▼2022年度の有機農業面積が前年度比14%増の3万300ヘクタールになったと農林水産省が発表した。前年度の2倍を超える二桁の伸び率はこれまでに例がない。22年度から本格化したみどりの食料システム戦略の支援事業なども面積拡大を後押しした。
▼有機農業は、化学農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わず、環境負荷を低減した農産物の生産方法と定義される。温暖化防止や生物多様性への寄与なども期待され、市場規模は拡大傾向にある。新規参入者の2~3割が有機農業に取り組むとの調査結果があり、関心を寄せる農家も多いはず。
▼課題は慣行農業に比べ手間やコストがかかる点だ。有機農業を行う農家の調査では、面積を増やせない理由の上位を占め、縮小の意向を示す農家もいるほど。新規参入も含む有機農業の取り組み拡大には、安定生産技術の開発・普及や価値に見合う価格形成など持続性を高める環境整備が欠かせない。