▼新たな地質時代の設定を検討していた国際組織で、投票の結果、提案が否決されたと報じられている。提案は、人類の活動が地球に及ぼした影響が明らかな1950年代以降を新たに「人新世」と定義するものだ。「ひとしんせい」や「じんしんせい」と呼ばれる。
▼提案の理由は明らかだ。50年代以降に堆積した土などを分析すると核実験など起因すると考えられる放射性物質が検出され、海洋では60年代以降に微細なプラスチック(マイクロプラスチック)が増えるという。人類の活動以外での排出はあり得ない。
▼地質時代は、地球の地殻形成後の約46億年を地層や生物相の状態などを踏まえて分類・定義する。大きく四つの累代があり、代、紀、世などと細かく分ける。現在は顕生累代の新生代、第4紀、完新世とされている。
▼今回の提案否決に関しては、数十年で地質時代を決めるのは時期尚早との考え方もあるよう。ただ、環境中にプラスチックごみを排出しないなど資源循環を基本に早急に転換を図らなければ、人類由来の堆積層は一層その厚みを増していくばかりだ。