【島根支局】「耕作放棄された茶畑だからこそ引き出せる味があるのではないかと思い、茶の自然栽培に取り組もうと思った」と話すのは、吉賀町の地域おこし協力隊員・赤羽卓美さん(58)。理想の茶を求め、吉賀町白谷を拠点に、神奈川県や大分県などの放棄茶畑を再生・再利用し、仲間と共に栽培・加工・販売を行う。
茶栽培の契機となったのは、2014年に仕事の合間に立ち寄った神奈川県清川村での製茶体験だ。放棄茶畑で栽培された茶葉を摘み、製茶して飲んだ味は、かつて飲んだ中国緑茶と同じだったという。
「長年放置されて肥料が切れているからこそ、土地の味が色濃く反映されたのではないか」と思い、全国各地で茶葉を摘み、製茶して、どこでおいしいものができるかを探求した。そして吉賀町白谷の、茶畑の近くに古民家と茶業組合が残した工場がある場所を拠点に、神奈川県清川村や大分県杵築市などで茶栽培を開始した。
〈写真:「放棄茶畑は、新しい価値観を持って生産することで再利用につながる」と赤羽さん〉