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能登半島地震から半年/復興へ一歩ずつ【石川県・7月3週号】

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 【石川支局】珠洲市唐笠町で牧場を営む松田徹郎さん(35)は能登半島地震で甚大な被害を受けたが、「被災者や子供たちの心を、能登ののどかな風景と動物たちが癒やしてくれるはず。誰もが気軽に立ち寄れる牧場にしたい」と再起を目指す。
 能登半島の先端にある同牧場は、震源地からわずか数キロの位置にある。4棟ある牛舎のうち2棟、堆肥舎、農機具格納庫、敷地内の自宅が全壊した。発災直後は松田さんと従業員がコンテナや車に寝泊まりし、手作業で搾乳や給餌・給水を続け、牛の命を守った。
 搾乳量は昨年の3割以下まで下がった。現在は7割程度に回復したが、この影響は来年末まで続くとみている。
 5人いた従業員は、遠方へ2次避難した3人がやむなく退職した。避難生活が続く奥能登地域での人材の確保は極めて難しい。地区に残った従業員2人と共に、事業の維持に懸命に取り組んでいる。
 現在は乳牛と黒毛和牛合わせて約130頭を飼育。牛舎と付帯設備の再建に、国や県からの復興支援を受けても、自己負担は6000万円を超えると試算が出た。費用の一部はクラウドファンディングでの調達を計画している。「未来につながる酪農業を目指したい」と松田さんは話す。

〈写真:「広大な牧場の牧歌的な景色が人を癒やしてくれる」と話す松田さん〉