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冬期湛水・不耕起栽培/豊かな生態系を守る【山梨県・6月3週号】

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 【山梨支局】「生態系の中で行う農業がしたい」と話すのは、2022年に就農した津田祐太さん(41)。都留市で農薬と化学肥料を使わずに水稲20アールと野菜9アールを栽培する。
 水稲1筆(8アール)で冬期湛水不耕起栽培を行い、田植えも手植えだ。「カエルやヘビ、サギなどが生息する環境をつくるため、なるべく機械は使いたくない。冬に水をためておくことで、ヤマアカガエルが産卵に来るようになった」と津田さん。
 就農当時は、借りた田んぼを2カ月かけてくわで耕したが、23年から冬期湛水不耕起栽培を実践。10アール当たり収量は就農1年目が360キロ、2年目の23年が430キロで、地域平均の8割ほどの量を収穫できた。
 地域の高齢農家から水田を借りて規模を拡大方向だが「耕さないので世間体が心配」という。「作業が安定し、自身の取り組みが近隣農家に周知できたら、冬期湛水不耕起栽培の圃場を増やしたい」と意気込む。
 前職は小学校教諭の津田さん。授業で子供たちが育てたジャガイモの葉を虫に食べられてしまったが「子供が触れるものなので、農薬は使いたくない」と思い、農薬不使用の栽培について調べ始めたのがきっかけだった。本やインターネットで調べた方法を学校の畑で取り入れようとしたが、異動のため断念。「自分で試すには今しかない」と退職を決め、就農した。

〈写真:手植えする津田さん。6月上旬に成苗まで育てた苗を前年の株間に1本植えし、中干せず分げつさせる〉