【秋田支局】美郷町野荒町の傳野猛さん(62)はビニールハウス7棟でトマトを栽培。2020年に収入保険へ加入した。以前は水稲との複合経営を行っていたが、22年から水稲栽培を農業法人へ委託している。昨年の猛暑でトマトの収量が大幅に減少し、保険金を請求した。
野菜は農業共済制度の対象ではなく、野菜価格安定制度は収量の減少に対応していない。そのため、品目にかかわらず、万が一の事態に対応できる収入保険を選択した。「緊急で資金が必要な場合は、つなぎ融資が利用できる。資金繰りを心配せず安心して営農に取り組めている」と話す。
トマトは、暑さに強い「りんか409」を栽培。遮光ネットやミストの散布装置など高温対策をしているが、昨年は猛暑の影響で生育不良に陥った。平年で10アール当たり10トンの収量が約6トンまで減少した。
トマトが品薄状態になり、1キロ当たりの単価は300円ほどから350円程度まで上昇したが、それ以上に収量が減少し、かなりの減収に。「トマトを出荷した秋の段階で、平年と比べ収入が大幅に減少していると感じた。つなぎ融資の申請は行わなかったが、保険金が想像以上に支払われてありがたかった」と安堵する。
〈写真:「対策を超える被害が出たが助かった」と傳野さん〉