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山地での乳牛放牧/飼料コスト軽減【山形県・8月1週号】

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 【山形支局】南陽市太郎の大森山牧場株式会社(代表取締役=矢澤啓一さん・74歳)は、50年前から山地での乳牛の放牧を実践している。一般的なつなぎ飼いと比べて、給餌作業や飼料代の負担が軽減され、排せつされたふん尿は肥料として牧場内の草地に還元できるなどのメリットがある。
 約40ヘクタールの草地を有する同牧場では成乳牛104頭、育成乳牛約30頭を飼育。1日当たりの出荷乳量は約2.2トンとなる。
 放牧は5月上旬から10月下旬に実施する。群れに慣れ、牛房の場所を覚えた牛だけを放牧していて、飼育する乳牛のうち7割ほど。牛は時間になると割り当てられた牛房に戻ってくるという。「放牧は全頭に行うことはできない。群れに慣れずストレスを感じる牛は、乳量にも影響が出てしまう」と矢澤さんは話す。
 同牧場の診療を担当していたNOSAI山形の和田賢二家畜部長は「乳牛の足周りがしっかりとしている。太らずに健康的な体形なのも良い」と話す。
 毎朝午前5時半から午前8時まで搾乳を行い、給餌後の午前9時半から午後2時にかけて放牧する。放牧に出す間に、牛舎の清掃を行っている。牧場の外周は約12キロで、牧場内には、有刺鉄線で区切られた複数の牧区があり、牧草の状態を見ながらローテーションしている。

〈写真:広大な敷地で飼育される牛を見守る矢澤さん〉