▼石破内閣が発足し、農相に小里泰弘氏が就任した。四半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法が改正され、新たな食料・農業・農村基本計画策定に向けた議論が本格化したタイミングだ。石破首相と林官房長官は農相経験者で、中谷防衛相は自民党農林水産戦略調査会長を務めた。農政の推進力に期待したい。
▼基本法改正では基本理念に食料安全保障の確保を据えた。背景には、気候変動や世界的な人口増加による食料争奪の激化、紛争、戦争など国際情勢の変化による食料需給の不安定化と輸入リスクの拡大がある。対応では、国内農業生産の増大を基本に据え、農業生産基盤の強化と合理的な価格形成などで食料の持続的な供給を図る方向だ。
▼ただ、現在は116万人いる基幹的農業従事者数は、高齢によるリタイアで20年後に30万人まで減る見込み。今は100%自給可能な米も自給困難になるとの指摘もある。
▼政府は、初動5年間を集中対策期間とし、農業構造の転換を図るとする。有言実行で国民の負託に応えてもらいたい。