【長野支局】安曇野市三郷小倉の「安曇野おぐら果樹農産」は、代表の塚田豊久さん(68)を含め理事5人、正社員1人、パート20人ほどで、ナシ400アール、リンゴ130アール、モモ10アールを栽培している。ナシでは一部にジョイント栽培を取り入れて効率化を進め、温暖化に合わせてモモ栽培を始めるなど、時代に合わせた営農を行っている。
塚田さんが梨部会の部会長をしていた当時、部会員数人が高齢を理由に離農することになった。そのため、息子の耕一さんを含めた若い担い手の有志を募り園地の管理を開始。2014年、離農する小倉の果樹農家の受け皿として「安曇野おぐら果樹農産」を設立した。
収穫期には園地でナシの詰め放題などを開催し、多くの人が来場する。リピーターも多く「おいしかった」という声を直接聴くことが励みになっているという。「交流サイト(SNS)での反響も大きく、県外からもナシを目当てに訪れる方もいて、そのようなにぎわいも法人化したことのメリットと感じます」と話す塚田さん。
研修生の受け入れも積極的に行っている。県内の学生に限らず、東京の大学からも受け入れ、1週間程度の実習を行う。果樹栽培や法人化、離農者の農地を受け入れる経営方針などを学びに来る学生もいる。また従業員として働く人の中には技術を学び、独立した人もいる。
また、パートで働く人たちは主婦が多く、地域コミュニティーの役割も担っている。そのため長く勤める人が増え、技術も向上、作業効率が良くなっている。
〈写真:「安曇野おぐら果樹農産」の理事たち。左から2人目が塚田さん、中央が息子・耕一さん〉