▼6月に施行された改正食料・農業・農村基本法は、食料安全保障を基本理念に据えた。現在、その理念を具体化する施策や目標などが審議会で検討されており、来年3月をめどに新たな食料・農業・農村基本計画が策定される予定だ。
▼施策を実行に移すため、臨時国会に2024年度補正予算案が提出され、年明けの通常国会には25年度予算案も提出される。政府・与党は、初動の5年間を「農業構造転換集中対策期間」として、生産基盤の整備など食料安全保障を強化する施策を強力に推進する方針だ。
▼先の衆院選では、与野党ともに農業・農村振興の強化を訴えていた。予算拡充の重要性は野党にも理解を得られやすいだろう。一方で、財務相に建議(意見書)を提出した財政制度等審議会は、農林水産予算を「高水準」と指摘し、水田活用の直接支払交付金などを「多額の財政負担」と問題視する。
▼温暖化による災害の増加や国際情勢の変化で輸入依存のリスクの高まりは明らか。財政の裏付けは欠かせず、結束した対応を望む。