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水田転作にブロッコリー/緑肥で排水性改善【岩手県・7月3週号】

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 【岩手支局】今年からブロッコリー栽培を始めた大槌町小鎚の小鎚地区営農組合(藤原市之助組合長=77歳)では、緑肥「ヘアリーベッチ」を栽培してブロッコリーの定植前にすき込む実証実験を行っている。転作圃場の排水対策や、雑草対策、地力向上が期待される。
 水稲の転作として、ワラビやフキなどを栽培している同組合。近年需要が高まっているブロッコリーを昨年まで水稲を栽培していた圃場8アールで栽培する。釜石・大槌地域農業振興協議会の協力のもと、ヘアリーベッチを緑肥とする栽培実証も始めた。
 ヘアリーベッチは、根が最長で地下50センチほど伸びる。土壌に亀裂を作るため、排水性の改善ができるという。藤原組合長は「この地域の圃場は石が多い。農業機械で暗渠〈あんきょ〉施工ができない圃場でも排水効果が期待できる」と話す。
 被覆力が強いヘアリーベッチは、他の雑草の生長を抑制。また、根に根粒を形成してチッ素を固定する性質がある。そのため、圃場にすき込むことで土壌中のチッ素量が増加して地力の向上も期待できるという。大船渡農業改良普及センターの細越翔太農業普及員は「野菜の前作として栽培することで、土作りの効果がある」と説明する。
 実証圃場では、ヘアリーベッチが圃場全体で均一に生育するように、今年4月に手作業で播種後、トラクターで浅く耕起した。今回は基肥・追肥をせずに栽培。7月上旬にすき込み作業をする予定だ。

〈写真:実証圃場で、普及センターの説明を聞く小鎚地区営農組合の組合員〉