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大切な棚田を後世に【新潟県・8月3週号】

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 【新潟支局】上越市「株式会社えちご棚田文化研究所」代表取締役の岩崎欣一さん(65)は、フィリピンの世界遺産「バナウェ・ライステラス(棚田)」を通して現地と交流し、問題を共有しながら棚田の管理に汗を流している。
 同市安塚区で棚田を管理する岩崎さん。安塚区に嫁いできたフィリピン人に頼まれ、約20年前にフィリピンから天日塩を輸入・販売している。
 天日塩採取の現地視察で見たのが、山奥の山岳地帯に沿って広がる棚田だった。世界文化遺産に登録されているが、過去には世界危機遺産にも登録されていた。若者の都会流出で担い手不足となり、耕作放棄される田が増えていたからだ。除草剤をまいた畝はもろく、土砂崩れが起きたこともあった。
 岩崎さんの住む安塚区でも同じ条件がそろう。500メートル以上の深海が隆起した土地からなり、地滑りの後に棚田を形成。ミネラル豊富な土で稲作ができているが、担い手不足の課題を抱えている。「田んぼを手放す人が増え、面積が毎年2~3ヘクタール増える。10ヘクタールを水管理して作付けしていくのが限度だが、今は20ヘクタール作付けしている。手が回らず満足いかないこともあるが、山を荒らしてしまわないように頑張っています」と話す。
 岩崎さんは年に1度、フィリピンを訪問。フィリピンからも日本へ棚田の見学に来る。今後はバナウェの棚田の米の輸入販売をしたいと考えている。
 「将来への希望を持ちながら、これからも棚田を通して交流し、安塚の土地を守っていきたいですね」と岩崎さんは力を込める。

〈写真:耕作放棄地を整備した水田と岩崎さん〉