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防風林「侵入害虫を作るのは人の活動【2024年5月3週号】」

 ▼農研機構は、天敵として導入したチュウゴクオオハナバチによるクリの難防除害虫クリタマバチの抑制効果が40年余り継続しているとの調査結果を発表した。クリタマバチは1940年代に中国から侵入して分布を拡大。60年代半ばにはクリ栽培で大きな被害が出ていた。
 ▼農薬や抵抗性品種による防除が困難なため、天敵利用を検討。中国からチュウゴクオオハナバチを導入し、82年春から効果をみながら放飼してきた。現在では日本に定着し、クリタマバチの被害を抑え続けている。
 ▼侵入害虫の原産地からの天敵導入は、伝統的生物的防除と呼ばれる。クリタマバチは欧州にも侵入して問題となっており、2005年には日本で採集したチュウゴクオオハナバチをイタリアが導入・放飼しており、成果が期待されている。
 ▼ただ、侵入は貿易など人や物の移動が要因とされ、虫の側には悪意も何もない。新たな「害虫」の発生を防ぐには、人の活動による生態系への影響を減らすしかないのだ。