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防風林「平和への思いと現実【2024年10月4週号】

 ▼今年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与されることとなった。被爆者の立場から世界に核兵器廃絶を訴えてきた活動が評価されたという。受賞は喜ばしい。しかし、現実の世界をみると、ウクライナを侵略したロシアが、西側諸国の対応によって核兵器の使用も辞さない姿勢を示すなど非常に危うい状況にある。
 ▼ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者・企業家として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて1901年に始まった。平和賞の設定も遺言にあり、"国家間の友好や平和会議の設立・普及、軍備の廃止・縮小に努めた者・団体へ"と記している。
 ▼賞設立のきっかけは、兄の死をアルフレッドと取り違えた新聞が「死の商人、死す」と報じたためと伝えられる。当時から爆薬や兵器で財をなしたことに批判があり、死後の自分への評価を気にしていたそうだ。
 ▼ノーベルは1896年に63歳で死去した。国家間の総力戦となり核兵器使用に至った第1次(1914~18年)、第2次(39~45年)の世界大戦を知ったら何と思うだろう。平和の後退をわびるしかない。