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防風林「漬物が身近にあるありがたさ【2024年11月3週号】」

 ▼自宅最寄り駅のスーパーで「いぶりがっこチーズ」が売られていて、ちょくちょく購入する。自分はおつまみ用のつもりだが、家族はおやつにしている。クリームチーズと刻んだいぶりがっこ、だしの味がよく絡んでおいしく、すぐになくなってしまう。
 ▼漬物製造業が改正食品衛生法で営業許可業種となり、今年6月から衛生基準を満たす施設整備が必須となった。個人で漬物製造を続けるには数十万円を超える設備投資が必要で、農家が営業をあきらめ、加工品の品ぞろえが寂しくなった直売所もあると聞く。
 ▼秋田の伝統的な漬物いぶりがっこも一時は"消滅危機"と心配された。しかし、生産者組織の結束や行政の支援などもあって生産維持が図られたと報じられている。そうした産地の努力に感謝して味わいたい。
 ▼ただ、漬物を製造する農家の多くは高齢で、後継者確保というハードルが次に控えている。ほぼ年中漬物がある食卓で育ったのに、母に何も漬け方を習わなかったことを悔やむ。