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防風林「後悔しないために住宅の耐震化を【2024年9月1週号】」

 ▼能登半島地震の発生から8カ月を過ぎた。政府は、特に甚大な被害となった奥能登地域の復旧・復興に向け、石川県などと連携して生活やなりわいの再建を急いでいる。ただ、町並みごと倒壊した住宅が残る地域もあり、交通アクセスの悪さや建設業界の人手不足が重なって作業の遅れが指摘されている。被災した建物の公費解体の申請棟数は、8月19日時点で2万7000弱に上るものの、工事の完了棟数は3千に満たない状況だ。
 ▼高齢化や過疎化が進む奥能登地域では、建築から年数を経過した住宅が多く、倒壊などの被害が増えたとの指摘もある。耐震基準は1981年に見直され、政府は旧基準で建てた住宅の耐震診断や耐震改修を促している。しかし、費用負担などを敬遠し、旧基準の住宅に住み続ける人も多かったよう。
 ▼国土交通省は先ごろ、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」を公表した。能登半島地震による被災状況を踏まえ、耐震化による地震のリスク低減を呼びかける。耐震診断による耐震性や危険性の確認と改修が基本だが、居住者の命を守る観点から、段階的な改修や部分的な改修、耐震性のある家具の導入など、すぐに改修できない場合の暫定的・緊急的な対策を明記。補助や融資など耐震化の支援制度も紹介する。
 ▼住宅が全半壊した場合、建て替えや補修の費用が耐震改修費用を大幅に上回るのは避けられない。災害に遭っても生まれ育った地域に住み続けたい人は多いはず。避難所や仮設住宅での生活は長引くほど体や精神面の負担は大きい。耐震診断と対策でリスクを一定程度低減できるのだ。後悔しないよう旧基準の住宅に住む人に検討を勧めたい。