▼衆院選は、自民、公明両党が大きく議席を減らし、過半数を割り込む結果となった。立候補者の公認に絡む対応も含め、自民党の政治資金問題への甘さが批判された。投票率53.85%は戦後3番目の低さで、投票率が低いと組織票を持つ与党側に有利とされた"定説"も覆った。結果を誠実に受け止め、国民が納得できる対応で信頼回復に努めてほしい。
▼一方、長期にわたる物価高は国民の家計を圧迫し、格差や貧困の問題も切迫している。年末に向け、賃金引き上げの環境整備や低所得者支援なども含めた経済対策の策定と補正予算案、さらに2025年度の予算案編成などが急がれる。野党とも十分に協議し、政治を停滞させない対応を求めたい。
▼生産基盤の弱体化や過疎に直面する農業・農村政策の強化も待ったなしだ。25年度予算編成に向け、政府は改正食料・農業・農村基本法を踏まえ、集中的に農業の構造転換を進める初年度と位置づけた。地方経済の成長も、鍵を握るのは農業・農村政策の充実・強化にある。