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収入保険・私の選択 ブドウ 病害克服へ計画的に作業【山梨県・9月1週号】

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 【山梨支局】「加入の手続きや事故が起きた時の手間が減った」と話すのは、笛吹市一宮町でブドウ「シャインマスカット」「スカーレット」「紫玉」など6品種60アールを栽培する久津間登〈くつまのぼる〉さん(75)。果樹共済に加入していたが、2022年に収入保険に移行した。同年にブドウの病害で収入が28%減少し保険金を受け取った。
 久津間さんは62歳で勤めを退職後、専業農家に。毎年のように各地でまん延する晩腐病が悩みの種だ。
 晩腐病は難防除病害で、幼果期に雨滴が果実に触れることで感染し、糖度が高くなる収穫期に発病する。久津間さんも「以前は晩腐病で全滅した畑もあった。その時は房を埋めるために大きな穴を7カ所も掘ったよ」と話す。
 「ジベレリン処理後にきっちり袋をかけているが、摘粒で袋をはずす2週間の間に感染してしまう」と話す久津間さん。22年は紫玉と「ブラックビート」で晩腐病とえそ果病が発生した。「他の品種がある程度収穫できたので、そこまで収入が減るとは思わなかった。保険金が出ると聞いて安心した」と話す。
 久津間さんは21年までは果樹共済に加入していたが、NOSAI職員に同等の掛金で補償が高い収入保険を勧められ加入。「収入保険は、加入するときは青色申告決算書のコピーを提出するだけだし、忙しい収穫期に損害評価を受けなくていい」と話す。
 加入に当たっては、農作業日誌の記載を求められたが、久津間さんは以前から誘引や摘粒、消毒など日々の作業を、作業日誌に細かく記録。前年の日誌を確認しながら、計画的に作業を行っている。

〈写真:紫玉の園地で久津間さん。「今年は順調」と話す〉