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防風林「紛争・戦争に至らせない努力の継続を【2024年8月3週号】」

 ▼タレントのタモリさんが「新しい戦前」とテレビ番組で述べたのは、2022年の年末だった。同年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が長期化の様相を呈し、日本では政府が防衛力の抜本的強化を掲げて防衛予算を大幅に引き上げた頃だ。以後、2年近く経過したが、ロシアの侵攻は続き、中東情勢など含め戦争や紛争の火種は増えた感がある。
 ▼世界を見渡すとシリアやアフガニスタン、ミャンマーなど内乱状態にある国・地域も多い。欧州では移民問題や経済・環境政策などへの不満を背景に極右勢力が台頭し、暴力的なデモなども目立つようになった。
 ▼世界的に不穏な動きが広がる要因として、既存の政治や政党への失望感や不満感が募り、既存体制の破壊を欲しているとの指摘がある。ただ、他者の排斥や暴力を肯定するかのような言動は認めてはならない。しわ寄せは常に弱者に向かうのだから。
 ▼太平洋戦争の終戦から79回目の夏を迎える。戦争を経験した世代は、日本の人口の1割ほどになり、記憶の継承も難しくなった。それでも「新しい戦中」とならないよう、努力を続けなければならない。