漢字の日と定めた。京都・清水寺の貫主が大きな筆で大きな和紙に揮毫(きごう)する発表イベントも定着した。
▼全30回のうち金の選出は5回目で最多だ。いずれもオリンピックイヤーで金メダルが話題になったほか、2000年は2000円紙幣誕生、12年は山中伸弥氏のノーベル賞受賞(金字塔)や金環日食、16年は東京都知事などの「政治とカネ」問題、21年は新500円硬貨誕生なども理由に挙がる。続くのは2回選出の「戦」「災」「税」だ。戦は01年の米国同時多発テロと22年のウクライナ侵攻、災は04年の新潟県中越地震と18年の西日本豪雨、北海道胆振東部地震があった。
▼年末を迎え、ウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ戦争に加え、シリアのアサド政権崩壊などきな臭いニュースが増えた。年明けには自国第一を掲げ、国際協調に関心の薄い米国トランプ政権が動き出す。戦や災に3度目がないことを祈る。