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防風林「クマ類による人身被害を出さないために【2024年9月4週号】」

 ▼クマ類の出没と人身被害が最も多い時期を迎えるため、環境省は、関係省庁連絡会議を開き本年度の状況を報告した。今年4~7月の出没件数(速報値)は1万704件で、過去最多の人身被害があった昨年同時期の8536件を上回った。例年は10月をピークに9~12月の被害が増えるので十分な警戒が必要だ。
 ▼秋にクマ類の出没や人身被害が増えるのは、キノコ狩りなど山に入る機会が増えるせいかと思った。しかし、資料によると9~12月の人身被害の3~6割は人家周辺で発生している。餌を探しに人の生活圏まで出てくるクマ類も相当多いということだ。
 ▼人身被害の回避へ同省は、クマ類を知ることと適切な対策を呼びかける。地域の出没情報に留意し、遭遇しやすい早朝や夜間の外出は避ける。外出時は音の出るクマ鈴などを身に付けて存在を知らせる、などだ。
 ▼ただ、人の生活圏へのクマ類の侵入を防ぐには、すみ分けを図る環境整備が欠かせない。餌となる作物を放置せず、生活圏と接する山林や耕作放棄地の草刈りなど、地域を挙げた対策の積み重ねが肝要だ。