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ハウスキュウリ/大雨、猛暑に負けない【山形県・8月3週号】

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 【山形支局】「キュウリの栽培は労力がかかるが利益率が高い。他の作物と上手に組み合わせれば安定した経営ができる」と話す、川西町中小松の富樫啓貴〈ひろき〉さん(32)。祖父から稲作を学び、2019年に独立就農した。現在は水稲3ヘクタールのほか、ロマネスコ10アール、露地キュウリ20アールを栽培している。
 「キュウリ栽培を始めてからこれまでは、苦難の連続だった」と話す富樫さん。栽培1年目は7月に大雨被害を受け、21年8月は集中豪雨によって畑が冠水しカビが発生。約3トンを廃棄したという。また、近年の猛暑では、高温障害による生育不良も多発している。
 富樫さんは高温対策として「拍動式自動灌水〈かんすい〉システム」を23年に導入した。この装置は、日照量で自動的に作動し、作動するとタンクにためた水を吸い上げ、パイプを通して土壌に灌水されるもの。
 富樫さん方では、2条に植えられた苗木に沿って2本の給水パイプをマルチの中に通し、1時間の間に約10分間ゆっくりとした速度で、1日当たり3千リットルが灌水されるよう設定している。タンク内には液肥も入れることで同時に施肥できるため、追肥の手間が省けるのもメリットだ。
 昨年の猛暑でも高温障害の影響を最小限にとどめることができ、約15トンの収穫量を得られたという。また、排水対策ではプラソイラーを使用して土壌の排水性を高め、大雨に備えている。

〈写真:整枝、葉摘み作業をする富樫さん〉