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羊に魅了された獣医さん 独自の餌で上質肉【1月4週号 鳥取県】

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 【鳥取支局】「羊はとても穏やかな生き物で、見ているだけでとても癒やされる」と話すのは、南部町で羊の飼育に取り組む西谷公志〈にしたに・こうし〉さん(69)。獣医師の西谷さんは、県職員として畜産業に35年間携わった。羊を飼っていた知人からもらった肉を食べたところ、おいしさに魅了されたという。たくさんの羊を飼い、ジンギスカンを毎日食べる生活を夢見るようになり、1年早く退職して飼育を始めた。「県職員時代は牛関係を担当していた経験があったことから、羊は簡単に飼育できると思った」と西谷さん。当初は約50頭飼育する計画だったが、飼育・繁殖は想像以上に難しく、挫折した経験があるという。西谷さんが飼育する羊の品種は、発育が早く食肉向けの「サフォーク」。現在は約2ヘクタールの敷地で22頭を飼育・繁殖しながら、羊肉を地域のレストランや知り合いなどに販売する。羊の体調管理には神経を使う。牛に比べて体力が乏しく、比較的容易に死んでしまうという。猛暑だった2023年の夏は、「暑さで弱らないように遮光カーテンや扇風機を駆使して、暑さを和らげる必要があった。寄生虫による感染症や死亡原因が分からないケースがあり、非常に難しい」と苦労を話す。餌は牧草のほか、大豆、くず米、トウモロコシにミネラルを混ぜた「西谷ゴールドブレンド」。これが臭みの無い上質な肉にするポイントだという。最近では牧草の栽培や圃場管理に精を出しながら、獣医師として子牛のワクチン接種や、シルバー人材センターの会員として業務を請け負う多忙な毎日を過ごす。「羊の魅力は肉の味だけではなく、その性格にもある。基本的におとなしく、優しい生き物だ。見ているだけでのどかな気持ちにさせてくれる」と笑顔の西谷さん。出荷頭数が安定し、「多くの人に羊肉のおいしさを知ってもらいたい」と意気込む。

〈写真:放牧場内で羊に餌を与える西谷さん〉