▼近年の政府関係文書には「well-being(ウェルビーイング)」という言葉が目立つ。先ごろ閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」にも「『賃金と物価の好循環』や『成長と分配の好循環』の拡大・定着を通じて、希望あふれるwell-beingの高い社会の実現を目指す」との記述がある。
▼ウェルビーイングの直訳は「よい状態」で、「幸福」「健康」などと翻訳される。政府文書には「一人一人の多様な幸せや社会全体の幸せの理念」との説明もある。「幸福」や「幸福度」の意味で使っているようだ。
▼農林水産関係の施策も同様だ。「みどりの食料システム戦略」では「幸福度の向上」を期待される効果に挙げ、「農福連携等推進ビジョン」では農福連携を進める意義として「ウェルビーイングの実現」と明記した。
▼現実は気候変動や人口減少、経済の低迷など多くの困難や課題が山積。裏金問題に始まった政治と金の問題も国民の納得を欠いたままで閉塞(へいそく)感が根強い。高い理想かもしれないが、一歩でも近づける本気をみたいものだ。